今回も、第13回1級キャリアコンサルティング技能検定実技(論述)試験の問題をシュロスバーグ博士の転機(トランジッション)の理論を用いて考えていきます。

 

第13回論述検定試験の問3の設問は次の通りです。

 

問3 相談者Aを支援するために必要なネットワークは何か。相談者Aの置かれた環境への働きかけについて関係機関や関係者との連携も考慮し、記述せよ。(20点)

 

問1 相談者Aが訴えた「問題」は何か、記述せよ。

 

前回、問2の解答を、以下の通りまとめてみました。

 

相談者Aが自己理解を深め、スキルアップを図り、家族とのコミュニケーションを強化する一方で、事例相談者Bは支援環境の整備、継続的なサポート、研修の提供、そしてキャリアプランの策定支援に取り組みます。これにより、Aは管理職とスペシャリストの両方のキャリアパスをバランスよく検討でき、経済的・精神的な安定を図ることができます。

 

それで、ネットワークを組織全体の制度設計と実施から考えます。

 

・管理職とスペシャリストの両方のキャリアパスを選択できる制度の設計と実施には、会社全体の合意と組織的な変更が必要です。事例相談者Bは、人事部門や経営層との連携が不可欠です。

 

・管理職に必要な予算管理スキルや経営知識を補うための研修プログラムの導入と実施です。これには予算、講師の選定、スケジュール調整など、複数の部門の協力が必要となります。

 

・管理職に対する不安や抵抗感を減らすためには、組織文化の改革が必要です。これはBの個人の努力だけでは難しく、経営層や他の管理職、全社員の協力が求められます。

 

・ファイナンシャルプランナーやカウンセラーなどの外部専門家との連携が必要です。これにより、Aが予算管理に対する苦手意識を克服するサポートが受けられるし、組織の承認と環境資源が必要です。

 

・Aの家族の経済的な安定や将来のライフプランに関する支援が必要です。これはAの個人的な取り組みが必要であり、Bが直接解決できる問題ではありません。

 

・Aが管理職になるための直接的な支援やフィードバックが必要です。これは課長や上司の協力が不可欠であり、Bだけでは対応できません。

 

これらの問題を解決するためには、事例相談者Bが他の関係者と連携し、組織全体での取り組みを推進することが必要です。

 

以上のことをまとめてみます

 

事例相談者Bは、経営層や人事部門と連携し、予算管理のスキル向上を目的としたトレーニングプログラムを実施することで、相談者Aのスキルアップを図ります。また、キャリアコンサルティングを強化し、管理職と専門職のキャリアパスを明確にすることで、Aが自分に適したキャリアを選択しやすくします。さらに、社内の福利厚生担当と協力し、ファイナンシャルプランナーを招き、家計管理やライフプランに関する情報提供を行うことで、Aの家庭の経済的な安定を促進します。これにより、Aの収支に関する不安を軽減し、予算管理に応用できる知識を提供することで、充実したキャリア形成を支援します。

 

まとめが、少し長くなりましたが、事例相談者Bのネットワークとしては、経営層や人事部門との連携です。

 

内容は、予算管理のスキル向上を目的としたトレーニングプログラムの実施とキャリアコンサルティングの強化で、相談者Aのキャリア選択の支援です。

 

また、事例相談者Bのネットワークとして、福利厚生担当との協力が必要ですし、外部の資金管理の専門家の招聘を実施します。

 

管理職と専門職を選択したそれぞれのキャッシュフローの作成支援をすることで、収支の実際を明確にすることで、ライフプランとキャリアプランからワークライフバランスが取れたキャリア形成を支援することが可能になります。

 

以上が、転機の理論からリソースを点検することで考えたネットワークと環境への働きかけです。

 

受検者の皆さんは、どのように思考の幅を広げますか。