第13回実技(論述)試験問3を読み解いていきます。

 

前回、前々回で、問1、問2について下記の通り解答しました。

 

問1 相談者Aが訴えた「問題」は何か、記述せよ。(10点)

 

Aは管理職の職務として予算管理の克服と家族関係から収入の面を不安視し、将来の転職も考え、キャリア・サバイバルの問題を抱えている。職務と役割のプランニングが不足しているため、管理職かスペシャリストか、外的キャリアと内的キャリアの選択で意思決定できずにいる。

 

問2 あなたが考える見立てに基づき、相談者Aが「問題」を解決するために取り組むべきことは何か、記述せよ。(20点)

 

管理職としてのマネージメントかスペシャリストとしての専門性か、どちらに関心があるのか明確にする。仕事と家庭の両立の点で何をやっている自分に価値観を感じるのか向き合わせる。キャリアの棚卸しを行い、自分の経験と能力から何が得意なのか整理することで自己概念を点検する。さらに、管理職とスペシャリストのそれぞれについて、それを選択した場合の予測を自己概念に照らし合わせて評価し、選択を決定することに、主体的な意思決定を支援する。

 

では問3について設問の内容を点検してみます。

 

問3 相談者Aを支援するために必要なネットワークは何か。

相談者Aの置かれた環境への働きかけについて関係機関や関係者との連携も考慮し、記述せよ。(20点)

 

「相談者Aを支援するために必要なネットワークは何か。」

 

ということが最初に問われています。

 

「何か」という体言止めで文章の最後が作成されています。

 

「何」という代名詞と、「か」という副詞で構成されているのです。

 

つまり、「何か」ということで、その前に書かれていることが強調された文章なのです。

 

それで、「相談者Aを支援するために必要なネットワーク」は、何でしょうということが問われているのです。

 

従って、事例相談者に必要とされるネットワークのことに特化した解答が求められているのです。

 

そして、それに基づいて、

 

「相談者Aの置かれた環境への働きかけについて関係機関や関係者との連携も考慮し」

 

という条件が付加されているのです。

 

したがって、ただ単に事例相談者のネットワークだけを答えたり、相談者の環境への働きかけのみを答える設問ではないのです。

 

事例相談者のネットワークに相談者の環境への働きかけが紐づいていないといけないのです。

 

つまり、事例相談者のネットワークとして、

 

「このキャリアコンサルタントは自身の経験値に偏り助言をする傾向がある」

 

「このキャリアコンサルタントは予算管理について考えすぎないことが大切であるという価値観

を持っており、その固定観念に基づいた評価をしがちである。」

 

このような点を問題視して、カウンセリングを学び直すことが必要とか、外部の管理職セミナーを受講することが必要などというようなネットワークを解答することではありません。

 

事例相談者のネットワークについて、相談者Aの置かれた環境への働きかけについて関係機関や関係者との連携も考慮することが求められていますから、ネットワークと環境への働きかけが連関がなければならないのです。

 

つまり、事例相談者がネットワークを構築するためには、相談者の環境への働きかけることについて必然性がないといけないのです。

 

従って、事例相談者のネットワークが相談者の環境への働きかけの関係機関や関係者と繋がりがないといけません。

 

このような条件を満たす事例相談者のネットワークとしては、相談者AとキャリアコンサルタントBが勤めている会社の人事部の担当者が考えられます。

 

そして、相談者Aは管理職になることについて、予算管理に苦手意識があることが阻害要因となっていますから、その苦手意識を払拭しないと管理職に興味や関心を示すことはないでしょう。

 

キャリアコンサルタントであるB、相談者Aの上司である課長、管理職を目指した社員の多くが、自分が経験することで、その予算管理の問題を乗り越えていますから、非能率的で効率的ではありません。

 

相談者Aは、これまで何回も予算未達のプロジェクトを経験しても、それを乗り越えられていないので、このまま上司の補佐として経験しても、それを乗り越える可能性は低いだろうと考えられます。

 

また、相談者Aは、管理職になるよりは、スペシャリストの方向に進むことに関心を示しており、経験や能力も高いようです。

 

企業という組織は、社員の中に昇進や昇格を目指す人が少なくなると、会社を活性化する原動力が弱まってきます。

 

つまり、企業は社員のためのキャリアパスを設定し、それに基づく能力開発を手掛けなければ、組織そのものの体力が損なわれるのです。

 

以上のような考えから、次の問3に対する解答を考えました。

 

問3 相談者Aを支援するために必要なネットワークは何か。

相談者Aの置かれた環境への働きかけについて関係機関や関係者との連携も考慮し、記述せよ。(20点)

 

Bは管理職を目指す社員のための能力開発を人事部担当者と協働して実施する。Aは予算管理能力が不足していることから自信を喪失し、キャリアパスをスペシャリストでのキャリア形成を考えている。Bや課長、管理職を目指す社員の多くが、予算管理の職務能力を経験値で乗り超えており、非能率的だと考えられるので、経営に関する知識やスキルを身につけさせるためのセミナーやトレーニングを行い、外的キャリアに関するキャリア形成を支援するために必要。