今回から、第12回ロールプレイケース内容1.について、キャリアコンサルタントが相談者Bに対して、どのような質問をしてアプローチしたらいいのかを、受検者が事例指導者の立場でどのように指導するのかを考えます。
【1級 第12回 実技(面接)試験 ロールプレイケース内容】
●ケース1
事例相談者:キャリアコンサルタント(相談歴2年)
相談者:Aさん、男性(30歳)
【相談者が相談したこと】
最近は主にリモートワークで仕事をしてきたが、今後は会社の方針で、全員出社することになった。この2年間、子どもの保育園が度々休園することがあったが、家で仕事ができたので、共働きの妻に協力することができた。今後のことを考えると、リモートワークが可能な会社に転職をしたほうが良いと考えているが、初めての転職であること、また気持ちの整理もしたいと思い、相談にきた。
【キャリアコンサルタントが相談したいこと】
コロナ禍で急速に働き方が変化する中での転職であるため、じっくりと検討することが必要と考えた。全員出社という会社の今後の方針や働き方について情報収集すること、家族に相談することを伝えた。しかし、約束した次の面談に来訪はなく、後日退職したと聞いた。支援の方法に問題があったのではないかと思い、指導を受けたい。
キャリアコンサルタントが相談者に対して介入する場合のアプローチと事例相談者への受検者の気づきを促すサポートについて考えます。
【1. キャリアコンサルタントとしての介入アプローチ】
1.面談の進行を以下の通り、行います。
◉まず、信頼関係の構築から始めます。
・キャリアコンサルタントは、
「最近、会社から全員出社の方針について指示があったことについて、どのように感じていますか?」
と全員出社についての質問をします。
・相談者の感情や考えを引き出すことで、相談者の心情に寄り添い、信頼関係を築く第一歩となります。
・次に、キャリアコンサルタントは、
「リモートワークができたことで、どのような点が助かりましたか?」
とリモートワークの利点について質問をします。
・相談者の過去のポジティブな経験を共有することで、相談者の価値観やニーズを理解しやすくなります。
◉現状分析と課題の整理をします。
・キャリアコンサルタントは、
「保育園が休園する際、どのように対応してきましたか?」
と現状を確認する質問をします。
・現実的な課題を具体的に把握することで、相談者の現状を正確に理解し、具体的な対応策を考える材料となります。
・キャリアコンサルタントは、
「全員出社が開始されることで、具体的にどのような問題が生じると考えていますか?」
と質問することで、課題を明確にします。
・相談者が直面する可能性のある課題を明確にすることで、相談者と一緒に対策を検討しやすくなります。
◉キャリアビジョンの共有をします。
・キャリアコンサルタントは、
「今後どのような働き方を希望していますか?」
と質問することで、キャリア目標を共有します。
・相談者の理想とする働き方を把握し、それに向けた具体的なプランを一緒に考えるための基盤を作ります。
・キャリアコンサルタントは、
「転職を考える上で、重要な条件や優先順位は何ですか?」
と質問して、転職の基準を明確にします。
・相談者の転職の基準を明確にすることで、転職活動の方向性を具体化しやすくします。
2.情報提供と選択肢の提示に進めます。
◉転職市場の情報提供の段階に進めます。
・キャリアコンサルタントは、
「リモートワークが可能な企業について、どの程度の情報をお持ちですか?」
と質問することで、知識レベルを把握します。
・相談者の知識レベルを把握し、必要な情報を提供するための基準とします。
・キャリアコンサルタントは、
「興味のある業界や職種はありますか?」
と興味や関心を理解します。
・相談者の興味や関心を理解することで、より適切な情報を提供しやすくなります。
◉企業の柔軟な働き方の例を考えさせる。
・キャリアコンサルタントは、
「他の企業での柔軟な働き方の例を聞いたことはありますか?」
と質問することで、新たな視点を提供します。
・相談者に新たな視点を提供し、現在の職場以外の可能性を考えるきっかけを作ります。
・キャリアコンサルタントは、
「リモートワーク以外にも、どのような働き方が考えられると思いますか?」
と質問して、選択肢を増やします。
・相談者の柔軟な思考を促し、他の可能性についても検討する場を提供します。
◉家族との相談支援を促す。
・キャリアコンサルタントは、
「家族とどのように話し合いを進めるか、具体的な計画を立ててみましょうか?」
と質問することで、家族との相談をサポートします。
・相談者が家庭内での話し合いをスムーズに進められるように、具体的なサポートを提供します。
・キャリアコンサルタントは、
「家族に理解してもらうために、どのようなポイントを伝えることが重要だと思いますか?」
と質問して、家族との協力を得ます。
・家族の協力を得るためのコミュニケーション方法についてアドバイスを提供し、家庭内の理解を深めます。
【2. 事例相談者への気づきを促すサポート】
1.自己反省を促進する。
◉面談の振り返りを行う。
・事例指導者は、
「面談でのAさんの反応を振り返ってみて、どの部分がうまくいったと思いますか?」
と質問することで、自己評価に焦点を当てます。
・相談者自身の行動や対応について自己評価を促し、良かった点を確認します。
・事例指導者は、
「Aさんが面談後にどのような行動を取ったか、話してみましょう。」
と質問して、行動の結果を明確にします。
・相談者が取った自身の行動の結果を確認することで、次のステップの計画を立てるための反省材料を得ます。
◉失敗から学ぶことです。
・事例指導者は、
「Aさんが退職を決断した背景には、どのような要因があったと考えますか?」
と質問することで、退職に焦点を当てます。
・失敗の原因を具体的に分析し、今後の改善点を明確にします。
・事例指導者は、
「初回の相談では、どのようなアプローチを試みるべきだったと思いますか?」
と質問して、改善策を明確にします。
・具体的な改善策を考えることで、今後の対応に向けた準備を促します。
2.具体的な改善策の提案に展開します。
◉信頼関係の重要性を認識させます。
・事例指導者は、
「信頼関係を築くために、具体的にどのようなことを心がけるべきだと思いますか?」
と質問して、信頼関係に焦点を当てます。
・信頼関係の重要性を認識させ、具体的な方法を考えさせることで、今後の対応力を向上させます。
・事例指導者は、
「Aさんの気持ちに寄り添うために、どのようなアプローチを取ることが有効だと思いますか?」
と質問することで、方策を明確にします。
・相談者の感情やニーズに応えるための具体的な方法を考えることで、実践的なスキルを身につけさせます。
◉フォローアップを強化します。
・事例指導者は、
「今後のフォローアップとして何が不足していたと思いますか?どのようにサポートを提供するべきだったでしょうか?」
と質問して、具体的な展開に焦点を当てます。
・フォローアップの重要性を認識させ、具体的な計画を立てるための指導を行います。
・事例指導者は、
「フォローアップの計画を具体的に立てるとしたら、どのようなステップが考えられますか?」
と質問することで、具体的な手順を明確化します。
・フォローアップの具体的な手順を考えさせることで、段階的なサポートの方法を明確にします。
3.失敗事例から成長目標の共有に進みます。
◉失敗事例を今後に活かす。
・事例指導者は、
「今回のAさんのケース事例から、どのような学びが得られましたか?」
と質問して、失敗事例からの学びに焦点を当てます。
・失敗事例から具体的な学びを得ることで、今後の対応に活かすためのヒントを提供します。
・事例指導者は、
「失敗事例を参考にして、今後の自分の対応にどのように応用できるか考えてみましょう。」
と質問することで、改善策を明確にします。
・失敗事例を今後のケースに応用することで、具体的な改善策を考える力を養います。
◉ロールプレイの実施で指導する。
・事例指導者は、
「ロールプレイを行うことで、実際の対応方法をどのように改善できると思いますか?」
と質問して、実践的な対応に焦点を当てます。
・ロールプレイを通じて実践的なスキルを向上させ、具体的な改善策を試す場を提供します。
・事例指導者は、
「ロールプレイを通じて、具体的なスキルを身につけるためにどのような点に注意すべきですか?」
と質問することで、今後の注意点を明確化させます。
・ロールプレイの際の注意点を考えさせることで、効果的な練習方法を身につけさせます。
以上の具体的な質問と分析を通じて、相談者の状況を深く理解し、適切な支援を提供するためのアプローチを明確にします。また、事例相談者への気づきを促すためのサポートも効果的に行えます。