僕にとっては、桂望実の小説は初めて。
しばらく前から、読んだことのない作家の本を読むようにしている。
前回の中島京子の「小さなおうち」とはまったく作風が違うが、
「我慢ならない女」・・とても面白かった。
新人作家が苦悩しながらも30年かかって揺るぎない大作家になっていく話が核となっているのだが・・・
主人公は、作家とそのマネージャー的な役割をする姪、この二人だと思う。
姪は作家の10歳ほど年下で子供のころ、のちの作家となる叔母に本を読んでもらうのが大好きな少女だった。
家庭の事情もあり、姪はその叔母自身のことも大好きで、高校を卒業するころ叔母が新人賞を取って以来、自ら進んで叔母の下働きをするようになり、さらには叔母の才能を信じ叔母の作家活動が上昇気流に乗るように最大の努力を惜しまないようになる。
作家の叔母は自分の作風に頑なため姪は編集者とのやり取りに苦労をする。
いいときだけ利用してあとは知らん顔する者、叔母に対しずる賢い振る舞いをする者等が登場するが、作家は作風を変えることもなく、姪も活動をやめることもなく叔母の応援を続ける。
・・・最後には、気持ちが晴れ晴れとするような形で小説が終わる。
僕が、あらすじを書くとこんな程度しか書けないのだけれど、
小説内小説があったり、生活環境や生まれによる「業」のことや、スカッとするような復讐劇があったりと非常に面白い。
文体も、読んでいる間に主語が入れ替わっていたりがあって、それが違和感なく面白く読み進んだ。
また、好きな小説家が増えた。
今日からは、これ↓だ、楽しめるかな・・・