はじめに

 

4月の「旅猿」的大人旅のドライブ中、元同僚から奨められた本があります。それは、『幸福の「資本」論』です。

 

本日はこの本を読んで、アーリーリタイア3年目を迎えた立場から感じたことを綴っていきます。

 

  2017年の橘玲さんの著書

 

本書は橘玲さんの2017年の著作です。

 

これまで橘玲さんといえば、2002年の著書「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方」がベストセラーになって、お金持ちになるためのハウツー本の著者のイメージでした。

 

しかし、この本はお金も含めた「3つの資本」から「幸福とは何ぞや」を捉えており、「幸福はお金だけでは手に入らない」と感じている『たぬきだに』には腑に落ちる内容でした。

 

  3つの資本とは

 

簡単に「3つの資本」とは、

 

①金融資本:経済的独立と自由

②人的資本:天職(仕事)で自己実現

③社会資本:強いつながりの「恋人・家族・親族」を核に、弱いつながりの「友情・趣味・ビジネスの仲間」で構成

 

で、①~③を一体として、個人の価値観に合わせ「幸福な人生」を設計することが大切だ、と述べています。

 

そして、この①~③の資本の持ち具合いで、超充・旦那・金持ち・リア充・退職者・ソロ充・プア充・貧困と8つに分類してイメージ化するなど、とても分かりやすく感じました。

 

超充 :①②③を高いレベルで保持

旦那 :①③ ⇒社会に資産を還元

金持ち:①② ⇒恵まれた仕事と充分な資産

リア充:②③ ⇒若者に多い

退職者:①のみ⇒資産の大半が年金の単身者

ソロ充:②のみ⇒駆け出しの自営業者に多い

プア充:③のみ⇒マイルドヤンキー

貧困 :全て無し

 

「超充」の様に①~③を高いレベルで実現することは凡人には難しいので、個人の価値観やライフステージ、それぞれの資本の状況から取捨選択し、「幸福な人生」を設計していくことが重要と解釈しました。

 

いずれにしても2つ以上の複数の資本を並行して持ち続けることが大切で、1つしか持っていないとちょっとしたきっかけで、貧困や孤独に陥るリスクが高い、としています。

 

  3つの資本は時間軸で変化

 

加えて筆者は、これらの資本の持ち具合は人生の流れ(時間軸)の中で変化していくものであり、例えば、

 

「若い頃は『リア充』⇒その後成功して資産を形成し『金持ち』⇒最後は社会貢献のために資産を還元する『旦那』になる」

 

などのパターンがあると解説しています。

 

『たぬきだに』はレベル感は別として上記のパターンが理想かな、と現時点では感じています。

 

主観では無く、様々な論文をベースに考察した上で結論づけているため、かなり説得力のある本だと思いました。

 

  欲を言えば

 

著者は巻末で、マイケルジャクソンさんは幸福だったか?、として富も名声も手に入れた「キング・オブ・ポップ」の最期について述べています。

 

マイケルジャクソンさんは「限界効用の逓減(※)」が関係し、ショーに完璧さを求めるあまり不安になり、極度の不眠状態となったことで最期を迎え、幸福になれなかったとしています。

 

ですが、上記の様に本全体を通じ、「幸福感」の全てをドパミン的幸福感(限界効用の逓減)の観点から述べられている点については若干疑問が残りました。

 

以前投稿した樺沢紫苑さんの著書の言葉をお借りすれば、

 

ドパミン的幸福感が幼少期(ジャクソン5)から大きすぎたため、セロトニン的幸福感やオキシトシン的幸福感の大切さを知らずに、ドパミン的幸福感がこれらの土台を押しつぶしてしまったことが原因、

 

と考えれば説明がつくような気がしました。

 

※限界効用の逓減:良いことも悪いことも慣れてしまうこと

 

<ドパミン的幸福感とセロトニン的幸福感&オキシトシン的幸福感との違いはコチラ>

 

  一番共感した言葉

 

そして、巻末の一文に最も共感を覚えました。

 

”幸福な人生を目指して頑張っているときが、もっとも「幸福」なのかもしれません。”

 

その通りだと感じます。あと何年か子育てを頑張り、夫婦揃っての「移住」を実現します!!