今日は、第13回1級キャリアコンサルティング実技(論述)試験問2についての考えを述べていきます。

 

問2の設問内容は次の通りです。

 

問2 あなたが考える見立てに基づき、相談者Aが「問題」を解決するために取り組むべきことは何か、記述せよ。(20点)

 

2023年度後期1級実技(論述)試験、採点官から観た受検者の傾向には、問2について下記の意見が寄せられています。

 

■「あなたが考える見立てに基づき、相談者が「問題」を解決するために取り組むべきことは何か」について

 

・「問題」を解決するための取り組みについては、相談者の状況に応じた現実的な取り組みに関する解答も多く見られ、受検者の日頃の研鑽が伺えました。

 

・一方で、「自己理解や仕事理解を深める」という解答も多く散見されました。相談者自身が抱える「問題(課題)」を解決するための取り組みとして、どのような自己理解、またどのような仕事理解が必要なのでしょうか。

 

今回の事例の相談者は、上司より管理職になることを見据えて予算管理の担当を命じられ、それに対し強い苦手意識があるというものですが、コスト管理の重要性の認識や予算管理のノウハウの獲得、また環境(役割)変化に適応すること等が必要かもしれません。

 

どの相談者にも当てはまるようなその場しのぎの取り組みではなく、「この相談者には今、何が必要なのか」という視点に立ってより具体的に検討いただきたいと思います。

 

相談者Aが解決すべき「問題」として、予算管理に対する強い苦手意識が挙げられます。

 

上記の意見を留意して、この問題を解決するためには、以下のような取り組みが考えられます。

 

自己理解を深めるためには、自分がなぜ予算管理に苦手意識を持っているのかを理解することが重要です。

 

過去の経験や価値観、考え方を振り返り、その根本原因を明らかにすることで、問題の解決につながります。

 

仕事理解を深めるために、予算管理の重要性やその役割、具体的なスキルやノウハウを学ぶことが必要です。

 

関連する書籍やセミナーに参加し、専門知識を習得することが役立ちます。

 

次にコミュニケーションと相談の活用が考えられます。

 

上司やキャリアコンサルタントとの積極的なコミュニケーションを図ることが重要です。

 

特に、上司からの指示や期待について明確に理解し、必要なサポートやアドバイスを受けることが必要です。

 

また、同じような経験を持つ他の管理職や同僚との情報共有や相談も有益です。

 

彼らからのアドバイスや経験談を聞き、学びながら自分の課題に対処していくことが重要です。

 

さらに、実践とフィードバックのサイクルとして、実際の業務で予算管理に取り組み、その結果を振り返ることが重要です。

 

具体的な目標や行動計画を立て、実行した結果を定期的に評価し、改善点を見つけることが必要です。

 

上司や周囲のフィードバックを積極的に受け入れ、成長のためのヒントを得ることも重要です。

 

達成した成果や課題を共有し、周囲と協力して解決策を見つけていくことが大切です。

 

これらの取り組みを通じて、相談者Aは自己理解を深め、予算管理に対する苦手意識を克服し、管理職としての成長を遂げることができます。

 

ただし、この取り組みは一時的なものではなく、継続的な努力と学びの姿勢が求められます​​ので、相談者Aが受け入れられるかどうか疑問が残ります。

 

しかし、これでは相談者Aが管理職にならない選択を考えていると、どのようなキャリア形成を考えているのか検討できていないので、相談者Aの問題を解決することにはならないのではないでしょうか。

 

相談者Aのキャリア形成に関する考え方を踏まえないと、問題解決には繋がりにくいですね。

 

相談者Aが管理職にならない場合のキャリア形成を考えると、以下のような視点が加わるのではないでしょうか。

 

管理職に昇進しない場合でも、スペシャリストとしてのキャリアパスとして、技術や知識を深化させることで、スペシャリストとしてのキャリアを築く道があります。

 

業界や専門分野での認知度や実績を積み重ね、専門家としての地位を確立することが考えられます。

 

相談者Aは転職や異業種への展開も考えているかもしれません。

 

管理職への昇進が難しい場合や望まない場合は、他の企業や業界でのキャリアチェンジを考えることも選択肢の一つです。

 

新たな挑戦や成長を求めるならば、異業種での経験やスキルの獲得も視野に入れるべきでしょう。

 

それから、家族と収入の面から、ライフスタイルに合ったキャリア計画が必要となります。

 

家族や生活スタイルに合わせて、管理職以外のキャリア形成を検討することも重要です。

 

仕事と家庭の両立や、自己実現のためのライフプランを考えながら、キャリアの方向性を見極める必要があります。

 

また、管理職になることに焦点を置いていた場合でも、その変更に伴い自己成長やキャリア目標の再設定が必要です。

 

新たなキャリアパスや目標に向けて、自己啓発やスキルアップの取り組みを行うことが重要です。

 

相談者Aのキャリア形成に関する意向や将来の展望をしっかり把握し、その上で問題解決に向けた具体的なアクションプランを提示することが必要です。

 

予算管理の苦手意識を解決するだけの戦略だけでは、この事例相談者Bと同じ方向と目標になり、採点官の次の意見を留意することになりません。

 

どの相談者にも当てはまるようなその場しのぎの取り組みではなく、「この相談者には今、何が必要なのか」という視点に立ってより具体的に検討いただきたいと思います。

 

この相談者Aの個別性を考えて、企業分野のキャリアコンサルタントである事例相談者Bにキャリアガイダンスの視点である意思決定の支援を留意する必要があると考えます。