今更ですが、ふるさと納税をはじめてやってみました。
ふるさと納税についてご存知の方も多いと思いますが、12月31日までに特定の地方自治体に「寄附」をすると、2,000円を超えた金額が翌年の住民税から控除または所得税から還付されるというものです。
「ワンストップ特例制度」を使うと、住民税の控除のみになりますが、所得税の還付の分も控除金額に加わるので、「おトクになる金額」は変わりません。ざっくり言えば、10,000円の寄附をすると、翌年の住民税が8,000円安くなるのです。
さらに、地方自治体への寄附の返礼品として、その地方の地場産品が送られるので、実質負担2,000円のみで肉・米・工芸品・家電などが入手できる制度になっています。(返礼品がないコースもあります)
ということで、上限内であれば、たった2,000円で数千円、数万円分のものが手に入るという錬金術みたいな制度です。
今までよくわからなくて僕は手を出していなかったのですが、今年は一念発起して利用してみました。
僕は Google 検索をして一番うえに出てきた「ふるさとチョイス」というサイトを利用しました。
ふるさとチョイス
https://www.furusato-tax.jp/
その結果、牛肉や鶏肉、果物、お菓子の返礼品を選びました。実質負担2,000円でこれだけ受け取れるなんて、なんだか信じられません。
そう、信じられないのです。いったいどういうカラクリになっているのか。
制度自体は知っています。「ふるさと”納税”」という名前ながら、実際は寄附金控除の仕組みを使っているので、他の寄附金と制度上は変わりません。
あくまで返礼品は、各地方自治体が寄附金へのお礼として用意しているものです。(金額や種類など、一定のルールはあるようですが)
寄附金額よりも返礼品の価値は低いですから、ふるさと納税をしてもらえた自治体は、それだけ財政が潤うことになります。
ですが、その分、本来もらえるはずだった住民税が減るのです。自治体単位で考えればプラスになる自治体、マイナスになる自治体と様々でしょうが、全体で考えると確実にマイナスになります。
そのマイナスになった部分は誰が負担しているのでしょうか……
また、ふるさと納税をするということは、本来自分が住んでいる自治体に支払うべき住民税が減るということです。ひいては自分が住んでいる自治体の税収が減り、自分が住んでいる自治体の財政が悪くなってしまう可能性を秘めているのではないでしょうか。
自分が住んでいる自治体が、ふるさと納税を多く集められるような魅力的な返礼品であったり、「自治体ファン」がいればいいのですが、そうでない場合は、マイナスになり、極端なことを言うと道路補修が少なくなって道があれたり、高齢者福祉が縮小されたり、教育への取り組みが無くなってしまったりすることにつながりかねません。
実際に財政が悪化してしまっている自治体もあるそうです(神奈川県川崎市や東京都世田谷区の話を目にしました)。
「その自治体が魅力的な『ふるさと納税の返礼品』を用意できないのが悪いんでしょ」と言ってしまえばそれまでかもしれませんが……
もともと、人口の多い都市部の自治体と、人口の少ない地方の自治体の差を埋めるという目的もあって始まった制度のようですが、過熱化すると日本全体が困窮していってしまうのではないかと心配になります。
国家財政から地方自治体への補填があるそうですが、それも結局出どころは税金なので、巡り巡って国民への負担増になるのではないかという危惧があります。ふるさと納税のせいで結果的に税負担が多くなってしまっては元も子もないように思います。
ふるさと納税は誰かが推進しているので現在のように数千億円規模の大きな市場になったのだと思いますが、得する人はいったい誰なのでしょう。
魅力的な地場産品を持つ自治体、ふるさとチョイスをはじめとしたふるさと納税業者、返礼品を出品している業者、そしてそれを利用する国民、でしょうか。
もしかしたら、これを「口実」に、国家が増税を図っているのかもしれない、とすら思ってしまいます(何も具体的な根拠のない想像でしかありませんが)。
どなたかこのカラクリを解説してくださらないかしら……
そんなことを思いつつ、「個人単位では絶対おトクだからなぁ」と思ってしまうので、来年も利用すると思います。