墓参りに行った


広い公園墓地 桜並木が続いている

満開の桜の下を歩く

粉雪のように 花びらが風に舞っている


母と歩いてみたかったな 
ふたりで こんな舗道を


そんなことを今ごろになって悔やむ


初夏を思わせる陽射しのもと
墓石は 人肌くらいに暖まっていた

僕は 墓石をなでてみた
石なのに手の感触が柔らかい


母の温もりを思い出した
母の温もりなんて もう ずっと昔のことだ


おかあさん 会いたいな
桜の木の下を歩いてみたかったな


病院のベッド たったひとりで
誰にも看取られずに 
死んでしまったおかあさん


どんなに淋しかったことか
どんなに悲しかったことか

かわいそうに 本当にかわいそうに


暖かい墓石は 母のようだった