HPに上げていた小説結構な量があったんだけど、
一番多いのはテニプリだったわ。
後はリボーンとか黒執事とか緋色の欠片とか。
ああ百鬼夜行シリーズの榎木津さん夢もあったわ。
HPに上げてないやつだと刀剣乱舞もあったよ。
ってなわけで過去の遺物を紹介。
時間のある時にとうぞ。
文字の装飾は当時のものです。
デフォ名「藤宮朱里」。
※名前変換は出来ません。
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「はいぃ、これでおしまい」
「すまないな、助かった。お前がいてくれるおかげで俺も練習時間が増えた」
「いや~、そう?一家に一台って感じ?なんだったら付き合っちゃう?お世話しますぜ~?」
「ふむ、興味深いな。構わないぞ。では、部活の時間だ。失礼する」
「お、おい!ちょと待て!今のはその場のノ・・リ・・・」
お調子者のくせに何故か数字に強い私は、柳の口車に乗せられてジュース1本でテニス部の会計を手伝っている。
まだまだ色気より食い気の私はイケメン揃いのテニス部に舞い上がる事もないから使いやすいみたい。
そんなある日、ついポロッと言った軽口にマジレスを返されてしまい、私は一気に頭が冷えたのだった。
っべ~、明らかに面倒な事になりそうじゃん。
・・・そういえば、ダンジョコウサイって、なにすんだ?
男女交際 LV1
「朱里~、今週のジャンプ貸してくれんか?・・・ん、なんじゃ?女モノの雑誌なんぞ見よって。悪いモンでも食ったか」
「おいよ、ジャンプ。つかさー、失礼じゃない?一応生物学上女なんスけど」
「はっはっは。難しい言葉無理に使わんでも。お前さんが女(笑)なんはわかっとるよ」
「”かっこ笑い”って言うな~!」
男女交際とはどんなものなのか、雑誌を買って読んでいたらこれだ。
この反応という事は柳は誰にも昨日の話を言っていないってわけで、やっぱり冗談なんだろう。
でもまぁ、せっかく買った事だしちゃんと読むか~。
「”今時の学生の恋愛事情”ねぇ・・・」
「学校の後図書館で勉強デート・・・これって、単に勉強見てもらってるだけでデートじゃなくない?そんなんデートにしたら私真田とか柳生とデートした事あるってなっちゃうよ」
「俺や幸村ともしとるの」
「ジュースおごらされたけどな!」
よし、図書館で一緒に勉強はデートとは言わないな。
私は手持ちのペンで図書館デートのページに×印をつけた。
さて次はウィンドウショッピングか。
「定番と言えば定番じゃの」
「服なんてバーゲン時にガッと買った方が安上がりなのに」
「お前さんそもそもウィンドウショッピングとかあんませんじゃろ」
「何故分かった」
予鈴が鳴ってとりあえず調査は中断。
男女交際がさっぱり分からない。
柳のは冗談だとして、もし誰かと本当に付き合う事になったとしたら何をする羽目になるのか知るのもいいだろう。
1時限目が終わった直後、テニス部2年の赤也が飛び込んできた。
「朱里せんぱ~い、ジャンプ貸して欲しいっス」
「ジャンプ発売日だからってどいつもこいつも。今仁王に貸してるよ」
「え~っ、ちくしょ~、仁王先輩同じクラスだからずりぃっスよ~」
「じゃあ自分で買いなよ」
「欲しいゲームがあるんでイヤっス」
「・・・・・・」
どうせ赤也が私に近づいてくるのはジャンプのためなんだからもう無視でいいだろう。
私が再び女の子向け雑誌を広げると、何故か興味深げに覗きこんでくる。
「・・・なんでこんなん見てるんですか?正直似合わないっスよ」
「爆ぜろ。いや~、私らくらいの年代って付き合ったとしてなにするんだろと思ってさ。ほら、よく彼氏欲しいとか彼女欲しいとか言うじゃん。その魅力を探っているのだよ」
「爆ぜないっスよ!・・・普通に(ピー)目当てなんじゃないスか?」
「ぁあ”!?」
「いやっ、オレは違っ、違うっスよ!?でも、一般論として、そーゆーのに興味があってもオカシクはないというか」
「目が泳いでるぜ~、立海テニス部のエース君?・・・しかしマジでか。酒と一緒で二十歳になってからじゃないのか」
「先輩意外と真面目っスね?柳生先輩とか真田副部長が泣いて喜びそうっス」
別にあの二人に泣いて喜ばれてもこっちは全然嬉しくないけどな。
雑誌によるとイケナイ事ではあるようだけど、ついついやってしまったせいでの悩みがいくつか載っている。
なにこれ、こんなん自業自得じゃん。
”---しかしながら中~高校生の頃が一番そういう事に興味があるのもまた事実で”・・・マジでか。
うちの一番上のにーちゃんが女漁りしだしたの二十歳過ぎてからだぞ。
二番目のにーちゃんも部活しか興味ねーって言ってるし。
・・・うちの家系がそうなんだな、きっと。
私はそのページも参考にならないページとして黒い×印をつけた。
ついでにさっきのショッピングデートのページも。
「ちっとも参考にならないなぁ・・・」
「あ、ホントに読んでる!」
ニコニコ(多分心の中はニヤニヤ)しながら2時限目終了後幸村がやってきた。
幸村は別にジャンプを借りに来る組ではないので、単なる暇つぶしに違いない。
「詳細は赤也からメールで聞いたよ。これで君が少しでも女の子らしくなるといいんだけど」
「アイツは授業中なにしてんだ・・・」
「自習になったんだって。ふ~ん・・・結構ページ数使ってるね。フフフ、なにこれ?いらないページだからってバッテンつけたのかい?そういう所可愛いよね」
「うるさいなぁ」
私から雑誌を取り上げた幸村が、楽しそうにページをめくる。
下手に見た目が女みたいなモンだから、なんだか妙に似合っているのが嫌だ。
「あ、これなんて朱里君向けじゃないかな?アミューズメントスポットデート」
「ゲーセン巡りなら赤也とか仁王とか丸井としてるけどさ~、あれはデートとは言わないって。マジで血で血を争う戦争が起きてさ」
「ああ、4人で格闘ゲームの対戦に熱くなりすぎて・・・台を長時間占領して店を追い出されんたっけ」
「追い出されてなかったら私が一位だったね!」
「他の3人もそう言ってたよ」
アハハウフフと言いながらゲームなんて出来ない。
戦場でする事と言えばバトルしかないのだ。
お互いヤジを飛ばしあいガチャガチャコントローラーをいじるその姿はどう考えてもデートには見えないはず。
私はそこのページにも大きくバッテンをつけた。
「こんにちは藤宮さん。仁王君を知りませんか?」
3時限目終了後、私の元に現れたのは柳生だった。
キョロキョロと教室を見回しているけれど、あの銀髪の姿はない。
えーっと・・・確か。
「購買部のパンが、実は今の時間にはもう並んでる事を突き止めたらしくて限定ものを買いに行ったよ」
「そうなのですか。・・・彼に辞典を貸していたのですが・・・」
「辞典か。ちょっと待って」
ごそごそと仁王の机を漁ると、いつもなら入っていない分厚い冊子の感触。
それを引き出すとキチンと柳生の名前が書いてある辞典だった。
ホイと手渡すと、なにやら渋い顔をしている。
「他人の机を勝手に漁るとは感心できませんね」
「別にいいんだよ?私は。柳生が次の時間辞典使えなくなっても」
「勝手に漁った事は謝ってくださいね」
「その代わり柳生は返すのすっぽかして購買行った仁王をちゃんと叱ってよね」
「それはもう、こってりと」
・・・こういう時の柳生の笑顔は怖いと心底思う。
ひとまず辞典を取り戻して落ち着いた柳生が、目ざとく私の机に乗った雑誌に目を留めた。
「藤宮さんも女子なのですね・・・。座る時は足を広げず、廊下では走らず、ジャンプばかりではなく名のある本も読むようにすればもっと女性らしくなれますよ。他に気をつけるべきは「もういい」」
柳生はお嬢様学校に通う大和撫子・・・とかじゃないと付き合えないな。
理想が高すぎる。
きっと化粧してる子は好みじゃないけど、清楚系美人が好きなんだ。
そういう人だって、清楚に見える化粧はしてるだろうに。
同学年にまで90度のお辞儀をして去っていく柳生の背中を見ながら、あいつの男女交際は遅そうだと苦笑いを浮かべた。
「よー、朱里、今日の弁当なによ?」
4時限目終了後、弁当箱を抱えたブン太がニヤニヤ笑いながらやってきた。
我が家は「若いうちはよく食べてすくすく育つべき」との方針で割と食事の量が多い。
可愛らしさの欠片もない弁当箱のおかずがこの男のお目当てだ。
・・・くそぅ、うちのかーちゃんが無駄に料理上手なばかりに・・・。
「おっ、肉料理がハンバーグとから揚げじゃん。へへへっ、もーらいっ」
「あんたねぇ!そうやっていっつもいっつもいっつも!!」
「女向け雑誌を読む女らしい朱里に協力してやってんだろ。じゃ、ありがたくオレが食べてやるから。じゃーなー」
恐ろしく食べるくせにブン太は軽やかな足取りで教室を出て行った。
くっそー、昨日の夜におねだりしてハンバーグにしてもらったのに全部もってかれた!
拳を握り締めて追いかけようとした私の肩がグイと引かれる。
振り返ると、そこには苦笑いをしたジャッカルが立っていた。
「あ~・・・っと、これ、ブン太からだ」
「はぁ?」
「いいから開けてみてくれ」
紙袋の中に入っていたのは高級ホテルのバイキングにペアで行けるチケットと、
今週から購買で販売され始め大人気の特製カレーパンだった。
「アイツ、お前のかーちゃんの料理の大ファンらしくってさ、これ、いつもの礼だとよ。・・・まぁ、カレーパン買ってきたのはオレだけどな・・・。バイキングの方はかーちゃんと二人で行ってくれ」
「嬉しくないわけじゃないけど・・・たんぱく質奪われて炭水化物が帰ってきた・・・」
「分かった分かった、オレの焼き鮭やるから」
「他のヤツならともかくジャッカルの弁当だけは奪えないって」
いろんな意味で苦労している善人の弁当を奪うほど私は鬼じゃない。
ジャッカル達がいなくなった後、私はカレーパンを少しだけ分けるという方法で教室弁当組から肉料理をせしめた。
かーちゃんチケットと料理のファンと両方の意味で喜びそうだなぁ。
いつバイキング行くか分からんからしばらく休日の予定は空けておこう。
「なんだか結局ほとんどのページにバッテンがついてしまったな~」
なんの参考にもならなかった。
この雑誌が悪いのか、それとも他の雑誌も書かれている事は大して変わらないのか。
どっちにしても用がなくなった雑誌をグルッと丸める。
そのままゴミ箱にポイしようとした瞬間・・・
ぶ~ん
「キャアッ!ハチ!」
「皆騒ぐな、騒ぐと興奮するぞ!」
大きな蜂の登場に教室は騒然となった。
・・・・・・。
今、私の手には筒状にした雑誌がある。
昨日、私は真田の家に遊びに行って無理やり剣道の真似事をさせてもらった。
「きええええいっ!」
スパーン!
電光石火、私の振るった雑誌が蜂を一撃で叩き潰す。
「ちょ、どうよ今の真田のマネ!持ちネタに出来るLVじゃない!?」
「いやいや完璧完璧。あの叫びは真田君だったわ」
「女らしさは死んだけど男前度が上がったよ」
友達から絶賛され、にへにへ笑う。
あの告白騒動はウソっぽいし、女らしさが死滅したとしても虫嫌いの友達が助けられたならよかったよ。
そしてこのネタは今夜にーちゃん達に披露しよう。
「・・・お前が男で、テニス部にいたら3強が4強になっていたかもしれんな・・・」
「あ、真田」
「昨日はふざけてばかりで教えがいのないヤツだと思っていたが、今の型、ほぼ完璧だったぞ」
「おお、マジでか」
まさか真田にまで褒めてもらえるなんて。
辛口評論家みたいに人を褒める事は殆どない真田だ。
これは帰りに宝くじを買わなければならないLVである。
「そういえば何しにうちのクラス来たの?仁王に説教?」
「いや、蓮二が・・・共に帰りたいが日直なので少しだけ待っていて欲しいと」
「ふーん?またうちの近所の大型書店に用事かな」
何故かうちの近くに神奈川で一番デカイ本屋があるので、柳とか柳生と一緒に帰る事が多いのだ。
ああ、もちろん部活が休みの日のうちで・・・だけど。
もうすぐテストがあるのでさすがのテニス部も活動休止らしい。
赤也、欲しいゲームがあるとか言ってたけど大丈夫なのかな?
しっかし友達の伝言をわざわざ伝えに来るなんて、真田は柳に弱みでも握られてるのだろうか。
「今日はお前の話が色々入ってきて面白かった」
「いやぁ、休み時間のたびに誰かが来たよ」
「それで、『男女交際』は把握できたのか?」
どんな話を吹き込まれたやら、微妙に機嫌のいい柳と帰り道を歩く。
時々ある事だ、緊張なんてしない。
周りも、女らしさの欠片もない私とテニス部が一緒に遊んだり帰ったりしても何も言わない。
「全っ然ダメ。関係ないページにバツつけてたら全部埋まっちゃったよ」
「深く考えすぎなんだろう」
「おやおや、何やら手馴れているお言葉ですねぇ。実は百戦錬磨の猛者だったりするわけですかい?」
「そんな勘違いはされたくないな」
彼女がいる事を自慢する男子もいるけど、柳は古風だなぁ。
不本意そうに眉をしかめる友人の肩を宥めるように叩く。
さっきのはもちろん冗談で、柳はまったく女性関係が派手そうには見えない。
パッと見なら仁王とかブン太とかあたり派手そうだけど、私とゲーセンで熱くなってるようじゃあね。
「・・・そうだな、では素人向けのデートでもするか?」
「は?素人向け?」
「手を出してくれ」
「???」
言われるがままに手を出せば、ギュウと握られる。
「ちょ!?」
お子様ではないのでさすがに手をつないで帰るのは恥ずかしい。
イメージ通り手は冷たくて、イメージと違って案外ゴツゴツしている。
傷一つない手と思いきや、テニスのラケットの振りすぎでタコ出来てるし。
ただいつも通り帰ってるだけなのに落ち着かない。
「え、これ、いつまでなの」
「落ち着かないか」
「落ち着かないよ!なんだこの羞恥プレイ!」
「まぁ素人はここから、という事だな。俺も落ち着かない」
いつも通りのポーカーフェイスでそんな事を言う。
っていうかさ、結局あれは冗談なの?マジなの??
ものすごく何か聞きたそうに見つめる私に笑って、柳はふたたび歩き出した。
・・・手をつないだまま。
fin
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私はこういうどっちつかずな状態は書くの得意なんだけれど、
いざ両思いになると筆が止まるという完結出来ないタイプの書き手でして。
こんなんばっかりだよ。
テニプリの本命は跡部なんだけれどもね。
跡部と柳と幸村と仁王と日吉・・・の話があったわ。
リボーンは雲雀と骸・緋色の欠片は狐邑先輩。
うたプリも書いたんだけど見つからないなぁ。
まぁそんな感じ。