今回は、第11回論述事例4問2「必要なネットワーク、Aの置かれた環境への働きかけ」の解答例に取り組んでみます。

 

問3 相談者Aを支援するために必要なネットワークは何か。相談者Aの置かれた環境への働きかけについて関係機関や関係者との連携も考慮し、記述せよ。(20点)

 

相談者Aの地元企業の募集が少ないという状況から考えられる、キャリアコンサルタントの大学へのネットワークとAさんの環境への働きかけについて、以下のアプローチが考えられます。

 

大学のネットワーク強化と連携

企業との提携拡大

キャリアコンサルタントは、Aさんの地元企業との連携を強化するために、大学と企業の間で新たな提携やインターンシッププログラムを設けるよう働きかける。

 

これにより、地元での就職機会を増やし、Aさんの希望する地域でのキャリア形成を支援できる。

 

OB・OGネットワークの活用

Aさんの地元で活躍する大学の卒業生(OB・OG)と連携し、地元企業の求人情報や就職成功事例を共有する。これにより、Aさんが地元でのキャリアを具体的にイメージしやすくなる。

 

地元とのネットワーク構築

地元自治体との連携

地元の自治体や商工会議所と連携し、地元企業の求人情報を大学に提供してもらうように働きかける。自治体主導の就職フェアや企業説明会にAさんが参加できるよう調整する。

 

地元のキャリアイベント参加

地元で開催されるキャリアイベントや就職説明会に、Aさんが参加できるよう支援し、地元企業との接点を増やす。

 

オンライン就職支援の活用

オンライン求人情報の提供

地元企業が参加するオンライン就職イベントやウェビナーを通じて、地元企業の情報をAさんに提供する。

 

これにより、地元での就職機会を増やすことができる。

 

リモートインターンシップ

地元企業が提供するリモートインターンシップの機会をAさんに紹介し、地元企業との関係を強化する。

 

これらの取り組みを通じて、大学がAさんの地元企業との連携を深めることで、Aさんのキャリア選択の幅を広げ、地元での就職機会を増やすことが可能になります。

 

Aさんは、私立四年制大学教育学部 4 年生で保育士を専攻していることから考えられるネットワークと環境への働きかけはないでしょうか。

 

Aさんが私立四年制大学教育学部で保育士を専攻していることから、キャリアコンサルタントがAさんを支援するために考えられるネットワークと環境への働きかけには、以下のようなものがあります。

 

大学の教育学部ネットワークの活用

保育士養成プログラムの活用

Aさんが所属する教育学部の保育士専攻課程では、地域の保育施設や関連機関との強い繋がりを持っている可能性があります。

 

キャリアコンサルタントは、このネットワークを活用して、Aさんの地元や希望地域の保育施設への就職やインターンシップの機会を探すことができます。

 

学部主催の就職フェア

教育学部主催の就職フェアやキャリアイベントに参加することで、Aさんが保育士としてのキャリアを築くための地元の機会を見つけるサポートを行います。

 

教育機関との連携

地元保育施設との提携

Aさんが地元での就職を希望する場合、キャリアコンサルタントは大学と地元の保育施設や幼稚園との提携を進め、Aさんが地元での職業体験や就職につながるよう支援します。これにより、地元でのキャリア形成が現実的になります。

 

教育委員会との協力

地元の教育委員会と協力し、Aさんの地元での保育士としての就職先を紹介してもらうよう働きかけることも効果的です。

 

 OB・OGネットワークの活用

卒業生のネットワーク

大学の教育学部卒業生で、既に地元で保育士として働いているOB・OGとのネットワークを活用し、Aさんが就職に成功した事例や職場環境についての情報を提供します。

 

OB・OGから直接アドバイスをもらう機会を作ることで、Aさんの不安を軽減し、地元での就職意欲を高めることができます。

 

地域社会との連携

地域の保育関連機関との連携

地元の保育関連団体や自治体と連携し、Aさんが地元で保育士として働けるような環境を整備する支援を行います。

 

これには、地域での保育士の需要状況や求人情報の提供も含まれます。

 

これらの取り組みを通じて、キャリアコンサルタントはAさんの保育士としてのキャリアを、希望する地元で成功させるための具体的な支援を提供することができます。

 

このようなネットワークを活用することは非常に有効ですが、 OB・OGのネットワークの活用は、問2の相談者Aの取り組みで用いていますので、重複します。

 

また、これは相談者AとOB・OGとの直接的な関りで可能です。

 

以上のアプローチには、Aさんが大学の居住地と地元と往復する費用の負担が考えられます。

 

その費用負担を減らすために、キャリアセンターが提供するオンラインリソースやサポートを活用することが考えられます。

 

具体的には、以下のような取り組みが可能です。

 

オンライン面接サポート

キャリアセンターは、地元企業とのオンライン面接の機会を提供し、Aさんが移動せずに就職活動を進められるようにします。

 

リモートでの採用試験

地元企業の採用試験や説明会がオンラインで行われるように調整し、Aさんが自宅から参加できるように支援します。

 

地元企業の情報収集

キャリアセンターが地元企業の最新の採用情報や募集情報を収集し、オンラインプラットフォームでAさんに提供します。

 

これらのオンラインネットワークを活用することで、Aさんは経済的負担を軽減しながら、効率的に就職活動を進めることができます。

 

では、上記のことから解答をまとめます。

 

Aが地元と大学の往復による費用負担を減らし、効率的に就職活動を進めるために、キャリアセンターが提供するオンラインリソースの活用が有効です。具体的には、地元企業とのオンライン面接やリモートでの採用試験をサポートし、Aが移動せずに就職活動を行えるよう支援します。また、キャリアセンターが地元企業の最新の採用情報を収集し、オンラインで提供することで、Aが経済的負担を軽減しつつ、効果的に就職活動を進める環境を整えます。

 

この解答と同様の取り組みをしている大学やキャリアセンターも存在するかもしれませんが、オンラインを活用する取り組みをキャリアコンサルタントが全ての大学やキャリアセンターに働きかけることで、相談者Aおよび地元就職を希望する大学生の支援をすることが可能になります。