今日は、口頭試問の「この事例相談者の事例の進め方の問題は何でしょうか。」をテーマに考えます。

 

事例の進め方ですから、事例相談者が相談者に行った面談経過のプロセスのことについて聞かれているのだと考えます。

 

従って、事例相談者が面談の中で、つまずいてしまった場面はどこか、どうしてそのようになったのか、具体的に応答のやり取りを根拠として取り上げながら、事例相談者の対応の問題を答えなければなりません。

 

例えば、相談者が転職の問題でどうしたらいいのか相談したかったのに、事例相談者は会社に残る方向で面談を進めたとします。

 

それで、事例指導者は、事例相談者にそのとき相談者が転職することをどのように感じて、会社に残ることを提案したのかをイメージさせるように事実と感情や思考について質問します。

 

そして、事例相談者は相談者がこれまで会社で貢献してきたことを転職することで手放すのは「もったいない」と思って、会社に残ってこれからも貢献して欲しいと考えたからですと言います。

 

事例指導者は、相談者はそのとき自分が貢献したことを手放すことについて、どのように考えていたと思いますかと事例相談者に質問します。

 

事例相談者は、相談者も「もったいない」と思っていたと答えます。

 

事例指導者は、相談者はもったいないと思う気持ちもあるけど、転職を考えているということは、貢献することよりも、他に失うものがあったのではないですかと質問します。

 

事例相談者は、そうですね、奥様と子供さんのことを心配していましたと答えます。

 

事例指導者は、それで、相談者は貢献することよりも、ご家族との生活のことを大切にしたいという思いが強くなってきたのではないですかと応答します。

 

このような応答が、事例相談者と事例指導者の間で交わされたとすれば、そのことから事例相談者の事例の進め方の問題が明確になってきます。

 

この応答に基づいた答え方を考えてみます。

 

「相談者が転職で悩んでいることに対して、事例相談者は、相談者が転職することで、これまで会社に貢献したことを手放すことはもったいないと考え、自分の価値観で会社に残る方向を提案しました。しかし、相談者は会社への貢献よりも、家族との生活を失うことに不安を抱いていたことから、家族への価値観を大切にしていることを明確にする対応が不足しており、自身の方針を共有することなく面談を進めたことが問題だと考えます。」

 

タンタンでしたら、面談プロセスをそのように行えるように、質問を繰り返しながら、事例相談者の面談のつまずきを明確にすることで、「この事例相談者の事例の進め方の問題は何でしょうか。」という口頭試問の問に答えると思います。

 

従って、面談で実際に行うことが、口頭試問の問いに答える前提になっていなければ、答えることはできません。