結婚して奈良に住んでいるが私の実家は横浜。


長男を産むときは里帰り出産をした。

包状奇胎の手術をした奈良の病院から横浜市大病院に転院した。

大学病院なので色々な取組があり、さい帯血を提供してくれないか、と打診があった。
断る理由もないので、二つ返事で承諾する(後に長女の出産時に個人でさい帯血を保存するきっかけになる)。

出産予定日の一週間前、明け方いきなりの破水から始まる。バスタオル何枚も敷いてタクシーで病院に向かう。

バケツをひっくり返したような破水、すごく動揺したが、看護婦さんに「そりゃ出だしたら止まらないわよ」と一蹴され安心する。

夫はもちろん仕事もあるので奈良にいる。一応電話をする。

「もしかして今日生まれるかも?とりあえず入院した」

「生まれたら連絡して」


生まれたら一日遅れくらいで新幹線でくるらしい。
母は自宅待機。生まれそうになったら病院が自宅に電話してくれることになった。初産だから時間がかかるらしい。

・・・ということで私一人。
周りの人たちは母親、旦那様などいっぱい応援団がいる。

「すみません、研修生つけていいですか?こき使ってもらって構いません」

どーぞどーぞ、ようこそ!話し相手ができた!

二人の看護婦の卵が私に付くことになった。


陣痛が始まる。キューーっと激しい痛み。
「ここさすって」
「暑い、うちわで扇いで」
などとこき使う、笑。
痛みがおさまると何ともない。どこが痛かったのかもわからないくらい。おしゃべりに花を咲かせる。
キューー!痛みがくる。。

隣の妊婦さんは騒がしい。
「死ぬー」「痛いー」
わーわーきゃーきゃー。

そんなずっと痛ないやろ!と突っ込みたくなる。そばに旦那様やお母さんがいて甘えてるんだなぁー。

私は甘える人がいないので、痛いときはじーっと黙って息止めて我慢。ふーー、痛くなくなった、を繰り返す。
痛みの間隔が狭まり激しくなってきたとき、
「すみません、出産の時研修生入れていいですか?」
「あ、、はい、、、うぉー痛い!」

・・・後から考えると痛みでどうでもいい!って思ってる時を見計らって考える隙を与えないようにして頼んできたんだろうなぁ。

木馬に乗ったり、体操したり、言われるがままやってみるがなかなか生まれない。
「陣痛が弱まってきた。促進剤を入れますか?」
もう、入れちゃって下さい!早く生まれてこーい!

「そろそろお母さんに電話しますね。」
「あ、眼鏡忘れたんで持ってくるよう伝えて下さい」

夕方の4時近く。先生たちの交代の時間なのか?
「おぉー!生まれそうか?」
なんだかどやどやと大勢部屋に入ってくる。

コンタクトしてなくて見えないが20人くらい??若い大学生??もいる。

でもこの時はそれどこじゃないので痛みと戦い、陣痛も激しくなり、、、

「出てきた、がんばれがんばれ!」

総勢20名くらいに励まされ、無事生まれる。。。


拍手喝采!
看護婦の卵たち、感動しまくって泣いている。

「あれ?お母さんは?」
「なんか道に迷われたみたいでしばらく到着しないみたいです」

あー、終わった。。正気に返る。

「じゃ、今から縫うからね、はい、よく見てー」
あそこにスポットライトを当てられる。

・・・あ、そうか、私の局部を縫い合わせるのを勉強しにきたのね。。

大学生たちが私の周りに集まってくる。。

あのーーー、モザイクかけてもらっていいですか、、顔にも、あそこにも、、

マジかー、、あの意識朦朧としていたときに承諾してもーたがな。
もう早く終わってくれーー!!

なかなかこんな経験ないですよね。。

貴重な体験でした。

全てが終わってからしばらくして、迷子の母親が到着、やっと眼鏡を手に入れ、我が子を見ることができました。

ちゃんちゃん