ナショナルのラジオ T-100 | じんけいの修理日記

じんけいの修理日記

趣味とボケ防止を兼ねて古いラジオの修理を楽しんでおります。https://jinkei.sakura.ne.jp/

中波と短波SW1, SW2, SW3の4バンドラジオなのだけれどSW3が受信できない、ライトが点灯しない、トーンコントロールの効きが悪い、内部がいじられているようだということで送られてきたものです。外観は結構きれいです。

 

 

 

 

 

 

コの字型のアンテナが付いており、立ち上げるとこんな感じ。

 

 

 

 

 

背面はというと、

 

 

 

 

背面に貼付されている機銘板です。

 

 

 

 

電源を入れると確かに中波、SW1, 2は一応受信しています。

 

 

内部を確認しようと背面のネジを回すと、どうも固い。

何とか取り外してみると、、、、

 

ネジの山が潰れてしまっていました。使われていたネジはISO規格のネジ(現在一般に使われているネジ)でした。当時の日本のラジオ(ラヂオ)に使われていたネジはISOネジとはピッチが異なっているため、無理やり締めるとこうなるわけです。

昔のネジを探し出して交換することにしましょう。

 

 

 

 

 

裏蓋を外して内部を見たところです。

 

ラジオは動作していたので、どんな電池が使われるのかと思ったら、な、なんと、006Pやんけ。

 

 

回路図を見ると、確かに9Vのバッテリーで動作することになっているのだけど、、、、

 

 

 

 

ライト(ダイアルスケールとバンド表示用)が点灯しないということだったので、どのような接続になっているのか確かめたところ、ライトに通じる線は繋がっていないことが判明。回路図や基板間接続図を見るとライト用には専用に別途1.5Vの電池が必要なのです。

1.5Vを供給すると、SW1, 2, 3表示ランプは点灯しましたが、MWとダイアルスケールの照明ランプは点灯しません(断線していた)でした。本来のライト周りの結線図はこのようになっています。

 

 

おそらく以前の持ち主が1.5Vの電池のところに9Vを印加し、MWを受信、この時ライトボタンを押したのでしょう。1.5V電球に9Vをかけると一瞬で切れてしまいます。(このT100シリーズにはT100DとかT100Fなどいろいろ有って、ライト用の電源をラジオ用の電池と共用しているものが多いのです。本機も共用できると思ったのかも)

 

 

いくつかのケミコンがすでに交換されていました。

 

 

 

 

 

シャーシを取り出して正面から見たところです。

 

 

 

 

 

何度も分解、組み立てをおこなったのか、あるいはネジを締め過ぎたせいなのか多くのボスが欠損していたりクラックが入っていました。

 

 

 

 

少なくともシャーシを固定するボスは何とかせんとあかんのでプラリペアで欠損している部分を再生しました。

 

 

 

 

 

 

ダイアル糸、ダイアルパネルを取り外し、ムギ球をLEDに変更しました。

 

 

 

取り外したムギ球です。このうち3本は切れています。

 

 

 

ライトは9Vのラインから取ることにしたので1.5Vの電池は不要になりました。ライトボタンを押している間だけLEDが点灯しますが、点灯するLEDはダイアル照明用が2個、バンド表示用が1個の計3個で、トータル電流は9mA程度です。

 

 

いくつかのケミコン、セラコンを交換し、再調整しましたが、どうもSW2の局発発振レベルが低く、SW3は周波数がズレ過ぎで、発振しない帯域もあります。

局発のトランジスタが少し劣化していたので、いろいろと交換してみたのですが、SW2は改善しましたがSW3は何ともなりません。局発コイルもしくはコイルとコイルに繋がっているコンデンサが怪しいのですが、この部分、4接点2回路のロータリースイッチが4枚使われており(したがって4接点8回路をバンドごとに切り替えている)部分的に予め組み立てたものを(コイルパックのようになっている?)載せているようで、部品の交換やチェックができません。なので、残念ながらSW3は受信不能のまま(17MHzあたりを受信している?)です。

 

 

写真は取り外した局発のトランジスタ。松下製2SA70です。当時の優秀なトランジスタで、ケース天面にSONYロゴが付いているソニーのラジオも何台かありました。

 

 

 

何個か試したのですが、現在は下の写真のトランジスタ(2SA230)を基板の裏側から付けています。

 

 

 

 

 

ダイアル糸は外したついでに新しいものと交換しました。

調整も何とか終了しMW, SW1, SW2はメモリずれも少なくなりました。トーンコントロールも利くようになりました。ただ、BASSをMAXにしても最近のラジオのようにボンボン低音が出るわけではありません。

 

 

動作確認をしています。ライトボタンを押すとちゃんと点くようになりました。

 

 

 

 

そういえば本機には外部入力(PHONO入力)端子が背面にあるのでした。ここに外部から信号を入れてどんな音が出るのか聞いてみようとしたところ、、、、

 

 

あれっ? 音出てけーへんやんけ。なんでやねんということになり、外部入力端子部分を確認。

 

 

 

 

 

フォノ入力ジャックを取り外してみると、、、、、

 

何じゃこりゃ?! どこにもつながっとらんやんけ。どーなってんねん??

前の持ち主、何がしたかったのでしょうか。

音が出ない原因はわかったので、ここは回路図を頼りに元に戻しました。外部からここに信号を入れると本機がアンプとして働きます。

 

 

あとは電池の固定をどうするかです。

006Pではさすがに長時間は鳴らせんやろう、せいぜい10~20分程度か。オリジナルは単一乾電池を使用していたようですが、最近の乾電池は昔のものと比べて容量が増えてきているので単二乾電池でも十分だろうと思うので単二のホルダーを探し出しました。

 

この電池ホルダー、スナップ端子で接続するタイプなのですが、この電極間の距離がまちまちで、合うものがありません。

 

 

 

 

 

仕方がないのでバラの端子をくっつけて何とか脱着できるようにしました。

こんな感じです。

 

 

 

コードを取り付けて電池ボックスの電極と勘合させたところです。ネジの出っ張りはカットして、絶縁テープを巻きました。

 

 

 

 

ラジオ本体の電池ボックスを受ける部分は下の写真のように細工しました。

 

 

 

 

 

電池ボックスを載せるとこんな感じ。

 

 

 

 

これではガタつくのでスポンジを追加し、裏蓋を閉めるとガタつかないようにしました。

 

 

これで完成や!と思ったのだけど

   ・

   ・

   ・

   ・

   ・

   ・

問題が見つかってしまいました。

 

 

電源を入れても音が出ません。うんともすんとも言わないのです。

 

 

最初は電池が空になってしもたのかと思ったのですが、、、

 

原因は古い電池ボックス(未使用の長期保存品)と新しい電池にありました。

これが原因です。

 

 

今の電池は昔の電池に比べて太くなっているので昔の電池ケースだと遊びがなくなってしまうのです。

 

その結果どうなるかというと、こんなことが起きるのです。

 

 

 

 

電池の規格を調べると、太さや長さなどには範囲が規定されていて、昔の電池も現在の電池もどちらも規格内ではあるけれど昔の電池は規格の下限に近い値、今の電池は規格の上限に近い値になっているようなのです。なので、昔の電池に合わせた電池ボックスだと今の電池はちょっときついのです。

 

 

 

 

電池ボックスの壁を左右に手で少し広げると電池が動きやすくなるので、接触が悪くなった時には電池ボックスを手で数十秒押し広げてください。接触不良が改善されます。

 

電池を装填した状態で発送いたしますので受け取り後電源が入るかどうか確かめてください。

 

もう少し状態を見て、問題ないようであれば明日発送いたします。