世界に衝撃を与えたイギリス国民投票によるEU離脱の決定、いわゆる「ブレグジット」から数ヶ月が経った。
これから数年を費やして、イギリスとEUは離脱交渉を進めていく事になるのだが、
先日、ニュースサイト「ハフィントンポスト」でこんな記事がアップされていた。
http://www.huffingtonpost.jp/2016/09/25/boris-johnson_n_12178752.html
その見出しは、 『「ボリス・ジョンソンはEU離脱派の敗北を願っていた」同僚議員が告白』である。
どういうことだ??
ボリス・ジョンソンといえば、その過激な振る舞いから「イギリス版トランプ」なんて呼ばれている個性的なおじさんだが、EU離脱派のリーダーであり、国民投票での離脱派勝利の立役者とされる人物だ。
その彼が、実はイギリスのEU残留を望んでいたというから驚きである。
離脱派の勝利は想定外!?
乱暴に言えば、イギリス次期首相の座を狙っていた彼にとって「EU離脱」とは、低所得者や保守層の人気取りのためのエサだったというわけである。
EU体制をボロクソにこきおろす裏で、内心は離脱した場合のリスクは手に負えないと、残留を望んでいたという。
ところがどっこい、国民投票の結果本当に離脱派が勝ってしまった。
自身の野望を叶えるため大衆を煽りまくった結果、国家を巻き込んで自爆してしまったという訳だ。
もはや頭の中が真っ白に…と彼は党首選を辞退。しれっとフェイドアウトしようとしていたのかもしれないが、新首相になったテリーザ・メイによって、まさかの外相に任命されてしまうのである。
「アンタちゃんとケツ拭きなさいよ」というメイ首相の心の声が聞こえてくるようだ…。
若干のフォローを入れておくと、彼はあくまで離脱派のいちアイコンに過ぎないし(独立党のファラージというロクデナシもいたが)、そもそも国民投票というギャンブルに打って出たキャメロン前首相の責任も大きい。
「ブレグジット」が鳴らす警鐘
今回の騒動において、離脱派は人々の感情を”過剰"に煽りたてる「ポピュリズム」的な手法を展開した。その結果、“煽っている側”ですら予想をしていなかった熱狂が巻き起こり、事態が想定外の方向へ流れてしまった。
大げさかもしれないが、民主主義の非常に危険な一面をかいま見たような気がする。
民主主義先進国のイギリスで起こったこの出来事は、もしかしたら、今世界中の国において熱狂の渦中にいる人々に対する、ひとつの警鐘なのかもしれない。
国民投票が終わった後に、今さら「EUって何?」とGoogleで検索してもすでに遅いのである…。
〈想力戦研究所 URL〉
http://souryokusen.jimdo.com