今日は、第11回1級キャリアコンサルティング技能検定実技(論述)試験事例2選択問題において、《相談者Aが「問題」を解決するために取り組むべきごとは何か》について、解答を考えていきます。

 

この新書式における問2の問への解答を考えるときに、第12回までの設問の内容である必須問題:問3の次の問との違いを認識することが大切です。

 

旧:問3 あなたが、この事例相談者の立場なら相談者Aに対してどのように対応するか、あなたの考えを記述せよ。

 

新:問2 あなたが考える見立てに基づき、相談者Aが「問題」を解決するために取り組むべきことは何か、記述せよ。

 

この2つの設問の意図の違いは、以下の点にあります。

 

旧:問3の設問の意図は、受検者(事例指導者)がキャリアコンサルタントとして、具体的にどのようなアプローチや支援を行うかを尋ねています。

 

対応の方法やプロセス、相談者Aに対する具体的なアクションが求められています。

 

実際の支援におけるアプローチの選択や、相談者Aに対する提案内容が重要視されています。

 

新:問2の設問の意図は、受検者(事例指導者)の見立て(相談者Aの問題に対する分析や理解)に基づいて、相談者A自身が取り組むべき具体的な行動や解決策を示すことを求めています。

 

ここでは、相談者Aが自ら行動し、問題を解決するための具体的な取り組みやステップを考えることが重要です。

 

旧問3は、キャリアコンサルタントとしての受検者の「対応方法」に焦点を当てています。

 

新問2は、相談者Aが自ら問題を解決するために「何をすべきか」に焦点を当てています。

 

つまり、旧問3では、支援者の視点からのアプローチが求められ、新問2では、問題解決のために相談者A自身が取るべき具体的な行動が求められています。

 

それでは、それぞれの解答例を考えてみます。

 

旧問3の解答例は、

 

相談者Aに対し、まず優先順位を明確にするためのライフプランの再評価を提案します。次に、夫の転勤先に同行するかどうかを含めた選択肢の利点と欠点を整理し、各選択肢がキャリアと育児にどのような影響を与えるかを考察します。その上で、相談者Aが自分の価値観に基づいて意思決定できるよう、サポートを行います。

 

この解答例では、相談者Aに対する対応として、まずAの状況を整理し、意思決定をサポートするための具体的なステップを提案しています。

 

新問2に対する解答例は以下のようになります。


相談者Aは、まず夫の転勤先に同行するか、現在の仕事を続けるかという意思決定を行うことが重要です。そのために、家族との協議を通じて長期的なライフプランを見直し、転勤先でのサポート体制の確認や、職場での柔軟な働き方の交渉を進めることが必要です。これにより、キャリアと育児の両立に対する不安を軽減し、最適な選択ができるようになります。

 

この解答例では、相談者Aが直面している問題を解決するための具体的なアプローチを提案しています。

 

特に意思決定のプロセスに焦点を当て、長期的な視点での解決策を考慮しています。

 

それで、転勤先でのサポート体制の確認や職場での柔軟な働き方の交渉について、具体的には以下のようなことが考えられます。

 

転勤先でのサポート体制の確認として、転勤先の地域で利用できる保育施設、学童保育、ベビーシッターサービスなどを調査し、必要な支援が受けられるか確認する。

 

転勤先に近くに住む家族や親族がいる場合、そのサポートが得られるか相談する。

 

転勤先での育児支援ネットワークや地域コミュニティを活用し、育児に関する情報や助けを得ることを検討する。

 

職場での柔軟な働き方の交渉としては、会社に対してリモートワークや在宅勤務の導入を提案し、働く時間や場所の柔軟性を確保する。

 

出勤時間や勤務時間を調整するために、時短勤務やフレックスタイム制度の利用を交渉する。

 

必要に応じて、育児休業やキャリア休職を取得することで、育児と仕事のバランスをとる。

 

これらの具体的な取り組みは、相談者Aが育児とキャリアの両立を図るための現実的な支援策であり、意思決定のプロセスをサポートします。

 

上記の解答例には、会社を辞めないという前提があります。

 

それで、会社を辞める選択肢も、相談者Aが考慮すべき重要な選択肢の一つです。

 

特に、夫の転勤先に同行し、家族と一緒に過ごすことや、育児に専念することを優先する場合には、会社を辞める選択が現実的な解決策となることがあります。

 

会社を辞める選択肢の場合、家族との時間や育児に専念するために、会社を辞めることでストレスを軽減し、生活の質を向上させる可能性を考慮する。

 

退職後に転勤先やオンラインでの新しい職業を探すことで、家族の生活とキャリアのバランスを取ることができるか検討する。

 

夫と協力しながら、新しい生活環境での支援を受けるための計画を立てる。

 

退職は大きな決断ですが、家族や育児の優先度を考えた場合、それが最適な選択となる場合もあります。

 

キャリアコンサルタントは、この選択肢も含めて相談者Aが最善の決定をできるよう支援することが重要です。

 

それで、同行する取り組みについては、退職を伴うか伴わないかの選択を含めて考えることが重要です。

 

相談者Aが夫の転勤先に同行する場合、その選択肢には以下の2つの方向性があります。

 

退職を伴う場合、 相談者Aが現在の職場を退職し、夫の転勤先で新たな生活を始める。

 

退職後の生活設計や再就職の計画を立てる。

 

転勤先での育児サポートやキャリアチェンジの可能性を探る。

 

退職を伴わない場合、相談者Aが現在の職場に留まり、テレワークや現地での勤務を選択しながら、夫の転勤先に同行する。

 

職場との交渉により、テレワークや出張ベースの勤務を可能にする。

 

転勤先でのサポート体制や育児との両立を考慮する。

 

どちらの選択肢も、家族と育児のバランスを考慮しつつ、相談者Aにとって最適なキャリアとライフプランを築くための重要なポイントとなります。

 

それで、退職を伴う場合も考慮した解答例は以下の通りになります。

 

相談者Aは、夫の転勤先での生活において、育児とキャリアをどのように両立させるかについて具体的な計画を立てる必要があります。転勤先でのサポート体制を確認し、職場での柔軟な働き方やテレワーク制度の交渉を進めること、または転勤に伴う退職を含む全体的なライフプランの再評価を行うべきです。

 

さらに、旧問3の解答例である、

 

相談者Aに対し、まず優先順位を明確にするためのライフプランの再評価を提案します。次に、夫の転勤先に同行するかどうかを含めた選択肢の利点と欠点を整理し、各選択肢がキャリアと育児にどのような影響を与えるかを考察します。その上で、相談者Aが自分の価値観に基づいて意思決定できるよう、サポートを行います。

 

を、相談者Aが取り組むべき解答例に修正すると、次のようになります。

 

相談者Aはまず、自身の優先順位を明確にするために、全体的なライフプランの再評価を行う必要があります。次に、夫の転勤先に同行するかどうかを含めた選択肢の利点と欠点を整理し、各選択肢がキャリアと育児にどのような影響を与えるかを考察します。その上で、自分の価値観に基づいて最適な意思決定を行うために、取り組みを進めるべきです。

 

以上のように、解答の視点について、その側面や角度を変えて工夫することで、多様な解答を得ることができます。

 

それで、問2の解答を考えるときに、問1との一貫性が取れているかということも留意点です。

 

(続く)