不登校児は怠惰なのか

 

 

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私は230人のメンバーを抱える親の会を主宰しているのですが、メンバーの中にはそれぞれ地元の親の会にも参加されている方が大勢います。それらの方々から活動内容を教えていただくこともあるのですが、以前こんなことを聞きました。

 

自治体の企画だったそうですが、不登校から脱し、現在元気になっている子を招き体験を語ってもらおうという催しがあったそうです。そこで招かれたのが現在大学生のA子さんでした。

 

催し自体はA子さんの体験をベースに問題なく進行したものの、最後の質疑応答の時に事件が起こりました。

 

ある親御さんからこんな質問が飛んだそうです。

 

「ご自身の不登校時代を振り返って怠惰だったと思いますか?」

 

この時、私の親の会のメンバーは「やばい」と思ったそうです。

そりゃそうですよね。

それは聞いちゃいけない。

 

案の定、A子さんの顔はみるみる歪み、泣きだしそうな顔になったそうです。それなりに聴衆の視線が集まる中でA子さんが絞り出すように答えたのが

 

 

 

「その質問には答えたくない」

 

 

 

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私はこのエピソードを聞いた時、カッと目の奥が熱くなりました。次に怒りで身体が震えました。

まず、自治体がまだ不登校回復から間もない大学生を聴衆の面前に引きずり出したこと。事前に質疑応答の内容を打ち合わせしてこなかったこと。そして不躾な質問をした不登校児の親。

 

なんてことをしてくれたのだ。

 

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「私は怠惰なのか」

これこそ、不登校児達が何万回も自問自答してきた言葉。

 

呪いの言葉。

 

怠惰という言葉以外にも

 

甘えている

怠けだ

根性がないからだ

 

今だからこそ

私は不登校は何らかの心的外傷を負いメンタル不全を引き起こした状態と理解していますが、当時は理解していませんでした。

 

「私が不登校になったのは、私が間違っていたのだ、私が変なのだ、私が根性がないからだ、私が頭が悪いからだ、私がみんなと同じことができないからだ、私が怠惰だからだ!」

 

そんなことないよと言ってくれる人もいました。精神科の思春期外来の医師から

「あなたには休憩が必要なんですよ」

と言われて、どこかでホッとした部分もあったけれど信用できなかった

どうしても信用できなかった。

 

この頃はストレスで髪も抜いてしまって落武者のようになった姿で、かなり悲惨な状況だったと思いますがそれでも信用できなかった。

 

自分が以前のように動けなくなったことを、怠惰な生活しかできない自分を認めなければならない一方で、回復してきたら、もう二度とあんな怠惰な生活をしたくないと、過去の自分を否定しなければ立ち上がれなかった。

 

誰か教えてよ、病気と怠惰の境界線はどこにあるの?

不登校って何よ、

ひきこもりって何よ、

病気なの?

病気じゃないの?

ただの怠惰な性格なの?

 

不登校の前半は風呂にも入れず食べれず寝られず怠惰な自分を責め続けた

不登校の後半は自分に鞭打てば打つほど動けるのも事実で、だとすると前半は何だったんだと苦しみ。

鞭打たなくても、怠惰な生活を送らないでいられる同級生に悔し涙を流し、

 

だけど、時間が過ぎ、自分に鞭打たなくても動けるようになって、当たり前のように朝起きてご飯食べて出勤して買い物して恋をして帰ってきて風呂入って寝る。朝に「休む」という選択肢がなくなってきた頃、

 

精神科の主治医が

「もうきちゃダメだよ」

と言ってくれるようになった頃

 

正気になればなるほど、自分が失った8年という年月の重みを正視できなくなって闇に葬り去った。高校時代の話が始まるとスッと会話から抜けた。自分の話をしなくなった。普通の人のように振る舞い、怠惰のたの字も感じさせないように自身を取り繕った。普通の人のように就職し結婚し出産し、ひきこもりの私という肩書きを卒業し、〇〇君のママという肩書きを存分に楽しんだ。

「ああ、なんて素敵なんだろう」

 

夢中で走り抜けた20代と30代。

後ろなんて振り返らなかった。常に闇は抱えていたけれどずっと隠していた。

40代になって退職し、縁あって支援者としての仕事を始めた

 

不登校で怠惰だった時代も

不登校から脱し怠惰でなくなった時代も経験した私だからこそ、

 

 

今ならわかる。

怠惰だから不登校になったのではない。

不登校になったから怠惰になってしまったのだ。

 

それは例えるなら、私は不登校時代、ストレスで抜毛症にもかかったが。

抜毛症になったからハゲたのと同じことなのだ。

 

抜毛症だった私に

「自身の抜毛症時代を振り返って、ハゲだったと思いますか?」

なんて聞くのか?

 

ガンで痩せてしまった方に

「自身の闘病生活を振り返って、ガリガリになったと思いますか?」

なんて聞くか?

 

だけど、不登校に限っては怠惰だから不登校になるという偏見があり、A 子ちゃんにしたような質問がまかり通ってしまう。

 

 

 

その私がイベントに出てこう聞かれたら何と答えるだろう?

 

「ご自身の不登校時代を振り返って怠惰だったと思いますか?」

「今は怠惰ではない高田ぶらりさんですが他の不登校児を見て怠惰だと思いますか?」

 

 

 

 

 

 

たぶんこう答えるだろうな。

 

限界まで眉を吊り上げて、全国の怠惰だと責められている不登校児たちのために私は戦わなければならない。

「喧嘩売ってんの?」

 

 

 

 

 

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