【ストーリー内容】
まる子が居間でくつろいでいると、お母さんが瓶を持ってやって来ました。その瓶には黒豆の甘露煮が入っており、近所のおばさんがおすそ分けでくれたものだそう。まる子は大喜びし、早速お茶を飲みながら食べようと言います。
ところが、お母さんが瓶を開けようとしても、フタが固いのか開きません。改めて力を入れて開けようとしても、ビクともせず、お母さんは手が痛くなってしまいます。
まる子もダメ元で開けようとしますが、やはり開けられませんでした。
仕方がないからお父さんが帰ってきたら開けてもらおうというお母さんですが、一刻も早く黒豆を食べたいまる子はおじいちゃんに頼む事に。まる子に「この世の物とは思えないほどの美味しい黒豆が入っている瓶」だと聞かされたおじいちゃんは、頑張ってフタを開けてみる事にします。
「頑張れ、おじいちゃん!黒豆天国は近いよ!」というまる子の声援につられ、より気合を入れるおじいちゃん。しかし、やはりフタは開けられませんでした。
改めて瓶のフタのしぶとさを実感するまる子。廊下を歩いていたら、瓶のフタの事を聞きつけたおばあちゃんがやって来ます。おばあちゃんはキッチンへ行き、「フタを熱くすると開く事があるんじゃ」と、瓶を大きめの鍋に入れてお湯を注ぐのでした。しかし、その方法でもフタは開きませんでした。そこにお母さんもやって来ました。お母さんはまだ瓶のフタに執着するまる子に呆れつつ、「だってどうしても食べたいんだもん!」というまる子に押されて「これでダメだったら諦めなさいよ」と言いながらゴム手袋で再度開封を試みる事に。しかし、それでも開けられず、仕方なくお父さんの帰宅を待つのでした。
夕方になると、早速お父さんに瓶を託します。しかし、やはりフタは開きません。「お父さんでも無理か……」というまる子の言葉に、「バカ言え!よし、今から本気だ」とお父さん。肩をならし、ブツブツ呪文を唱えると、さらに気合を入れてフタに力を入れるのでした。血管は浮き、瓶も横になった状態に。この状況でいきなりフタが開いた時の事を想像したまる子は、「瓶を傾けちゃダメだよ!」などと言うも、もはやお父さんの耳には入りません。お父さんは「男として情けない」と言いつつ、フタは結局開けられず。まる子が駄々をこねると、お姉ちゃんが瓶のフタの回りをトンカチで叩く方法を思いつきます。しかし、その方法を試みるも、フタがデコボコになって余計に開かなくなってしまうのでした。お父さんに諦めるように言われたまる子ですが、昼からずっと楽しみにしていたためどうしても諦められず、フタにキリで穴を開けるように頼みます。
早速、キリを持ってきて瓶に穴を開けるお父さん。何度かキリを使って穴を広げていき、ようやく黒豆をお皿の上に出す事に成功しました。
黒豆はまる子をはじめ、お母さんも「美味しい」と感動。お姉ちゃんやお父さんも食べたがり、家族全員で楽しむ事となりました。
こうして、半日もかけてやっと開けた黒豆の瓶詰めは、わずか3分で食べつくされるのでした。

【詳細ネタ】
・近所のおばさんは、高丸さん。黒豆の甘露煮がたくさん手に入る環境にあるらしい。
・お父さんは甘い物を食べないため、お母さんはお父さんが帰ってくる前に黒豆を食べる事に了承した。
・手が痛くなったというお母さんに、まる子はタオルを使うように言うが、タオルごしでは滑ってしまい、逆効果だった。
・まる子は開けられない瓶のフタに対し「一本筋が通っている」と言う。
・おじいちゃんは、全宇宙のエネルギーの源から力を借りた気分で瓶のフタを開けるが、失敗。頭が爆発し、力尽きる。
・まる子はわずか瓶の厚さ5ミリの壁さえなければ黒豆が食べられる現状に「近くて遠いとはこの事だ」などと考えるとともに、甘い汁の味を知っている瓶の内側に対して羨ましがる。
・お父さんは瓶のフタが開かなかった事に対して「女はダメだな」と言うが、同じくフタを開けてみようとしたおじいちゃんから「ワシは男なのにダメか?」と聞かれる。
・お父さんが本気でフタを開けようとする際に、背後に般若の絵がうつる。
・お姉ちゃんはお父さんに「もういいよ、頭の血管切れるよ」と声をかけると、おじいちゃんも「ワシもさっき頭の血管が切れたような気がしたのう」と言う。「あんた最初から切れてるよ」とナレーターの声。
・瓶のフタに穴を開ける事に対して、お母さんは「なにも今日そこまでしなくても」と消極的だったが、お父さんは「こんな瓶のフタに舐められてたまるか」と乗り気だった。
・フタの穴から黒豆が出てきた時、「フタあき記念」を祝う姿が描かれる。そこではお父さんを筆頭に、家族で乾杯する。
 

【コメント】

●たぬき「黒豆を食べる事が出来てハッピーエンドではあるけど、結局のところ瓶のフタは最後まで開けられなかったわけだ。不良品だったって事だろうか」

 

○さぬき「瓶のフタが開かない原因には色々あるし、固いフタを開ける方法も色々あるんだけどね。今ならすぐにネットで調べられるけれど、昔はこうやって知恵を出し合ってどうにかしようとしたんだよね」

 

●たぬき「お姉ちゃんの金づちの方法は結局間違ってたのか?僕もなんとなく聞いた事がある方法なんだけどな」

 

○さぬき「正しくは、トンカチで叩くべきだったのは、フタの部分じゃなくて瓶の方なのよ。フタは柔らかいから衝撃を与えると変形しちゃって開けられなくなるから。でもこの話では、そもそも開かなかった原因が分かっていないから、それで開けられたかどうかも分からないけどね」

 

●たぬき「少々しつこいまる子だったけど、こればかりは諦めろって言われてもなかなか諦められないよな。なにせ、フタが開かないのが理由で食べられないだなんて」

 

○さぬき「うんうん。諦めろって言われたところで、じゃあ諦めてどうするの?って感じだもんね。フタが開かない以上、食べずに瓶ごと捨ててしまうしかないって話になっちゃうし、とても美味しい黒豆だと聞かされた以上は、そんな勿体ない話はないよね。やっぱり意地でも開けて食べたいよね」