【ストーリー内容】
まる子とたまちゃんは、20年後に開けるタイムカプセルを作る事に。まる子は20年後のたまちゃんに、たまちゃんは20年後のまる子に手紙を書きます。2人とも手紙を書き終わると、今度は用意していた瓶の中に手紙を入れます。瓶は、次の日に神社に埋めに行く約束をします。2人で瓶を埋め、20年後にまた2人で瓶を掘り出す……そんな事を想像して楽しみになる2人でした。
次の日、まる子は神社に来ていました。「たまちゃん早く来ないかな」とワクワクするまる子。しかし、寒い中でいつまで待ってもたまちゃんは来ませんでした。
まる子は悲しくなり、タイムカプセルを草むらに投げ捨てて帰ります。
家に帰ると、なかなか帰ってこないまる子を心配したお母さんが出てきます。お母さんは冷たくなったまる子の顔を気遣い、笑顔で「ご飯にしよう」と言ってくれました。そんなお母さんにまる子は、「今日は悲しい事があったんだ」と心の中でつぶやきます。
次の日の朝、約束をすっぽかしてしまった事でたまちゃんが謝りに来ました。昨日、たまちゃんは急に留守番を頼まれて家にいなければいけなくなってしまったのです。しかし、まる子は許せませんでした。「鍵をかけて来てくれれば良かったのに」というまる子に、たまちゃんはひたすら謝り、今日にまた改めて瓶を埋めに行こうと言いますが、まる子は瓶は捨てちゃったからもう遅いと返します。2人はそのまま気まずくなってしまいました。
放課後になっても気まずかったまる子は、冬田さんと一緒に帰る事に。冬田さんとは話題がなく会話も盛り上がらないため、まる子はたまちゃんの存在の大きさを感じます。それでも冬田さんは別れ際に「友情のしるし」として彼女のコレクションである「へんな顔シール」をまる子にくれるのでした。
家に帰ると、お母さんに火にかけているお鍋をしばらく見るように頼まれます。グツグツ煮えたぎるお鍋を見ながら、まる子は今日の事を考えていました。「友情の証」として作ったはずのタイムカプセルが原因で、友情が壊れてしまうなんて……。本当はタイムカプセルなんてなくても、ずっと友達でいられたはずだったのです。まる子は、このままずっと仲直りできないのではないかと不安になりながら「タイムカプセルなんて作らなければ良かった」と悲しくなり泣き出すのでした。
そこに、おじいちゃんがテレビを一緒に見ようとやって来ます。お鍋を見るように頼まれているから後で、というまる子に「鍋なんか火を消しちゃえばいいんだから」というおじいちゃんに、まる子は呆れてしまいます。
その時、まる子はたまちゃんの事を思い出します。たまちゃんも今の自分と同じようにお母さんに留守番を頼まれていて一生懸命だったという事。そして、たまちゃんはこれまでまる子が何か失敗して迷惑をかけても笑って許してくれていた事。それなのに、自分はたまちゃんを許してあげられなかった事。まる子は涙を流しながら後悔するのでした。お鍋の用事が終わると、まる子は急いで神社へ向かいました。捨ててしまった瓶を探し出し、たまちゃんに謝ろうと思ったのです。
一方で、ピアノのお稽古に向かっていたたまちゃんは、寒さに凍えながらこんなに寒い中でまる子を待たせてしまった事を深く後悔します。そして、まる子が怒るのも当然だと思い、なんて言って謝れば良いのか分からず泣き出してしまうのでした。
まる子は神社で瓶を探しますが、いくら探しても見つかりません。その時、通りがかったたまちゃんがまる子を呼びます。謝るたまちゃんにまる子も駆け寄り、瓶を見つけて謝ろうとしたけれど見つからなかったと泣きながら謝ります。
そんなまる子にたまちゃんは、またタイムカプセルを作る事に。
その夜、2人はそれぞれ自分の部屋で新しくタイムカプセルの手紙を書いていました。その手紙には、「たまちゃん大好き」「まるちゃん大好き」とそれぞれ同じ事が書かれていると分かるのは、まだまだ先の20年後の事なのでした。
【詳細ネタ】
・出だしは、藤木と永沢が友情について語り合うシーンから始まる。
・まる子は、20年後のたまちゃんは優しい女性になっているだろうと想像する一方で、20年後の自分ははまじと漫才でもやっているかもと考える。
・お母さんも、タイムカプセルには肯定的な反応だった。
・まる子は、寒い中で3時間も神社で待っていた。
・たまちゃんは、留守番の際お母さんにすぐに帰ると言われていたがなかなか帰ってこなかったため、家で待つしかなかった。
・冬田さんとの帰宅途中、まる子は道端に咲いているエイザンスミレという白いスミレの話をしてみるも冬田さんは無関心な様子。これはたまちゃんが相手なら盛り上がるはずの話題だった。
・おじいちゃんは「タイムカプセル」を「タイムマシン」「タイムカード」と勘違いする。
・この話は、道徳の学習として学校の教材にも取り入れられている。
【コメント】
●たぬき「まる子とたまちゃんの友情を描いた話。この話はおそらく、1~2を争うぐらいに支持率が高いだろう」
○さぬき「ケンカをしてしまったけれど、仲直りした後は以前よりも仲が深まった感じだよね」
●たぬき「ケンカの原因は、どっちも悪くないんだよな。そして、どっちにも落ち度があった。でも、それを誰かに諭されるわけじゃなく、お互いに自分自身で気付いて仲直りする事を決めるのさ。そこが大きいかと」
○さぬき「ケンカしてしまった時は、お互いにお互いの事情を理解しきれなかったんだよね」
●たぬき「ああ。でもその後に、まる子はお母さんの用事を頼まれている最中におじいちゃんに誘われた事でたまちゃんがどういう事情だったのかを理解するんだ」
○さぬき「こういう話を見ていると、お互いに『ああすれば良かったのに』『こうしておけば良かったのに』って思う節が出てきちゃうよね。たとえばまる子は、たまちゃんが来ないなら家に行ってみれば良かったのに、とか。たまちゃんも行けないならまる子の家に電話をかけてお母さんに伝言してもらえば良かったのに、とか」
●たぬき「そうそう。第三者の立場で見れば、ああしておけば防げただろうっていう対策みたいなもん、いくらでも思い付くんだよな。でも、アクシデントの内容にもよるけど、いざ当事者になってみるとなかなかそういった的確な判断を即座に思いつくのは難しいだろうよ。基本的には、実際に失敗を経験してみて初めて学んだりするものだと思う」
○さぬき「たまちゃんの失敗は、『寒い中で3時間も待つ事がどれだけ苦痛か』という部分が理解できていなかった事。そしてまる子の失敗は、『たまちゃんが来られなかった事情』が理解できなかったために謝られても許せなかった事だよね。お互いに理解不足だったのを、後で実体験で学んだんだね」
●たぬき「まる子は寒かっただけじゃなくて、『タイムカプセルを埋める』という大事な約束をないがしろにされたような気がしたんだろうな。その悲しさが、タイムカプセルを投げ捨てるという行動に出てしまったんだな」
○さぬき「友情の話といえば、大野くんと杉山くんのエピソードも劇場版であるよね。まる子とたまちゃんと違って、あの2人はケンカしたらなかなか手ごわいんだよね……」
●たぬき「ああ、その話についてもいつか語ろう」