桂望美の「我慢ならない女」に続き、「諦めない女」を読み終えた。

306ページ分の250ページほどを今日読んだ。

 

僕にとっては「我慢ならない女」が桂望美の初めての作品でとても面白かったのだが、

今回の「諦めない女」は、前作以上に面白かった。

1日で250ページも読むのは、この数年ではなかったことだ。

そのくらい面白かった、惹き込まれたということだ。

 

主人公は形式的には、このネタなら絶対に売れるという確信のもと、ある事件について関係者に取材を重ねノンフィクション作家としてのデビューを図ろうとする小物で食いつないでいるフリーライターなのだが、実質的には主人公は何人もいると思う。

この書き方は「我慢ならない女」に似ていると思った。

 

母親と一緒にスーパーに来ていた小学1年生の女の子がスーパーの駐車場で、母親が10分ほど目を離した間に行方不明となる。

行方不明になった原因は何か分からないまま数年過ぎ、関係者は諦めの感を持ち始めるが、母親だけは無事を信じ、捜索ビラを近隣の各駅で渡し続けるばかりの生活となり家事放棄、離婚に至る。

女の子は、子供専門の外国の誘拐組織による誘拐で、その目的は諸々の理由に対する子供の売買であり、買い手がつくまでは無人島での集団生活だった。

7年後、犯罪が発覚し、幸いにも上の女の子は無傷で母親のもとに帰ることができ、しっかりした子として成長していくのだが、母親は心配のあまり帰ってきた娘を束縛するようになる。

これらのことは、事件の数多くの関係者への取材によって分かっていくことなのだ。

そして、主人公が書こうとしているノンフィクションは、この誘拐事件のことではないのだ。

このネタなら絶対に売れるという確信を持つ事件とは、誘拐から12年後に起きた事件のことなのである。

 

読み始めから読み終わるまで、

いったん休憩ということが惜しくなるような止められない小説だった。