今日は、第11回1級キャリアコンサルティング技能検定実技(論述)試験事例1必須問題問4(その3)で解答を考えてみます。

 

問4 事例相談者Bの相談者Aへの対応について「問題」だと思うことは何か。事例に基づいて記述せよ。

 

これまで、2回にわたり、キャリアコンサルタント(事例相談者)がどのような対応をして、何が起こったのかを掴み取るため、両者のやり取りを振り返りました。

 

それで、面談経過の最後には、次の記録があります。

 

この後、日本企業のほとんどは新卒採用が中心で、中途採用の場合は仕事の経験や何ができるかを示すことが前提になることを説明。先ずは紹介されたセンターに行ってみて、その後また相談に来てくださいと伝え、面談を終了した。日本語検定 1 級を取得しているとのことだったし、面談でも会話はスムーズだったので意思疎通はできていると思っていたが、今思うと模擬面接をして確認しておけばよかったと後悔している。

 

というキャリアコンサルタントの振り返りから、どのような問題点が考えられるでしょう。

 

キャリアコンサルタントの振り返りから考えられる問題点としては、以下のようなことが考えられます。

 

日本企業の新卒採用と中途採用の違いについて説明していますが、Aに対して具体的なアクションプランや中途採用での成功のための具体的な方法については触れていないため、Aがどのように対応すべきかが明確ではありません。

 

日本語検定1級を取得しているにもかかわらず、意思疎通が完全にできているかどうかの確認が不足していた可能性があります。

 

Aの実際の日本語能力や、就職活動におけるコミュニケーションの困難さについて十分に評価していなかったかもしれません。

 

面談時にAの日本語能力や面接対策の状態を確認するために模擬面接を行わなかったことは、Aの実際の面接能力や課題を把握する機会を逃したことを意味します。

 

模擬面接は、実際の面接に向けての準備や改善点の指摘に役立つため、実施するべきでした。

 

センターを紹介した後に、どのようにフォローアップするかについての計画が不足していると感じられ、Aがセンターに行った後の進捗や困難について再度相談できるような具体的なフォローアップの手順を示すべきでした。

 

Aが抱えている焦りや不安を十分に理解し、支えるための感情的なサポートが不足していた可能性がありますので、キャリアコンサルタントは、Aの精神的なサポートを行い、モチベーションを保つための支援をするべきでした。

 

また、キャリアコンサルタントは所感で、

 

A さんは、数年で起業する予定とのことだったし、年齢的にも新卒採用で内定をもらうことは難しいと感じた。また大学院での専攻と希望職種の関連が薄く、キャリアに一貫性がないことが気になった。しかし、留学生に対する就職支援の経験がほとんどなかったので、外国人雇用サービスセンターにリファーした。今となっては、面談で意思疎通ができていたのか自信がもてない。外国人留学生の支援について、どのように行えばよかったのか、指導を受けたい。

 

と記録しています。

 

このキャリアコンサルタントの所感から考えられる問題は以下の通りです。

 

キャリアコンサルタントがAとのコミュニケーションに対して自信を持てないと述べていることから、意思疎通に関する問題があると考えられます。

 

具体的には、Aのニーズや意図が十分に理解できていない可能性があり、この問題は、Aの本当の悩みや求める支援が把握できていないため、適切なアドバイスや支援ができていないことにつながります。

 

キャリアコンサルタントは留学生への支援経験がほとんどないと述べており、外国人留学生の特有のニーズに対する理解が不足している可能性があります。

 

経験不足は、留学生に対して適切な支援やアドバイスを行う能力に影響を与え、相談者が必要とする具体的なサポートが提供できない原因となります。

 

Aの大学院での専攻と希望職種の関連が薄く、キャリアに一貫性がないと感じたことから、キャリアコンサルタントはAのキャリアの方向性に疑問を持っているようです。

 

 この感覚が強いと、Aの目標に対しての支援が中途半端になり、Aのキャリアに対する意識や目標の整理を適切に行えない可能性があります。

 

外国人留学生の支援に関する具体的な方法やアプローチが不足していると感じており、どのように行えばよかったのかの指導を求めていますが、支援の方法やアプローチに対する理解が不十分なため、留学生に対して効果的な支援ができていないことに起因する問題があります。

 

キャリアコンサルタントが抱える主な問題は、意思疎通の不足、留学生支援の経験不足、キャリアの一貫性に対する対応、そして支援の方法とアプローチの改善です。

 

これらを解決することで、Aに対してより効果的な支援を行うことができるようになります。

 

事例相談者Bの相談者Aへの対応における「問題」として、対処したことを網羅すると次のようにまとめられます。

 

まずBがAの「大手であれば、どんな企業でもいいんです。」という発言に対し、具体的な希望やニーズを深く掘り下げずに表面的な返答に留まった点が挙げられます。

それで、Aは不満や困惑、Bは混乱や疑念を抱いたのではないでしょうか。

 

次に、ビザ問題に対して具体的なアドバイスを提供せず、「ビザに関することはよくわからない」とあいまいな対応をしたことが問題です。

このことから、Aの不安が増し、逆にBは軽視しています。

 

また、Aのキャリアプランに対する理解が不足し、希望職種の一貫性について適切なアドバイスを行わなかった点も問題です。

このアプローチには、Aの希望を無視し、Bは否定的です。

 

さらに、留学生支援に関する知識や経験が不足し、Aに対する十分な支援ができなかったことも挙げられます。

これからは、Aの信頼感の低下で、期待が失望に変わります。

 

これらの問題を改善するためには、コミュニケーションを強化し、ビザ問題に関する具体的なアドバイスを提供し、Aのキャリアプランに対する理解を深め、留学生支援に関する専門的な知識を強化する必要があります。

 

これまでの問題を全般的に改善するためには、基本的態度としてAのニーズに深く関心を持ち、関係構築を通じて信頼を築くことが重要です。

 

また、問題把握においてはAの状況を全面的に理解し、目標設定ではAのキャリア目標に即した具体的な支援プランを策定する必要があります。

 

(続く)