新日本フィルのマチネーコンサートに。上岡さんは読響の第九を以前聴いたが、自分にはピンとこなく、少し距離をおいていた。しかし、この日の公演を聴き、自分の中では、曲によっては聴いてみようと思うようになった。アプローチはどちらかというと古楽的なスタイルか。ノリントンを思い出した。

 

前半はベートーヴェンのピアノ協奏曲1番。古楽的アプローチでかなり音楽がすっきりと聞こえる。二官編成の小規模なオケ。モーツァルトのような音楽づくり。初期ベートーヴェンは古典派であることを思い出させてくれた。

 

そしてピアニストのケフェレックが素晴らしい。音色が暖かく、柔らかい音に包まれる。ベートーヴェンだからといって極端なスフォルツァンドなどせず、モーツァルトを聴いているような感覚に。ベートーヴェンの諧謔性をあらためて感じられた。そして、2楽章のppなどは、本当に美しかった。このピアニストを自分は知らなかったが、本当に素晴らしかった。ちなみにアンコールはヘンデル。静寂の中に囁くような美しいピアノの余韻にひたった。

 

後半はシューベルト「グレート」。藤倉大さんがシューベルトのグレートは面白さがわからないというツィートが盛り上がっていたタイミングで聴く。自分としては、かなり好きな作品ではあるのだが、現代音楽家からみるとそうなるのだなと思った。

 

上岡さんはシューベルトでも古楽的アプローチ。指揮台で踊りながら演奏。ノリントンみたいな感じで、古典派はこんなにおもしろい音楽なんだぞといわんばかりの指揮ぶり。リズム感やアクセントなどが効果的。前半より弦のプルト数も増やし編成を大きく、かなり迫力ある響きを奏でていた。しかし、最後、急にppに落として終わったが、楽譜どおり?初めて聞いたような。ちょっと調べてみないとわからない

 

ブッフビンターの前に時間があったので、急遽チケットを買った公演だったが、思った以上に満足。