ロシア北極圏の刑務所で死亡した反政府活動家ナワリヌイ氏の陣営は17日までに、ロシア当局に対し同氏家族への遺体引き渡しを求めたが、当局は応じなかった。陣営幹部ジダーノフ氏は17日、刑務所を同日訪れた母親と弁護士が、当局から死因について「突然死症候群」だと説明されたとX(旧ツイッター)で明らかにした。
ドイツ南部ミュンヘンで17日開かれた先進7カ国(G7)外相会合後、議長国イタリアのタヤーニ外相は議長声明で、16日にナワリヌイ氏が死亡した状況について「ロシア当局に対し、完全に解明するよう求める」とした。
ロシアのプーチン大統領を批判し16日に獄死した反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏について、当局は17日、収監先の極北ヤマロ・ネネツ自治管区の刑務所を訪れた母リュドミラさんに死亡を正式に通知したが、遺体を引き渡さなかった。人権団体OVDインフォ関係者は「(調査を理由に)当局は合法的に遺体を最大30日間保管できる」と指摘。独立調査が早期に行えず、死因など真相究明が困難になる恐れがある。
ナワリヌイ氏獄死の究明焦点 ロシア当局調査も支持者ら不信感―母親に正式通知
独立系紙ノーバヤ・ガゼータの関連メディアは18日、遺体は刑務所に近い中心都市サレハルドの病院に安置されていると報道。17日の時点で解剖は行われておらず、同日夜にモスクワから法医学者らが到着したとみられるという。
ナワリヌイ氏の側近によると、当局はリュドミラさんに「突然死症候群」が死因だと、一方的に伝えた。プロパガンダ色の強い国営テレビRTも16日に「血栓症」と主張したが、いずれも根拠を示していない。過酷な環境と無関係の「病死」と印象付けることで、事態の幕引きを図ろうとしている可能性がある。
ロシアの中央選挙管理委員会は8日、来月の大統領選挙に関し、ウクライナ侵攻に反対するボリス・ナデジディン元下院議員(60)の候補者登録を認めないと決めた。
ナデジディン氏は、ウラジーミル・プーチン大統領が決定したウクライナへの全面侵攻に批判的な立場を取っている。ロシアでは依然として、ウクライナ侵攻への反対意見が容認されにくい状況が続く。