今日は、口頭試問の「この事例相談者の今後の育成目標は何ですか」をテーマに考えます。

 

この質問については、違和感があります。

 

それは、この質問の前提が、事例相談者の育成目標が面接の中でできていないことになっていることです。

 

面接の中で、事例相談者の育成目標を事例相談者と共有できていれば、このような質問は面接の実態に適合した質問ではありません。

 

従って、この質問の意図を、面接の中で育成目標ができていなかったということにすれば、この質問がされる意味が理解できます。

 

この質問では、対応指導の問題としての面談過程や見立て、方針などについての不足の問題ではなく、事例相談者が不足している問題を、キャリアコンサルタントとしての姿勢や態度、役割意識、知識やスキルを対象として答えた方がいいのではないかと思います。

 

姿勢や態度であれば、キャリアコンサルタントとしての心構えとして、自己一致、受容、共感の3要素が不足しているわけですから、

「事例相談者は傾聴の基本的態度である自己一致・受容・共感の姿勢や態度が不足していることが明確になり共有できましたから、この3要素を知的に理解して、経験を積み重ねることで体験し、傾聴の態度で対応できるようになること。」

を育成目標とします。

 

役割意識であれば、

「事例相談者は自分の価値観で面接を進める傾向があるので、キャリアコンサルタントとして、相談者の状態や気持ちの変化などについて、知識と経験を持ち、相談者自らが自己を探索し、自分で方針と行動を決定できるように、キャリアコンサルティング・プロセスに沿って方向性を持った支援ができるようになること。」

という育成目標もできます。

 

知識とスキルであれば、

「事例相談者は、カウンセリング・プロセスで体系的に面接を進めることができていないし、相談者の問題解決に向けての支援が弱いので、様々なカウンセリング理論とキャリアコンサルティング理論の知識を学び、面接の全体を通して傾聴技法で信頼関係を維持し、後半では積極的技法の対決スキルを活用して、相談者自分に気づき、行動変容できるように面接を進めることができるようになること。」

を育成目標とすることもできます。

 

従って、事例指導の面接の中で、事例相談者の不足している問題が、上記のような内容であれば、このような育成目標が設定できると思います。

 

でも、面接の状態と口頭試問の内容が合致していないと、審査員はその違いをお見通しですから、口頭試問での加点はいただけません。

 

ある程度、育成目標の骨子は作っておいた方が、口頭試問でスムーズな答え方ができるのではないかと思います。