エイロックの罪 | たぬきの些末事

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最近はinto the Rose Garden の取り留めない感想を書き綴っています。

コミックシーモアのネタバレあります


エイロックは大きな罪を犯した。


2人の出会いはテイウィンド邸の大きな杉並木の中。気持ちのよい木の香りが満ちていた。

出会った瞬間からエイロックは恋に落ちた。並木の中を進軍する君主のように見えた。邸に何度も招待した。

エイロックは傲慢だった。近づいてくる人々を見下していたが、貴族としてそんな素振りは見せていなかった。クロップに対しても自分に好意を抱くに違いないと確信していた。ところが、クロップはラファエロとお付き合いをしていた。実はクロップもエイロックのことが気になってはいたが、上から目線の言動に嫌気がさしていた。2人は確かに似ているがラファエロは素直で優しくアイツとは大違いだと考えていた。エイロックは僕を振り向かせるためにラファエロをだしにしているだけだろうと思ったが、実際に婚約までしたと聞くとショックを受けた。僕の方が何もかも優れているというのに。恋愛は優劣など関係ないよね。悔しさを忘れるために音楽や乗馬など他のことに打ち込んだ。でも、忘れられなかったんだね。

やがて2人は結婚しほどなくラファエロは身籠った。そんな2人と会ったときエイロックの燠火のような嫉妬心は業火となった。激しく燃え上がり、取り返しのつかない大きな罪を犯すことになった。


あぁ、やめておけよ、エイロック


「美しい花嫁に罰を」と金貨を渡した。結果、身重のラファエロは強姦されお腹の子と共に非業の死を遂げた。


エイロック!何と惨いことをしたんだ!


クロップの復讐が始まる。エイロックは「死までを望んでいた訳じゃない」と心で言い訳をした。何を言ってるの、そんな言い訳通じるわけないでしょ。


これがエイロックの大きな罪。


クロップはエイロックの邸を手に入れ、惨い復讐をしていく。はじめはバレてはいないだろうなど希望的観測をしていたがそんな希望は打ち砕かれ酷い目にあっていく。どうやってもクロップが僕を許すことはないと気づいた。


それなのに、人生は祝福だと言うの!?クロップに会いたい。我が子を一度でも抱き締めたい。そのために生きていくと。


「涙を見せてみろ、泣いてみろよ」と言われたとき、泣けなかった。貴族としての教育の多大なる成果のせいで。「僕だって傷ついているんだ」


クロップに会えるだけで幸せのはずだったが、そうじゃなかった。もっともっとを欲してしまう。惨めな姿でもクロップを求めてしまう。ラファエロについてどう思っていたかはこのあたりには出てこない。


でもクロップに「お前の惨い死を望んでいる」と言われたとき「なんだ。全部が僕のせいじゃないか」と気づいた。


死ぬ間際になってクロップに謝罪し、涙を流した。「目が熱い。僕は泣いているのか」

ラファエロに本当に惨いことをした、同じ目に遭って死のうとしたがお腹の子を守るために抵抗してしまった。ラファエロも愛する人の子を守るために抵抗したんだろう。もしラファエロに会えたら心から謝りたい。でも、会うことはないだろう、ラファエロは天国にいて、僕は地獄に堕ちるのだから。