「1級キャリアコンサルティング技能検定実技試験」を目指す人のために役立つ内容がありました。
「スーパービジョンの理論的背景」です。
それは、ホロウェイ「Holloway.E.」によって提案されたSASモデル(The Systems Appproach to Supervision)のことです。
SASをネット検索してみると、追手門学院大学の三川俊樹「スーパービジョンに関する一考察(2)」がありました。
副題として、「スーパービジョンの課題とスーパーバイザーの機能」があり、SASについては「心理臨床スーパーヴィジョン」平木典子から引用してあり、それを参照しながら、興味深く読み進めました。
そのなかに、スーパーバイジーの問題として「自己評価」で自らの課題や問題点を振り返る段階に至っていないという点を指摘されており、スーパービジョンの意味や役割を理解していないことも挙げられていました。
また、面接記録に、スーパーバイジーもスーパーバイザーも振り回されてしまう課題も指摘されていました。
事例指導を勉強している私にもグサット突き刺さる文章があったので紹介してみます。
「初対面のスーパーバイザーとスーパーバイジーが、スーパービジョン関係が十分に形成されないまま、単なる事例検討を行い、スーパーバイザーがスーパーバイジーの経験や力量をわきまえず、自分の依拠する理論モデルに沿ってスーパーバイジーの見立てや援助の問題点を一方的に指摘するなどという“スーパービジョンまがい”のセッションをスーパービジョンであると信じ込んできたカウンセラーが、このような誤解や混乱から解放される時期が来るまで、このような事態は継続するかもしれない」
スーパービジョンを事例指導に置き換えると、事例指導の課題として捉えることが出来ます。
それでは、スーパービジョンの目的を考えてみます。
スーパービジョンの目的は2つあると考えられています。
一つは、キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを上手くできるように支援することです。
2つには、スーパーバイジーがキャリアコンサルタントとして成長することを支援することです。
一つ目の支援としては、キャリアコンサルタントのキャリアコンサルティングのスキルアップを図ることと、事例の概念化を行うことです。
2つ目の支援としては、キャリアコンサルタントがキャリアの専門家としての役割の明確化と維持をできることと、内的、対人的情緒反応への気づきを深めること、キャリアコンサルタントが自己評価をできるようになることです。
スーパーバイザーは、スーパーバイジーに以上のような支援を行うことが求められます。
スーパーバイジーは、このような支援を受けることで事例を通してこれまで自分が気づかなかった問題点に気づくことができます。
そして、これまで学んできたキャリアコンサルティング・スキルを向上させることができます。
そのことが、クライエントとの関わりの中で、問題解決の支援に貢献できるようになります。
新しい捉え方ができるようになり、相談者の危機的状況に具体的に介入し援助していくことが可能になります。
まだ、キャリアコンサルティングのスーパービジョンが確立されていませんので、当分の間カウンセリングのスーパービジョンを参考として学んでいかなければなりません。