赤いダウンの彼(くじらぐみ)とワタシとは時々料理をする仲です。
彼は自称料理長。ワタシは副料理長と呼ばれています。
などたくさんの料理を作ってきました。
味見より先に“こうしてみたい”という気持ち先行型の料理長。
「ちょ、待てよ!」
「たんのんますよ料理長ォ~!」
「だからいったじゃないすかリョーリチョー!」
そんなつっこみどころ満載。
でもめげない。そこが彼といて楽しいところ。
そんな話を母さんにしたところ、
「確かに、私も料理は実験だと思ってるからなあ」
とのこと。なるほど。
料理と考えてしまうからこそ
“食材を無駄にしないように”
“美味しくできるように(失敗したくない)”
等々、あれこれ口を挟みたくなってしまう。
そういうおとなの感覚も間違ったものではない。間違っていないからこそ抗いがたいものです。
科学実験として捉えることで、食材も調味料も実験材料。ひとつの知見を得るために必要なもの。
おいしい/おいしくない どちらもひとつの実験結果として等価値なもの。
そんな風に考えることができます。ずいぶん見守る心持ちが楽になりました。
この日も朝からやる気まんまんだった料理長。ワタシはできるだけ余計なことはいわないように(ナイフと火の扱いは気を付けながら)努めました。
材料は彼が前日お家から持ってきていたニンジン。給食室からもらってきたニラの根元少々。
ニンジンに関しては前日に
「冷凍庫にいれといて!」
という謎の指示があったためカチカチに凍らせてありました。
見た目は子どもな探偵系アニメなら凶器になりえます(溶けると証拠なくなるよ、的な)。
凍ったニンジンを試しにちょっとかじってみると思いの外甘い!
ここに少し砂糖をかけるだけでニンジンアイスとしていけんじゃないすかね?
そんな提案もしてみましたが、料理長の意に沿わず却下。料理長は味付けと加熱がしたいのです。
え、これどうすんすか?
「大人たちで食べていいよ‥‥」
えー!
でも、まぁ、まずはいただいてみる。
案の定、とにかく味濃い‥‥。でも食えない味じゃない。
食ってみたい人ー!?というと、近くにいたぞう くじらの子達が寄ってきました。時刻もちょうどお昼時。
しかし当の本人はあまり納得いく味ではなかったみたい。
できた味は決して悪くなかった。
けど、彼が決めたやり方で進めて、その結果できたものは自身が納得できるものではなかった。
この過程と結果の関係が大事かなーって。
大人が口を挟んでいくらでも無難に美味しいといわれる味にはできたでしょう。
それではうまくいった時の感動も、そうでなかった時のガックリも、どちらも薄まってしまう。
だと、同じような場面にあたってもどうすればより良くなるかを考える力は付きにくい。
何をするにしても、行動の結果や責任はちゃんとその子自身に返してあげるべきだと思うのです。自ら招いただからこそ考える。
大人にできるのは、余計なことは言わずに後ろ肩をポンポンと叩いてあげるくらい。
もちろん、一度の失敗から絶対に同じ間違えを繰り返さなくなるわけではありません(大人だってそうですよねー。身に覚えがありすぎる‥‥)。
何回だって安心して失敗することができるし、そこから学んでいくことができる。
たんぽぽがそういう場であるといいな~と思います。
ミネ