山で生きる人々というものは、
平地と別の文化圏を持ち、
自らの意志で外部と関わることを辞めた集団というイメージがあったが
これらは一部誤りであることがわかった。
もちろん、そういう部分もあるが
山で生きる人も生活必需品があり
余剰生産物を持って交易に行くことがあること。
高い技術力が平地人にとって重宝されていたことが面白い。
そのままのサイズを使う巨木の流通経路などは
河川を使うにしても、その大変さは
どうすればできるのか想像できない。
違いはあるが、宮本氏は山地の人や文化を決して
劣ったものとみておらず、「古語は辺境に残る」ではないが
日本の原始的な姿を
これらから迫ろうとしたのかと思う。
彼らと時宗との関連に触れている部分では
網野善彦氏の著書で一遍上人絵巻から当時の職人の社会的地位の変化を考察していたと
記憶しているが、もしかすると宮本常一氏の
このような部分から着想を得ていたのかなと想像する。