今回は、前回に続き、第12回論述試験事例1必須問題問2についての捉え方を述べていきます。

 

設問は下記の第13回論述試験の問2の内容を用いて考えていきます。

 

問2 あなたが考える見立てに基づき、相談者Aが「問題」を解決するために取り組むべきことは何か、記述せよ。(20点)

 

前回、問1で捉えた相談者Aが訴えた「問題」は以下の通りです。

 

相談者Aは、現在の仕事と家庭のバランスを取ることが難しくなっていること、そして将来的なキャリアと収入の安定に対する不安から、どのように働き方を見直すべきか迷っているという問題を抱えています。

 

つまり、相談者Aは短期的な問題として、

「家族と過ごす時間が増えたのはいいことだけど、このペースが続くのはしんどいと思っています。」

と発言しています。

 

相談者Aの「このペースが続くのはしんどい」という発言から見えてくる問題は、現在の働き方と家庭生活のバランスにおける持続可能性の欠如です。

 

これに対して、相談者Aが具体的に取り組むべきことは以下の通りです。

 

タイムマネジメントの改善が必要となってきます。

 

具体的なアクションとしては、スケジュールの見直しとして、1日のスケジュールを詳細に記録し、仕事と家庭の時間配分を見直す。

 

無駄な時間を減らし、効率的な時間管理を目指す。

 

業務の優先順位を明確にし、重要度の低いタスクを削減する。

 

また、家庭での重要な時間を優先的に確保する。

 

などの取り組みが考えられます。

 

期待される効果としては、より効率的に業務を遂行できるようになり、家庭との時間も確保しやすくなりますし、相談者Aのストレスが軽減され、精神的な負担が減ります。

 

業務の委任とチームの効率化に取り組むことが必要です。

 

具体的なアクションとしては、業務の分担として、 部下に対して業務を適切に委任し、個々の業務負担を軽減することや、部下のスキルアップを支援し、業務の効率化を図ることです。

 

チームのコミュニケーション向上については、定期的なミーティングを行い、チーム全体の業務状況を共有し、効率的な業務分担とサポート体制を構築します。

 

期待される効果としては、部下の業務スキルが向上し、相談者Aの負担が軽減されますし、チーム全体の業務効率が向上し、業務のオーバーフローを防ぐことができます。

 

また、自己ケアとストレス管理も必要です。

 

具体的なアクションとしては、メンタルヘルスケアとして、カウンセリングやメンタルヘルスのプログラムに参加し、ストレス管理の技術を学ぶことです。

 

リラクゼーション技法では、瞑想やヨガ、リラクゼーション技法を日常的に取り入れ、心身のリフレッシュを図ることも必要です。

 

期待される効果では、ストレスが軽減され、精神的な安定が保たれ、健康的な生活リズムが整い、仕事と家庭生活のバランスが向上します。

 

以上が、相談者Aの抱えている現在の問題で、短期的な課題ですが、相談者A一人では対応できる課題ではありません。

 

全て、会社としての取り組みが必要となり上司や部下、人事部などのサポートを必要とします。

 

相談者Aとキャリアコンサルタントの二人の間でできる取り組みはどのようなことがあるのでしょうか。

 

家庭の中で、「仕事の場所」と「生活空間」が分けられていないことが問題ではないでしょうか。

 

家庭内で「仕事の場所」と「生活空間」が明確に分けられていないことは、相談者Aにとって大きな問題となり得ます。

 

このことが、仕事と家庭のバランスを取る上でのストレスや疲労感を増加させている可能性があります。

 

問題の見立てとしては、具体的には、物理的な境界の欠如です。

 

仕事と家庭生活の境界が曖昧であるため、仕事が家庭生活に侵食している。

 

精神的な切り替えの困難として、物理的な境界がないため、仕事モードから家庭モードへの切り替えが困難であり、精神的なリフレッシュができていないことなどがあります。

 

取り組むべきこととしては、具体的なアクション専用の仕事スペースの確保です。

 

家の中で専用の仕事スペースを設けることにより、仕事と家庭生活を物理的に分離し、仕事の時間と家庭の時間を明確に区別することができます。

 

可能であれば専用の部屋を設けることで、ドアを閉めることで仕事と家庭の境界を物理的に示すことができます。

 

部屋を分けることが難しい場合は、リビングや寝室の一角にパーティションやスクリーンを使って仕事専用のコーナーを作ります。

 

時間管理のルール設定として、家族との話し合いを通じて、仕事時間と家庭時間の明確なルールを設定し、それを守るように努めます。

 

家族に仕事の開始と終了時間を知らせ、その時間外は仕事に手をつけないようにする。

 

仕事中にも定期的に休憩時間を設け、リフレッシュする。

 

家族全員に相談者Aの働き方や仕事時間の重要性を理解してもらい、協力をお願いする。

 

期待される効果として、物理的な空間の分離により、仕事と家庭生活の境界が明確になり、精神的な切り替えがスムーズになりますし、家族との時間が確保され、家庭内でのストレスが減少します。

 

このような取り組みを、相談者Aとキャリアコンサルタントの間で検討できると、

「このペースが続くのはしんどい」という相談者Aの心身の問題に応えることができます。

 

あなた(事例指導者=受検者)の見立てとして、相談者Aにはこんな取り組みを提案することが重要ではないでしょうか。

 

次に、中長期的な問題として、将来の昇格とキャリアアップの検討があります。

 

具体的なアクションとしては、キャリアビジョンの再構築で、自身のキャリアビジョンを再評価し、昇格やキャリアアップの可能性を具体的に検討します。

 

昇格(事業部長)に必要なスキルや経験を積むための研修や自己学習を計画し、実行します。

 

期待される効果として、将来的なキャリアの選択肢が広がり、仕事へのモチベーションが向上します。

 

昇格に伴う収入の増加により、家族の生活の安定と将来への不安が軽減されます。

 

また、中長期的対策としては、子どもの成長に伴い、家族の時間の必要性が変わることを見越して、働き方やキャリアの見直しを行います。

 

これには、キャリアコンサルタントとの定期的な面談や、キャリアプランの再評価が含まれます。

 

つまり、相談者Aが直面している問題は複雑で多面的ですが、子どもの成長と発達による家族との時間の必要性の変化を考慮することで、より現実的で長期的な解決策を見つけることができます。

 

家族とのコミュニケーション強化して、こどもの成長や発達を考えながら、将来のライフスタイルを描く必要があります。

 

具体的なアクションでは、家族との定期的な会話の時間を設け、お互いのニーズや希望を共有し合います。

 

共同活動の計画として、家族で楽しめるアクティビティを計画し、積極的に参加することで家族の絆を深めます。

 

期待される効果としては、家族との関係が強化され、家庭内での支援体制が整いますので、家族全員が相談者Aの働き方に理解を示し、協力的な環境が作られます。

 

つまり、相談者Aが現在の働き方と家庭生活のバランスを持続可能にするためには、タイムマネジメントの改善、業務の委任、自己ケアとストレス管理、仕事と家庭空間との境界、昇格やキャリアアップの検討、家族とのコミュニケーション強化が必要です。

 

これらの取り組みにより、相談者Aはよりバランスの取れた生活を送り、将来的なキャリアの選択肢を広げることができるでしょう。