1級キャリアコンサルティング技能検定実技(面接)試験の事例指導者の関わり方について述べてみます。

 

受検者の方の最初の問いかけで、以下のようなケースをよく見かけます。

 

①今日はお持ちいただいた事例ケースをもとに一緒に考えていきませんか?

 

②今日はケースをお持ちいただいているのですよね?

 

③今日は事例をお持ちいただいたと聞いておりますが、どんな事例ですか?

 

④今日はどのようなケースをお持ちいただいたのでしょうか?

 

以上のように投げかけるということは、事例相談者があらかじめケース記録を書いてきているという前提で聞いているということです。

 

実施概要には、事例相談者が事例記録を書いて持ってきているとは、どこにも記載がありません。

 

多分、受検者の皆さんはこれまでの練習や対策本や対策講座で、事例指導者がそのように関わっているという体験から、先入観を持たれているのでしょう。

 

このような姿勢で事例相談者の相談内容を聞いていくことが、事例指導もクライエントとカウンセラーとのカウンセリングだということの認識がない現れです。

 

カウンセリングという関りを認識していれば、

 

「今日はどのようなご相談でしょうか?」

 

というのが、キャリアコンサルタントしての基本的な言葉かけです。

 

また、次のこともキャリアコンサルタントがカウンセラーとしての姿勢に欠けていると思います。

 

①最初の相談者の相談したことを読んでみますので、相談者の主訴を一緒に共有していきましょう。

 

②最後のキャリアコンサルタントの相談したいことを読んで、あなたの相談したいことを聴かせてください。

 

③面談経過について、事例相談者が読んでください。

 

このような言葉を投げかけるということは、事例指導者の視線が事例記録に向いていて、事例相談者に向いていないことになります。

 

事例相談者が、自分の悩んでいることを相談に来ているのに、事例記録に書いてあることで、事例相談者の悩みを理解しようとしていて、焦点が事例相談者にあたっていない対応になっているのです。

 

さらに、次のような対応を見られます。

 

①面談経緯の1行目に〇〇のことが書いてありますが、これはどのようなことでしょうか。

 

②最後にキャリアコンサルタントの相談したいことに、支援の仕方に問題があるのではないかと書いてありますが。

 

などなど、事例記録に焦点が向いていて、事例相談者の話すことを聴いていないし、考えを語ってもらう対応にはなっていないのです。

 

上記のようなような対応の仕方を、キャリアコンサルタント(カウンセラー)として相応しいかかわり方だという固定観念を持っていらっしゃる方は、キャリアコンサルティングもカウンセリングの一つの形態だということを認識して、事例相談者への応答や質問の仕方など、全ての対応について、ご自分の相手への言葉の投げかけ方について再考してみてください。