不登校の回復は、案外もっと普通の場所で起きている
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フリースクールを経由して元気になっていく子は、実は少数派です。
新しく不登校の親になられた方もいらっしゃると思うので、改めてお伝えします。
フリースクールを経由して回復していく子は、とても少数です。
各種調査で多少差はありますが、フリースクールを利用している不登校児の割合は、おおよそ2〜3.3%前後。多く出ている調査でも7%程度です。つまり、100人不登校の子がいたとして、実際にフリースクールに所属しているのは2〜3人、多く見積もっても7人ほど、ということです。
私はこの数字そのものよりも、「この事実を知らない親御さんがとても多い」ということに驚きました。
もちろん、多数派だから正しい、少数派だから間違い、という話ではありません。実際、フリースクールがぴったりハマって元気になっていく子もいます。ただ、日本中の親御さんたちが、「なんとか外につなげたい」「居場所を作りたい」と努力を続けてきた結果、それでも利用率が数%に留まっているというのは、一つの現実だと思っています。
私はこういう話をするので、フリースクール界隈からはあまり好かれていません。でも、自分自身が不登校だった頃、「ここはしんどいな」と感じた場所を、無条件に誰かへ勧めることはできません。そして実際には、「フリースクールに通えるようになったけれど、今度はそこへ行けなくなった」というケースも珍しくありません。
では逆に、多くの子たちは、どうやって回復していくのでしょうか。私は、今これを読んでいる親御さんのお子さんの姿こそ、むしろ“普通の不登校の回復過程”に近いと思っています。
・親ともほとんど話せなかった子が、最近少しリビングに出てくるようになった。
・表情が柔らかくなった。
・最初は嫌がっていた担任訪問を、多少は受け入れられるようになった。
・家族とは話せるけれど、学校や受験の話だけは絶対NG。
・生徒がいる時間帯は無理だけれど、放課後なら職員室へ顔を出せる。
・修学旅行だけは参加したいと目標にしている。
・私立なので、土曜授業後に担任が時間を作ってくれて、課題だけ提出している。
こういう子たちです。
そして、こういう子たちが、
① 担任、塾の先生、学校外の友達、ネッ友、習い事の友達などと、細いながらも1対1の関係を維持しながら(もちろん、それすら難しい子もいます)
② フリースクール見学には行ったけれど合わなかった、受験直前に昼から別室へ少し行けた、程度の外部接触はありつつも、「支援的な居場所」はほぼ利用せず
③ 精神科へ行ける子もいるけれど、皆勤賞のように通える子はまずいなくて、ドタキャンを繰り返しながら、「まあ行かないよりは行った方がいいかな」ぐらいのテンションで通院し、せっかく外に出たのだからとカフェに寄り
④ それでも進級や受験など、人生の節目でなんとか立ち上がっていく。
こういう経過を辿る子たちが、実は最大勢力です。
そして、学校へ戻るタイミングも、多くは「進級」「進学」という区切りです。
6月12日から突然、「よし!今日から毎日通うぞ!」となって、そのまま安定登校できました、みたいなケースは、私はほとんど見たことがありません。頑張って1週間通って、力尽きる。たま〜に、パワー多めの子が最初から最後まで五月雨登校で貫き通すなんてこともありますが、それは例外として理解される方がいいです。これが現実です。
だから私は、4月に背中を押してみて、それでも無理だった場合、「まだ時期じゃない」と判断して、4月後半からはまた家中心の生活へ戻すことが多いです。
※もちろん、通信制高校などで卒業がかかっている場合は、年度途中から大慌てで動き出すケースもあります。
なので、「フリースクールへ行けました!」「適応指導教室に行けました!」「別室へ行けました!」と報告をいただけば、「良かったですね」とはお伝えします。でも、もし行けなかったとしても、それだけで将来が決まるわけではありません。
だから私は、「行ける・行けない」に親子で人生をかけすぎず、まずは雑談を続けてくださいね、とお願いしています。なぜ雑談が必要なのかに関しては、雑談をしていると元気になる子が多いという事実があることとは当然なのですが、実は様々な問題行動を予防する意味でもかなり効果があります。
そして、ここはとても大事なことですが、不登校の子たちは、「不登校の子」として扱われることを嫌います。
もちろん、本人はそんなふうに言語化しません。
でも長年見ていると、本当にそこに敏感です。
「支援される側」
「問題を抱えた子」
「学校へ行けない子」
そういう目線を向けられる場所ほど、子どもたちは強く警戒します。
だから、フリースクールや支援施設そのものが悪いというより、「不登校の子として見られる空間」がしんどい子が、とても多いのだと思っています。
逆に、不登校の子たちが比較的動きやすい場所があります。
イオン、スタバ、マクドナルド、ファミレス、テーマパーク、あとは案外、墓参りなどが大丈夫な子はいます。
そういう場所です。
なぜか。
そこでは、「不登校だから」という色眼鏡で見られないからです。店員さんは、「学校行けてる?」「勉強している?」なんて聞きません。
ただの「お客さん」として扱ってくれる。それが、不登校の子にとっては、とても救いになることがあります。
特に、長く学校へ行けなくなると、子どもたちはどこへ行っても、「この子、不登校なんだろうな」と思われている気がしてしまいます。
でも、ショッピングモールや飲食店では、誰もそんなことを気にしていない。
普通に注文して、
普通に席に座って、
普通に「ありがとうございました」と言われる。
この、“普通に社会の中に存在できる感覚”が、実はものすごく大事です。だから私は、「まずはイオンへ行きましょう」とよく言います。
不登校支援というと、すぐに「どこへ繋げるか」「どんな支援を受けるか」という話になりがちですが、その前に必要なのは、「自分は普通に社会の中にいていい存在なんだ」と感じられる経験なのだと思っています。
そして、その最初の練習として、イオンも、スタバも、マクドも、ファミレスも、とても優秀です。
誰にもジャッジされず、説教もされない。頑張りを求められない。でも、ちゃんと社会の中に存在できる。不登校の子たちに必要なのはそういう時間です。
では、なぜ実際にはほとんどの子が利用していないのに、フリースクールはここまで推奨されるのでしょうか。
これは私の推測ですが、声の大きい支援者たちの多くが、NPO、フリースクール、不登校専門塾などを運営していることも影響しているのではないかと思っています。一方で、私が一番おすすめしている、「家庭の中で雑談を増やす」という支援は、ほとんどお金になりません。
でも、長年見ていると、やはり家庭内の雑談が一番大事だと感じます。お金もかからず、副作用もありません。
今後に大きく影響するものは何か。私は、やはり「家族の人間関係」だと思っています。家族が仲良くいられること、安心して雑談できること。結局、そこが一番大きい。不登校の対応とは、地味で面倒でさっさと結果はでない。
私の不登校支援方法は大変です。雑談雑談言ってますけど、そんな気分になれない日は当然ある。そんな簡単な話ではないこともよくわかっています。夫婦関係の問題、嫁姑問題、経済的な事情、仕事の忙しさ、親自身のしんどさ。「家族仲良く」と言われても、自分一人の努力だけではどうにもならない現実があることも承知しています。
だから私は、「こうすれば解決します」「こうしてください」と簡単に言える問題だとは思っていません。でも、それでも、できることはたくさんあると思っています。
例えば、朝の「おはよう」だけでもいい。コンビニスイーツの感想を一言話すだけでもいい。夕飯の話でもいい。天気の話でもいい。親子の間に、小さな雑談や挨拶が少しずつ戻っていくこと。まずは、そこからで十分だと思っています。
実際、私の親の会にも、離婚された方、別居中の方、調停中の方もいらっしゃいます。決して理想的な家庭ばかりではありません。それでも親御さんたちは、「もう終わりだ」と投げ出さず、できる範囲で子どもとの関係を繋ごうとされています。
だから私は、どんな状況であっても、諦めてほしくないなと思っています。
それこそ復学支援業者に大金を渡して「よろしくやっといて」と外注に出した方がどれだけ楽かわかりません。犯罪すれすれの恫喝方法とその後の子供達のメンタル事情を知っていると、楽と言うのは語弊がありますが…
だから、まずは今日の夕飯の話をしてください。
近所にできたパン屋の話をしてください。
輸入雑貨屋で変わったドレッシングを選んでください。
ドラッグストアでプチプラコスメを試してください。
目指すのは、まず「フリースクール」ではなく「イオン」です。
イオンをクリアしたら、次はディズニーやUSJ。
ああいう場所は、実は不登校の子にとても向いています。キャストさんが自然に話しかけてくれる。
レジでやり取りが発生する。
雑談が生まれる。
人との会話感覚を、少しずつ取り戻していける。
嘘みたいに聞こえるかもしれませんが、不登校の子は、雑談量に比例して元気になっていくことが本当に多いです。
家族関係が安定し、家の中が安全基地になっていけば、そのうち子どもは外へ出ていきます。
本心から、「一生このまま引きこもっていたい」と心の底から思っている子はいません。
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