今日は面接試験における具体的展開力の必然性について述べてみます。

 

世の中の出来事や事物の連環を見るうえで必要なことに、必然性と偶然性があります。

 

必然性は、必ずそうなるということであり、そうなること以外にはありえないという関係を示します。

 

これに対して偶然性もあり、必ずそうなるとは限らないのであって、そうなることもあればそうならないこともあるという関係を示すものです。

 

必然性とは、一定の諸条件が存在すれば必ずそうなるということですから、事物や事柄の発展する内的な本質に根ざしたもので、その過程を通じて普遍性の傾向として貫かれているものです。

 

このことを用いて事例指導という面談を展開することができれば、具体的展開力ができるようになるのです。

 

事例指導とは、事例そのものが、総じて相談者のキャリア形成の意思決定の支援に基づいたキャリアコンサルタントの対応指導と育成指導の問題です。

 

それで、相談者がAかBかの選択に悩んで、どちらか一つに決定できずに悩んでキャリアコンサルタントの元に相談にきているのです。

 

相談者がAからBに変えようかなと思っているのに対して、キャリアコンサルタントは、Aに留まる方向で支援を進めたことにより、相談者との間にギャップが生じ、結果的に次回の面談約束がキャンセルされ、信頼関係が築けなかったというのが1級の事例相談の内容です。

 

それについて、受検者(事例指導者)が面談約束がキャンセルされたという結果だけを事例相談者に直面化させ、自身の問題に気づかせようとしても、事例相談者はなかなか気づいてくれません。

 

それは、事例指導者の事例相談者に対する関りに必然性がないからです。

 

つまり、事例指導者の表面的で外的な条件に基づくもので、偶然性を期待したものであるからです。

 

事例相談者に必然性を持たせるためには、一定の諸条件が存在するように関わらなければならないのです。

 

そうでなければ、事例相談者は必然性を感じないから、気づいてくれないのです。

 

事例相談者の内的な本質に根ざしたものに、事例指導者が関わることが必要なのです。

 

そうのように関わることで、その過程を通じて普遍性の傾向として貫かれるようになるのです。

 

では、その過程を通じてとは、どのような関わりのことでしょう。

 

それは、事例指導者と事例相談者の間に、事例記録における出来事に対する相談者の見方、感じ方や考え方を想像させ、事例相談者に考えさせることなのです。

 

そうすることで、事例相談者の内的な本質に根づかせることができ、普遍的な傾向として貫かせることができるので、必然的に事例相談者が自分の不足していたことに気づいてくれるようになるのです。

 

事例相談者に必然性を根づかせる関りができていますか。

 

上記で説明したことは、ヘーゲルの「必然的なものは、一群の諸事情に媒介されて必然的なものである」という観点で考察したものです。

 

ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲルとは、ドイツの哲学者です。