久しぶりの読書タグです。

 

ネタバレを含みますので、ネタバレが嫌な方は

私が適当な画像を貼りつけている間にブラウザの戻る操作でお帰りください。

 

 

はい! 帰りましたね!?

マダデスカーーッ!

 

(本当にいい加減に貼りつけているため、後でこの画像は何だとか聞かれてもお答えできません)

 

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あらすじ 1

 

主人公は生活維持省の役人である。

その日も上役から仕事のカードを数枚受け取り、同僚と車で仕事に向かった。

 

犯罪も事故も病気もない、平和な世界。

それは、国民一人当たりに充分な広さの土地を確保しなければならないという政府の方針のおかげだった。

 

「我々は、決められた仕事をその日のうちに終えればいい」とか

「僕は結婚したらああいう家に住みたい」「僕はあんな家がいい」とか、

 

「たったひとつのことを除いては、良い世界だ」

「必要悪は、もはや悪ではないよ」とか

2人は色々と雑談しながら目的地に向かった。

 

最初のカードが示す家は、花壇のある家。

「アリサ」という少女が暮らす家だ。

 

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★ 私が勝手に作った前日譚(本文とは無関係です。)

 

偉い人1 「我が国の人口増加問題は危機に瀕しています。

ある専門家によれば、このまま人口が増え続ければ、早ければあと数年で深刻な資源不足や食糧危機が起こる危険性があると…。

何とか早急に人口を抑制しなければ、戦争になりかねません」

 

狭い会議室のようなところで、偉い人が2人コソコソと話し合っている。

 

偉い人2 「人口抑制か。昔、中国では『一人っ子政策』というのがあったな。

あれをそのまま我が国でも行えばどうかと思うのだが……。」

 

1 「出生率を下げて人口を減らすのですか?

何もしないよりはマシでしょうが、成功したかどうか見極めるのに時間がかかります。

人間の寿命は長いですから、結局は少子高齢化が進んでしまいます」

 

2 「…では、代案があるというのかね?」

 

1 「もう産まれた者を減らすんです…。

老若男女のバランスがとれるように、計算機を使って無作為に平等に」

 

……

(勝手に作った前日譚 終わり)

 

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あらすじ 2

 

玄関にアリサの母親が出てきた。

主人公たちが生活維持省の役人であることを知ると、「死神…」と言って気絶しかけた。

 

生活維持省の役人の仕事は、カードに書かれている人物を光線銃で殺害することである…。

 

「アリサの代わりに私を」と懇願する母親。

これは政府の方針だから仕方がない、秩序を乱すわけにはいかないと説得する主人公。

「アリサは木イチゴを摘みに行っているけど、せめてお別れする時間が欲しい」と言う母親。

そんなことをしたら本人が苦しい思いをすると言う主人公。

 

皆でこの世界を平和に保つためには、皆で決めた方針に従うしかない。

皆がわがままを主張して、その方針をやめてしまえば 元のように人口が増え、ストレス社会になる。行きつくところは戦争だ…。

戦争を防ぐためには、皆が公平に負担を受けなくてはならない。

と、何百回も繰り返してきた説明をする主人公。

 

…木イチゴの入ったかごを持ち、明るい歌を歌いながら玄関に近づいてきた少女は、幸せな気分のまま光線銃に斃れた。

 

……

 

「今度はどこだ?」と聞く同僚。

「さっき通った小川のあたりがいい」と返事をする主人公。


主人公は、同僚にカードを見せた。

自分の名前が記載されているカードを。

残りのカードと光線銃を彼に預ける主人公。

「最後にすればいいじゃないか」という同僚に、「自分で決めたのだから これでいい」と返事をした。

 

この話は、皮肉の金塊のような主人公の台詞で終わっている。

 

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お疲れさまでした。

感想文その他です。

 

「戦争さえなければ、平和な生活ができるのに!」

とか、「〇〇さえなければ」という考えは 結局のところそれに替わる脅威ができるだけであるというのが話の1つのポイントになっている。

 

主人公は、同じ説得を何百回もしてきた。

同僚も(あらすじには書かなかったが)倒れそうになったアリサの母を慣れた手つきで支えている。

 

親しい者の死を目の前にして、抵抗する人間がそれだけたくさんいたということを意味している。

 

「これは、本当に『良い』方針なのか」

仕事をしている主人公も、疑問に思っている部分があるのだ。

 

 

◆生活維持省の役人には、感情が無いように感じられる。

 

「結婚したらああいう家に住みたい」とか、月並みな夢を語るシーンはあるが

話が結構淡々と進んでおり、主人公や同僚の表情がよくわからない。

 

アリサの母と対比して、母の悲しみを強調するため とも考えられる。

しかし、主人公たちはこの仕事を続けているうちに感情を失くしてしまったのではないか? とも考えられる。

仕事をするたびに遺族に同情して泣いていたら、仕事が片付かない…。

 

◆アリサの母の「せめてお別れをしたい」という意見に反対したのは?

 

本文中にあるように、死をわざわざ宣告してから行うというのは本人にとって辛いことだから…と配慮したのだろう。

 

…が、本当にそれだけなのだろうか?

 

役人2人が車に乗っているシーンで、「仕事をその日のうちに終えればいい」という台詞が出てくる。

→いままで、子供が怖がって逃げて捕まえるのに時間がかかり、仕事が終わらなかったという失敗をした経験があるのではないか?

そう考えると、「アリサに逃げられないように」こっそり殺害したのでは…

という憶測もできる。

 

◆残りのカードには、誰の名前が記されていたのか?

 

主人公がカードの中身を知っていたのかどうかは、きちんと書かれていない。

自分の名前のカードがあるというのを知っていて、自分が最後にならないように工夫してカードを出したのなら…

残りのカードには即ち「自分で殺したくない人」の名前が記載されているのではないだろうか?

 

残りのカードは、同僚かもしれない。

感情を失っているような主人公の、最後のメッセージなのではないだろうか。

 

……

 

戦争も病気も犯罪もない平和な世界。

住みたいだろうか!?