新国の定評あるプロダクションのホフマンに。フィリップ・アルローの演出は昔から評判がよいのは知っていたが、ホフマンをよく知らなかったので、敬遠してきた。

オッフェンバックだからオペレッタだろうと思い、気楽に、内容を予習もせずに観劇。しかし、パンフレットを読むと、オッフェンバックの未完のオペラだったらしい。

 

そして、物語は案外、現代的なテーマである。アニメの題材になりそうなテーマで、ホフマンが三人の女性を愛すが、ことごとくうまくいかず、非業の死を迎える。しかも、愛する3人が、人形、病人、娼婦。とにかく、人生こじらせた主人公ホフマンの話らしい。ちなみに未完の作品であるので、今回のプロダクションはフィリップアルローと初演時の指揮者阪さんで試行錯誤したものだそう。

 

5幕構成。プロローグ、人形オランピア、病人アントニア、高級娼婦ジュリエッタ、エピローグという構成。プログラムの演出ノートによると、作曲家が死期を悟った時期の作品に加え、19世紀末の享楽的な時代背景が影響している作品とのこと。そして、この版では死に対する観念を提示。ホフマンを通して絶望を死、性、芸術への欲求という3つを表す女性を通して描いている、とのこと。さらにプロローグ、エピローグで登場する2人の女性も通した作品に仕上げたらしい。

 

こんな悲劇とは正直おどろき。そして物語はどう解釈すればよいか。ホフマンは未完成かつ、原作は短編集らしい。みっつの短編をベースに構成されている。ホフマンの夢、幻想ともとれるし、ファウストのようにさまざまな世界をみせたともおもえる。なんとなく、知らずに敬遠してきたが、作品を知れたのが収穫

 

特に、有名なオランピアのシーンがこんなに、狂気な場面だと知らなかった。オランピアの幕では、ホフマンは二次元推しの人に見える。とにかく、不思議の国のアリスの世界にまぎれこんだような印象。(演出のせいもあるかもしれない)ホフマンはいたって真面目にオランピアを愛する。しかし、群衆に馬鹿にされる。

また、娼婦の場面も有名な舟歌が。まあ劇中歌というところ。タンホイザーのヴェーヌスのよう。ただ、タンホイザーと異なり娼婦はホフマンを裏切る。とにかく絶望。そして最後に人生に絶望し酒に溺れ、息をひきとる。最後は合唱でホフマンの魂を悼み幕。

 

アルローの舞台がさすが。とにかく色彩感がすばらしく、舞台に見入ってしまう。1幕:黒・赤・青、2幕:鮮やかな緑、3幕:青、4幕:赤・青という感じ。フランスの作品らしく、バレエ団も大活躍。みていてとにかく楽しい。これは本当に名プロダクション。早く見に来ればよかった。

 

とにかく面白い作品であることを理解した。また、公演があったら行ってみようと思う。