現在、タンタンミーティングで受検者の皆さんの第12回論述の個別指導をしておりますが、昨日で6月の論述及び面接について、18名全ての方の指導が終了しました。

 

6月は、個別指導の間は、ヒントになるような内容をブログで取り上げることは控えておりましたので、記事の掲載が少なくなりました。

 

これからも、個別指導を受講している人を対象として、記事の掲載を調整しますので、記事の投稿は少なくなると考えています。

 

幅広く読者を集めることも、集客や収入を重視する場合には必要なことかもしれませんが、1級キャリアコンサルティング技能士を目指す人への指針を提供できることを目指しているタンタンの信条とは違うものだと考えています。

 

それでは、第12回論述試験事例1必須問題問1についての問題把握を述べていきます。

 

設問には下記の第13回の内容を用いて考えていきます。

 

問1 相談者Aが訴えた「問題」は何か、記述せよ。(10点)

 

問2 あなたが考える見立てに基づき、相談者Aが「問題」を解決するために取り組むべきことは何か、記述せよ。(20点)

 

問3 相談者Aを支援するために必要なネットワークは何か。相談者Aの置かれた環境への働きかけについて関係機関や関係者との連携も考慮し、記述せよ。(20点)

 

問4 事例相談者Bの相談者Aへの対応について「問題」だと思うことは何か。事例に基づいて記述せよ。(25点)

 

問5 問4で挙げた事例相談者Bの「問題」だと思うことの中から優先するものを取り上げ、具体的な指導方法を記述せよ。(25点)

 

今回は、”問1 相談者Aが訴えた「問題」は何か、記述せよ”を取り上げます。

 

この相談者Aは何を訴えたいのでしょうか。

 

相談者Aが訴えている「問題」は、仕事と家庭のバランスをどのように取るかについてのワークライフバランスの悩みです。

 

具体的には以下の点が含まれます。

 

●家庭との時間の確保で、テレワークやフレックスタイム制の導入により、家族との時間が増えたが、今後もこのバランスをどう維持するか。

 

●業務の過多について、多忙な業務に追われていること、特に部下の業務がオーバーフローした場合、自分がその負担を引き受けていること。

 

●働き方改革の影響で、部下の残業時間管理を強化する必要があり、その結果自分の負担が増えていること。

 

●将来の不安には、家族を養うために現在の給与水準を維持する必要があり、簡単には会社を辞められないこと。

 

●独立への考えについては、独立することで時間を有効に使えるかもしれないが、現在の生活水準を維持することが難しいかもしれないという不安です。

 

これらの問題から、相談者Aは、今後の働き方やキャリアの方向性について具体的なアドバイスや解決策を求めています。

 

以上のことを相談者Aが訴えている「問題」と特定すると、それは表面的な受け止めで、相談者Aの真意を理解できていません。

 

事例記録には、相談者Aとキャリアコンサルタントの後半の対話として以下の発言が記録されています。

 

「直ぐに会社を辞めるという気持ちはありません。八方塞がりになっています。」

 

「今は以前のように昇格することに魅力を感じていません」

 

「なにか突破口がないかと思うのですが…。」

 

などの「キーワード」、相談者Aの意味ある発言には注目しないでいいのでしょうか。

 

相談者Aの発言の中で

「八方塞がり」

「昇格することには魅力を感じていません」

「突破口がない」

という表現は非常に重要です。

 

これらの発言はAが抱えている深刻な悩みやフラストレーションを反映しています。

 

以下にそれぞれの発言について詳しく見てみます。

 

● 八方塞がりの意味は、 どの方向にも進むことができず、解決策が見つからない状況にあることです。

 

 Aさんは現在の職場での働き方に限界を感じ、現状を変える手段が見つからないことに強いストレスを感じていることを示唆しています。

 

● 突破口がないの意味は、現状を打開する方法やアイデアが見つからないという状態です。

 

Aさんは様々な方法を考えてみたものの、いまだに効果的な解決策が見つからず、無力感を抱いている様子です。

 

昇格することには魅力を感じていませんについて、それが意味することは、以前は出世や昇進に意欲があったが、現在はそのモチベーションが失われているということです。

 

 Aさんの価値観や優先順位が変わってきており、今は仕事よりも家族との時間を大切にしたいという気持ちが強いようです。

 

これらの発言は、Aさんの心の中で何が起こっているのか、そして彼が何を求めているのかを理解する上で非常に重要です。

 

これらを踏まえて、相談者Aの問題を再度整理すると、以下のようになります。

 

相談者Aが訴えている問題は、仕事と家庭のバランスをとるため、 家族との時間を大切にしたいが、業務量が多いためにバランスを取るのが難しいと思っています。

 

業務過多と責任感で、部下の業務を肩代わりすることが多く、自分の負担が増えています。

 

将来の不安として、現在の収入を維持するために会社を辞めることが難しく、独立についても不安があります。

 

モチベーションの低下もあり、昇進に魅力を感じなくなり、仕事に対する意欲が低下しています。

 

でも、子どもの成長と発達から家族との時間を確保する必要性が低くなっていくことを考慮する必要があります。

 

子どもの成長と発達によって家族との時間の必要性が変わることは、相談者Aが抱えている問題の背景を理解する上で非常に重要な要素です。

 

以下のポイントで具体的に考慮するべきことを示します。

 

子どもの成長と発達による影響として、短期的なニーズでは、現在、相談者Aの子どもは11歳、8歳、5歳であり、特に幼い子どもほど親の関与が求められる時期です。

 

相談者Aがこの時期に家族との時間を重視するのは非常に自然です。

 

長期的な変化としては、子どもが成長するにつれて、親の関与の仕方も変わります。

 

たとえば、思春期になると子どもは自立し始め、親との時間の過ごし方が変わってきます。

 

この変化を見越して、将来的なキャリアプランや働き方を見直すことができます。

 

相談者Aの状況に対する対応策としては、現状のバランスを見直すために、現在の仕事と家庭のバランスを見直し、子どもの成長に合わせて時間の使い方を調整することができます。

 

例えば、今は特に家族との時間を確保しつつ、数年後にはもう少し仕事に専念する時間を増やす計画を立てることが考えられます。

 

柔軟な働き方の提案として、テレワークやフレックスタイム制を活用して、家庭と仕事のバランスを取る具体的な方法を提案します。

 

今のような忙しい時期には、他のサポート体制(家族や部下のサポート)を活用することも考慮できます。

 

将来のキャリアプランの見直しには、子どもが成長して手がかからなくなる時期を見越して、将来のキャリアプランを再評価します。

 

例えば、独立やフリーランスなどの選択肢を検討し、家族との時間を大切にしながら収入を確保する方法を模索します。

 

つまり、相談者Aが直面している問題は複雑で多面的ですが、子どもの成長と発達による家族との時間の必要性の変化を考慮することで、より現実的で長期的な解決策を見つけることができます。

 

しかしながら、家族との時間確保の必要性が薄れていくことから、相談者Aは将来的に収入確保を考えると、昇格を目指すキャリア形成を考えるべきではないかと考えます。

 

子どもが成長するにつれて、家族との時間確保の必要性が減少する可能性があります。

 

そのため、相談者Aは将来的に収入を確保するために昇格を目指すキャリア形成を再度検討することも有益です。

 

相談者Aが訴えている問題は、以下の通りです。

 

●仕事と家庭のバランスの問題で、家族との時間の確保には、テレワークとフレックスタイム制の導入により、家族との時間を大切にしたいという思いが強くなっているが、仕事の多忙さと責任感からそのバランスを取るのが難しいこと。

 

●業務の過多と責任の問題では、多忙な業務が、 営業部長として多くの業務を抱えており、部下の業務がオーバーフローした場合、自分がその負担を引き受けることが多いことです。

 

●働き方改革については、部下の残業時間管理の責任が増えたことで、さらに自分の負担が増加している。

 

●将来のキャリアと収入に対する不安があり、収入の維持として家族を養うために現在の収入を維持する必要があるが、独立することにはリスクが伴うため、現状での解決策を見つけたいと思っています。

 

●キャリアの方向性として、昇格に対する魅力が薄れつつあり、独立の選択肢も視野に入れているが、具体的な突破口が見つからないことです。

 

●精神的なストレスとジレンマがあり、八方塞がりで、どの方向にも進むことができないという無力感と、解決策が見つからないことへのストレスを抱えています。

 

●家族との時間を増やしたい一方で、仕事の責任感から逃れられないというジレンマがあります。

 

つまり、相談者Aは、家族との時間を大切にしつつ、多忙な業務と責任をどのようにバランスさせるかについて悩んでいます。

 

また、将来的な収入確保とキャリアの方向性に対する不安も抱えており、現状を打開するための具体的な方法が見つからず、精神的なストレスを感じています。

 

これらの問題に対して、キャリアカウンセリングや時間管理の効率化、将来のキャリアプランの見直しなどの具体的な支援が求められます。

 

相談者Aは突破口として昇格を目指さなければならないことに気づいているが、その潜在的な希望に蓋をすることで、その選択肢を考えないようにしようとしています。

 

しかしながら、本当はその選択について背中を押して欲しいと訴えているのではないでしょうか。

 

相談者Aの発言を詳しく分析すると、確かに彼は昇格やキャリアアップに関して複雑な感情を抱いていることが見えてきます。

 

以下の視点から、相談者Aの本当の希望や潜在的な訴えを考察してみます。

 

潜在的な希望と訴えの分析として、昇格に対する複雑な感情があります。

 

過去のモチベーションでは、かつては出世のために頑張っていたが、現在は昇格に魅力を感じていないという発言がありました。

 

これは、現在の状況におけるストレスや負担のために昇格のメリットが感じられないことを示しています。

 

しかし、潜在的な希望として、収入の維持や将来のキャリアを考えると、昇格は非常に現実的な選択肢です。

 

相談者Aはこの選択肢について完全に否定しているわけではなく、むしろ現実的な障壁や不安から目をそらしている可能性があります。

 

家族との時間確保のジレンマとして、家族との時間を重視していますが、現在の状況では、家族との時間を優先したいという強い希望があります。

 

しかし、子どもが成長して独立するにつれて、この必要性は徐々に減少することも事実です。

 

昇格のための犠牲では、昇格を目指すことで、短期的には家族との時間が減るかもしれませんが、長期的には収入やキャリアの安定をもたらし、家族全体の生活を向上させる可能性があります。

 

本当の訴えとしては、背中を押してほしいのではないでしょうか。

 

相談者Aは、実際には昇格を目指すことが理にかなっていると理解しているものの、現在のストレスや不安からその選択肢に踏み出せずにいます。

 

つまり、彼は昇格に対する潜在的な希望を抱いており、その選択を支持してくれる第三者の意見やサポートを求めている可能性が高いです。

 

相談者Aは、表面的には昇格に対する興味を失っているように見えますが、実際にはその選択肢を潜在的に希望している可能性が高いです。

 

Aは、昇格のメリットを再認識し、具体的な支援やサポートを受けることで、その選択肢に踏み出す勇気を得たいと訴えているのではないでしょうか。

 

以上から、相談者Aが訴えた「問題」は何か、記述してみます。

 

相談者Aが訴えた「問題」は以下の通りです。

 

●相談者Aは、現在の仕事と家庭のバランスを取ることが難しくなっていること、そして将来的なキャリアと収入の安定に対する不安から、どのように働き方を見直すべきか迷っているという問題を抱えています。

 

●詳細な問題点としては、仕事と家庭のバランスで、テレワークとフレックスタイム制の導入により家族との時間を確保できるようになったが、業務量と責任の多さから常に仕事に追われている状態である。

 

●家族との時間を大切にしたいが、業務が多忙なために十分な時間を確保できていない。

 

●業務負担の増加では、部下の業務がオーバーフローした際に自分がその負担を引き受けることが多く、結果的に自分の業務負担が増加している。

 

●働き方改革の一環で部下の残業時間管理が強化されており、管理職としての負担が増えている。

 

●キャリアの方向性と収入の安定として、将来的な収入の維持と安定に対する不安があり、現在の収入水準を維持しながら家族を養う必要があります。

 

●昇格や独立などのキャリア選択肢に対する不安があり、どの方向に進むべきか迷っています。

 

●精神的なストレスとして、仕事と家庭の両立に対するジレンマから来るストレスや、現状における無力感を感じています。

 

●「八方塞がり」や「突破口がない」と感じており、将来の選択肢に対する明確なビジョンが見えない状態であります。

 

●相談者Aは、現状の問題を解決するための具体的な方法やサポートを求めており、特に昇格やキャリアアップの選択肢について背中を押してくれるような支援を期待している可能性があります。

 

相談者Aはこれらの問題を抱えていますが、問題作成者の意図を考えると、

「直ぐに会社を辞めるという気持ちはありません。八方塞がりになっています。」

「今は以前のように昇格することに魅力を感じていません」

「なにか突破口がないかと思うのですが…。」

という発言の「八方塞がり」「昇格には魅力を感じていない」「突破口がない」にキャリアコンサルタントは焦点を当てて、相談者Aの自己探索を深める必要があったし、産業カウンセラー養成講座で学んだ

「…。」の沈黙に注目する必要があるのです。

 

事例指導者はそのことを重要視して、相談者Aの訴えている問題を潜在的な視点から理解することが大切なのではないでしょうか。