素晴らしい名演。ルイージがN響のシェフになってからもっとも成功した公演ではないか。とにかく音楽が映像化されるイメージ。幻想というドラマをオペラ的に劇的に表現。

 

冒頭から驚き。霞の中で1人で歩いていると、愛する人を見かけ一目ぼれを、その背景や雰囲気から、自分の心拍数があがるまで見事。冒頭はとにかくして霧がかる森の中を歩く。森の神聖さや神秘さが伝わるような弱音。そこでたまたま出会うというショック。

 

このような感じが全編にわたる。全体は常に美しい音楽をならし、その中で最大限の表現をしてくれた感じ。テンポ、音量ともに完全にN響をコントロール。

 

しかし、やはり盛り上がったあとの静かな場面への展開などが見事。幻想は賑やかな印象が強いが、実は失恋して気がおかしくなるところがしっかり描かれているのに今更気づく。二楽章後のパーティ後の三楽章。ルイージはシューベルトのような鬱蒼とした音楽をつけた。このあたり本当に見事だった。

 

ルイージは好きな指揮者ではあったが、師匠のサバリッシュのような中庸な印象だった。今回を聴いて、ムーテぃやペトレンコのような感じなのかもしれない。ルイージ、N響これからこのコンビ面白くなりそう。

 

オペラをやってほしい。マーラー8番「千人交響曲」のチケットを買いそこねたのは痛恨。