ドニゼッティの「ドン・パスクワーレ」を初めて鑑賞。まさしくオペラブッファ。フィガロやロッシーニからファルスタッフにつながる主人ものの系列。

 

一幕のアリアは繰り返しが多くやや退屈。人物紹介的な側面か。二幕から物語が展開しはじめ面白くなり始めた。二幕でのスピード婚までのパスクワーレの浮かれ具合から、妻が豹変してからの怒り、そして、最後の失望からの大円団のエンディング。このあたりはファルスタッフにかなり影響を与えている気がした。

 

歌手はパスクワーレ役のペルトゥージが見事。声量というよりは表現力でパスクワーレを歌いきっていた。演技も素晴らしい。自分は知らない歌手だったが、世界的に有名なバリトンらしい。ロッシーニ歌いでもあるのか、早いパッセージを難なく歌っていた。声楽を習っている身としては本当に驚異的。ただ、声はひょっとすると全盛期をすぎたのかも、と思ったのも事実。

 

加えて、テノール、ソプラノは若手だったが、素晴らしかった。2人とも輝かしい声で3幕の二重唱は圧巻だった。医者役の日本人が大健闘。やはりメインの歌手がよいとイタリアオペラは面白い。そして、オケもイタリア人らしいカンタービレでそつなく鳴らしていた。

 

演出は、読み替えるとか奇抜なこともなく、丁寧に演出。しっかり演技をつけている感じで、舞台として面白かった。しかし、新国立劇場の演出は最近刺激がないなと感じる。ボリスとかは面白かったので、やはり考えさせる演出を久しぶりにみたいというのは贅沢か。

 

初めてのドンパスクワーレだったが、案外楽しめた。歌手そろわないとつまらない作品になりそうなので、歌手が良さげなときはまた観てみよう。

 

 

 

安定の4F席

 

 

 

イタリア・オペラなので、幕間にビール

 

新作オペラ「紫苑物語」の衣装。西村朗さんも他界されてしまった。