新国立劇場「トリスタンとイゾルデ」は3回参戦。2回目、3回目と回数を重ねるたびに、名演になっていた印象。今回の大野さんの指揮ぶりと代役であったが両タイトルロールの歌手や藤村さん、シリンスという脇の歌手も含め、本当に素晴らしい公演だったと思う。初演時はあまり印象に残らなかったが、マクヴィガーの耽美的な舞台もトリスタンの世界にあっていたと思う。

 

 

 

 2024年3月20日公演

 

初日の公演より、かなり安定したと思った。トリスタンも事故なし。公演はあまり期待していなかったこともあり、安い席で購入していた。場所は4Fの左サイドD席。そのおかげで、舞台の左前がほとんど見えなかった。1幕のトリスタン登場シーン、などは全く見えず。さらに、前の人の頭で3幕トリスタンも見えない。久々にD席が買えたのだが、舞台を見るならやめたほうがよいと今更ながら痛感。

 

大野さんの指揮は初日同様に素晴らしかった。トリスタンという作品の感情の起伏をあますことなく伝えてくれる。トリスタン、イゾルデも二日目のほうが声がでていたように思う。

 

愛の死の最後でイゾルデはステージの奥の照明があたっていないところに歩いていく。舞台前半が生の世界。夜は死の世界の暗示か。つまりイゾルデは愛の死をうたい、トリスタンの後を追い死の世界に旅立つということを表していたのかもしれない。すると、赤い月が消え、イゾルデに赤い照明がてらされ、自分が付きになったかのような印象。象徴的な舞台であり、美しい。

 

終演後は初台のスミ・ヴィノに。

 

 

 

 2024年3月23日公演

 

自分が見た3公演のうちではもっとも良かった公演。もともと新国立劇場は自分の経験上、初日からだんだんクオリティがあがり、千秋楽がもっともよいという印象。本当は最終日を抑えたかったのだが、今回は春祭のトリスタンが近かったので、あきらめていた。場所は4Fの2列目のC席。やはり中央はバランスがよく、調子があがってきた歌手の歌を満喫できた。演出も全体が見渡せる。これだけの名演なのでもう一回ぐらい行っておきたかったが、春祭も続くことと、会社そんなに休めないのであきらめ。この日の公演は新国トリスタンが終わってしまうという感じで感傷的な気分で鑑賞。バイロイトで黄昏の自己犠牲が流れると、リングの壮大な旅が終わってしまうという感覚に近いものを感じた。

 

このトリスタンは新国の過去の公演の中でも特に素晴らしい公演だったのではないだろうか。最初は大野さんの初演時のトリスタンが合わなかったのに加え、タイトルロールが降板続きで、正直全く期待していなかった。しかし、大野さんの進化がすさまじく、見事なワーグナー体験となった。今後、ぜひリング新演出もやってくれないだろうか。

 

終演後は東中野の「コ.トゥ.タモ.ペヴァ」に。

 

 

 

 

 3月20日写真

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 3月23日写真