先日の続きです。
バリバリというノイズは出なくなったので、これで直ったと思っていたのですが、少し通電していると音声が小さくなってきました。音声レベルも変動しているようです(たまに元に戻るときもある)。
なので、再度シャーシを筐体から取り出して波形を観測。どこでレベル変動が起きているのか調べました。
昨日クリーニングしたAM/FM_IFTが吸湿により、また絶縁度が低下したのかと思いましたが、その部分は問題ないようでした。
今回の原因は3段目のAMのIFTの二次側で発生していました。②の部分です。
このIFTは455KHzにチューニングされているのですが、コイルとパラに入っているコンデンサの容量が変動し、同調周波数がズレるために、2次側の出力振幅が変動、検波出力も変動していたのです。
仕方がないのでこのIFTも取り外すことになりました。
中身を取り出しました。
このIFTは先日取り外したAM/FM_IFTとは異なり、1次側と2次側を小容量でカップリングするコンデンサはないのでマイカ板の電極もシンプルになっています。
、
ただ、やっぱり電極間の距離が近いので湿度による絶縁度低下が心配なためマイカ板の電極の上に薄い絶縁フィルムを入れてコンデンサの容量が無視できるようにし、コンデンサは外付けで対応するようにしました。
こんな感じです。外付け容量は何種類か試した結果、120pFが良かったです。
これで数時間通電していも問題なく動作していたので、また、シャーシを組み込み、さらに通電、動作確認をすること数時間。
特に問題出ず。ということでいったん電源OFFです。これで直ったのか。
ところが、翌日(本日)朝起きて電源を入れてみると、また、小さなノイズが出ていることが判明。
くっそー、直ってへんやんけ、ちゅーことで再度シャーシを取り出し、ノイズの発生箇所を特定することに。
今度はどこからノイズが出てたかというと、初段の455KHz IFT の2次側から出ていました。③の部分です。
次から次へと問題がでますわ。
おそらく最初から出ていたのかもしれませんが、他のノイズの方が大きかったため、目立っていなかっただけかもしれません。
このIFTも取り外す羽目になりました。からげ半田は取り外しに苦労します。
このIFT-AもIFT-Cと同様、内蔵されていたコンデンサは機能しないように電極の間に絶縁フィルムをいれ、外部に120pFのコンデンサを追加しました。
回路図で示すとこんな感じです。
これでノイズは出なくなったようです。どうもマイカ板の両面に銀の塗料を塗って形成する容量は経年劣化を起こしやすいようですね。アメリカ製のラジオでノイズが出たり感度が悪くなったりする原因にIFT内に仕組まれたコンデンサの劣化があることが多いです。
ところが、今までほとんど気にならなかったFMにノイズが出ることがわかりました。
え~っ、どーなってんねん。次から次へと問題が出てくるがな。
これも、どこが発生源かを調べまくった結果、初段のFMのIFTの出力振幅が変動していることがわかりました。FMは後段でリミッターをかけるため振幅の変動に対しては割と強いのですが、やはり聞いていると気になるので対策します。
回路図で示すとこの部分(④の部分)です。
FM IFT-Aを取り外しました。周波数が高いのでコイルの巻き数も少ないです。
マイカ板上に形成されているコンデンサも小さな容量でよいので面積は小さいです。ただ、塗布されている電極の一部が剥離しています。
この部分にも絶縁シートを入れ、コンデンサは外付けにしました。容量は20pFが最適でした。
このあとAVCラインやデカップリングに使われていたペーパーコンをフィルムコンに置き換えました。
絶縁度が低下していましたが日本製の同時代のペーパーコンと比べると絶縁度は高かったです。優秀ですね。
これで数時間通電し、問題ないようなのでシャーシを筐体に入れました。
最終的に、4個のIFTを外して手直し、数個のペーパーコンデンサを交換、1個のソリッド抵抗を交換でなんとかなりました。
明日、再度動作確認し、問題ないようであれば本機の修理は完了とします。