東京春・音楽祭の来日メンバーで構成された素晴らしい歌手陣たちが、ワーグナー「ニーベルングの指輪」のガラ・コンサートを。やはりリングは自分の中では、格別に思い入れがある作品。プログラムとしてはリングの幕切れを中心にやるような構成。たしかに、幕切れをやってくれると、続きが聴きたくなるということがなく、一応終わった感じが出るのが良い。
ラインの黄金。リングの最初の前奏曲ぐらいやるとよいのにとも思ったが、早くも感動。そもそもラインの黄金を聞くのは久しぶり。N響の芳醇な響きに、名歌手たちの歌声に圧倒。ただ、アイヒェのヴォータンが思ったよりひびいていなかった。彼はやはりハイバリトンなのかもと再認識。
ワルキューレでば1幕の幕切れを。ジークムントが剣がないと嘆くところからなので、かなりの満足度。ただ、このメンバーならワルキューレ1幕全部やれたような。登場人物はジークムント、ジークリンデ、フンディングの3人だけなのだから。やはり欲がでてしまう快速なヤノフスキであるが、ワルキューレでは割と緩急をつける感じで、またこれもよかった。
ジークフリートは2幕幕切れ。ジークフリートと小鳥のかけあいはやはり面白い。N響がここでも素晴らしい。ヴォルフシュタイナーのジークフリートも良かった。
そして黄昏からは自己犠牲。オケの燃焼度が素晴らしい。ブリュンヒルデも見事。自己犠牲はほんと最後にふさわしい。
それぞれ、オケが素晴らしいのでほんとに感動させられた。駆け足でリングを聞く旅だが、予想以上に満足。
舞台祝祭劇『ニーベルングの指環』より
序夜《ラインの黄金》より第4場「城へと歩む橋は……」〜 フィナーレ [試聴]
ヴォータン:マルクス・アイヒェ(バリトン)
フロー:岸浪愛学(テノール)
ローゲ:ヴィンセント・ヴォルフシュタイナー(テノール)
フリッカ:杉山由紀(メゾ・ソプラノ)
ヴォークリンデ:冨平安希子(ソプラノ)
ヴェルグンデ:秋本悠希(メソ・ソプラノ)
フロースヒルデ:金子美香(メゾ・ソプラノ)
第1日《ワルキューレ》より第1幕 第3場「父は誓った 俺がひと振りの剣を見出すと……」〜第1幕フィナーレ [試聴]
ジークムント:ヴィンセント・ヴォルフシュタイナー(テノール)
ジークリンデ:エレーナ・パンクラトヴァ(ソプラノ)
第2日《ジークフリート》より第2幕「森のささやき」〜フィナーレ
第2場「あいつが父親でないとは うれしくてたまらない」―森のささやき [試聴]
第3場「親切な小鳥よ 教えてくれ……」〜第2幕フィナーレ [試聴]
ジークフリート:ヴィンセント・ヴォルフシュタイナー(テノール)
森の鳥:中畑有美子(ソプラノ)
第3日《神々の黄昏》より第3幕 第3場ブリュンヒルデの自己犠牲「わが前に 硬い薪を積み上げよ……」 [試聴]
ブリュンヒルデ:エレーナ・パンクラトヴァ(ソプラノ)
指揮:マレク・ヤノフスキ
管弦楽:NHK交響楽団(ゲスト・コンサートマスター:ウォルフガング・ヘントリヒ)