第13回1級キャリアコンサルティング実技(論述)試験問1についての考えを述べていきます。
第12回1級では必須問題1問と選択問題1問の2つの解答が求められていましたが、第13回から一つに統一し出題形式が変更され、・メモ欄や・解答に際しての注意事項がなくなっています。
そして、
「次の文章は、事例相談者Bが相談者Aとのキャリアコンサルティングについて事例指導をうけるためにまとめられたものである。」
から始まっています。
この文章は、実際のキャリアコンサルティングに関するシチュエーションを提示し、その後に続く問題や課題に対する解決能力や知識を問うために書かれています。
具体的には、事例相談者Bが相談者Aに対してキャリアコンサルティングを行うための手法やアプローチを示すために、事例指導を受けることになっていることを示しています。
これによって、キャリアコンサルタントとしてのスキルや知識、問題解決能力などが試されることになります。
2023年度後期1級実技(論述)試験、採点官から観た受検者の傾向には、下記の意見が寄せられています。
問1 相談者Aが訴えた「問題」は何か、記述せよ。(10)
設問は相談者Aになっていますが、アンケートの意見は相談者になっています。
何か意図があって違えているのか、相談者について意味があるのでしょうか。
■「相談者が訴えた「問題」は何か」について
・多くの受検者が要点を捉え、解答することができていました。事例を正しく読み取ることができるということは、多くの相談のご経験を持ち、さらに学習・研鑽を積まれている証だと考えます。
・一方で、設問は「相談者が訴えた「問題」」となっていますが、キャリアコンサルタントとしての見立て(キャリアコンサルタントとしてあなたが考える、相談者の「問題」)ついて記述されている方もいらっしゃいました。
事例指導をする上で、この両者を分けて理解する力は重要だと考えます。
この文の意図は、受検者のキャリアコンサルタントとしての見立てと、相談者が実際に訴えた問題を区別し理解する重要性を強調していると思います。
キャリアコンサルタントとしては、相談者の問題を正確に理解し、それに対する適切なアプローチや解決策を提供する能力が求められます。
この文が指摘しているのは、多くの受検者が相談者の問題を正しく理解できている一方で、一部の受検者はキャリアコンサルタントとしての見立てを記述してしまっている点です。
キャリアコンサルティングの訓練や実務経験があれば、相談者が実際に訴えた問題と、それをキャリアコンサルタントとしてどのように見立てるかを区別できるはずです。
この区別をする力が重要だというのは、相談者の実際のニーズに応えるためにはキャリアコンサルタントが持っているべきスキルであり、それが事例指導においても求められることを示しています。
それで、この問1の設問は、相談者Aが訴えた「問題」は何か、と問われています。
以下は2級キャリアコンサルティング技能検定論述試験の設問です。
問1 相談者がこの面談で相談したい「問題」は何かを記述せよ。(20 点)
問2 キャリアコンサルタントとしてあなたが考える、相談者の「問題」は何かを記述せよ。(20 点)
この2級CC技能検定の問1、問2の2つの設問と同じ解答で良いとすると、1級試験と2級試験が同じレベルの評価になり、事例指導の相談に来たのは誰かという疑問が残ります。
この1級の相談者は、事例相談者Bであり、2級の相談者とは違います。
ということから、1級の
「相談者が訴えた「問題」は何か」について
という設問の相談者が訴えた問題を、ただ単に相談者Aが訴えた問題と理解するのは設問の意図を捉えているとは言えません。