忙しさに追われて下書き状態になっていた記事数件。

今年度のことは年度内に! ってことでなんとかかんとか編集しました。


本日連投します。

 

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今年度のたんぽぽ保育園の変化の一つに“くらしのつどい”の見直しがありました。

 

“くらしのつどい”…かつては“生活発表会”なんて呼ばれ方をしていた行事です。

「こどもたちが保育園生活の中で楽しんでいることを、保護者にも見てもらおう」という主旨の行事でしたが、実際には劇発表会という要素が強いものになっていました。
 
生活発表会そのものについて書いていくと長くなりそうなのでそこは別の機会に。
 
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以下今年度の年長担任のしおりちゃんの文章を整理したものです。
 
10月末のこと…年長担任の頭によぎるのは2か月後の“くらしのつどい”のこと。
 
去年(しおりちゃんは2年連続で年長の担任をしています)は子どもたちの方から“くらしのつどい”の話が出て、1か月くらいかけて劇づくりをしていったっけなあ。
いまのくじら(5歳児)さんたちとはどうしていこうか…と改めて子どもたちをみていくと‥‥
 
・子どもたち、“くらしのつどい”のことは全然頭にないみたい(コロナで前年度の取り組みをあまり見れていない影響が大きい)。

・『小さなオキクルミ』という絵本からアイヌ刺繍に興味を持って、刺繍に挑戦し始めている(のちの卒園製作にもつながりました)。

・みんなで一つのことにギュッと取り組むよりも、園庭やホールのロフト、1歳児 2歳児の保育室etc. 好きな場所で好きな遊びをたのしんでいて、その中で友だち(同学年に限らず)同士のつながりも深まったり広がったりイイ感じ。
※夏ごろから、園全体としてクラスごとの横割り保育よりも、1歳~5歳児までの異年齢保育で過ごすことが増えてきていました。

・てゆーかそもそも年長ってが多い!
そこに向かう取り組み以外で担任と子どもたちとでゆっくり過ごす時間がない!!
 
毎年10月頃~って就学児健診が始まる時期。子どもたちが小学校を意識し始めてドキドキしやすい時です。
今年のくじら組たちも例年にもれず、そういう緊張が見られていました。そこにもしっかり寄り添ってあげたい。


”くらしのつどい”のことを持ち出したら、更に緊張感が増してしまうだろうな…。今の子どもたちとは劇作りという取り組みが想像できない‥。
本当に今の子どもたちに必要な行事なのかな?
そんな思いを職員会議で伝えました。
 
 
「これまでやってきたことに縛られず、担任が今の子どもたちをみて大事にしたいところをみんなで大事にしたい」
 
「でも全く何もないのはどうなんだろう?」
「保護者の皆さんも休みを取ってくれたりしているよねー」
 
「今だと刺繍なんかもやり始めているし、積み木やブロック遊びも好きだよね そういうつくりものの作品展みたいなこともできるかな?」
「でも、期日を決めてそこに向かって何かをしなきゃないってなると結局いつもとおんなじになっちゃうんじゃない?」
 
「大事なのは行事じゃなく日々のあそびだったり生活なんじゃないの?」
「行事を経て子どもたちが変わる姿も見てきたけど、日常の暮らしの中でこそ子どもたちって成長するんだってこと、今学んでるよね」
 
 

“くらしのつどい”という長年続いてきた行事への疑問。
“やることが当たり前”という当たり前を崩すかもしれないこと。
職員会議で投げ掛けるだけでもドキドキだったので、まずみんながわたしの思いを受け止めてくれたことにホッとしました…。


職員での話し合いの末、日々のくらしとその中での子どもの姿・成長 を大事にしたい思いから、今年度の”くらしのつどい”はやらない方向で考えたいという提案を保護者の皆さんにすることになりました。
 

11月の最初の土曜日に行われた懇談会。
保護者の皆さんに担任の思いや職員会議で話し合ったことを伝えました。


保護者の皆さんの反応は様々でした。
 
「コロナ禍で行事のない3年間だった…また行事がなくなってしまうのか…」 
 
「子どもを一番よく見てるのは担任がそう思うなら それでいいのかなーと思う」

「劇が嫌だからたんぽぽにいきたくない 子どもからそういわれると思ってたから、正直ほっとする…」
 
「小学校に向けて“発表”という形を残した方がいいのでは?」

「好きなことができるくらしもいいけど、経験として人前に立つようなことも必要なのでは?」
 
「なかなか休みもとりにくいなかでこの日は、と取っていた休みだし、何もなくなっちゃうのはちょっと‥‥」 


どれもごもっともなご意見でしたし、その場では結論が出すのは難しそうでした。
もらった意見をもとに再度職員で話し合わせてもらうことにしました。
 
「どうしたらいいだろう、、、やっぱりやるべきなのかな…」  
 
半泣きで懇談会の片づけをしていると、保護者の方たちから担任に声をかけてくれました。
 
自分自身の保育士としての経験 今の子どもたちの姿をふまえてたんぽぽで大切にしたいことなど率直な思いをもう一度保護者の皆さんに伝えました。
 

「そんなに大変なら劇っていうかたちじゃなくてもいいよ!」
「担任だけで悩まないで!私たちも一緒に考えるから!」
 
「子どもたちがしてる遊びをわたしたちもやってみるとか?」
「なんなら親の方がなんか披露してみるとか??」
 
と、前向きな話し合いの場をつくってくれました。保護者の皆さんの暖かい言葉に全泣きでした。

最終的な保護者の皆さんの総意として改めてわかったのは《子どもたちの思い出に残るような楽しい行事がしたい》というもの。

大人たちで話し合ったことを、翌週くじら組の子たちとも相談してみることになりました。

その結果、

”くらしのつどい”の日はいつもやっている遊びを家族みんなでやりたい!

ということになりました。


<当日の様子>

アイヌ文様の切り紙

ジオフィクス

中ロフトにて
母「のぼれましたーー!」

中ロフト下の階では、絵本のじかん。※1

ドミノ

が、

良い感じに

つながっていきた‥‥




‥‥このあと
ガチャーン! パタパタパタパタ‥‥
「あ~っ!!! パパぁ~っ!!!!」
という声が響いてました(笑)※2


何はなくとも
くっついてるだけでたのしー!! ※3

Have a Break ※4


自分(たち)の大好きなことに、大好きな父さん母さんたちが楽しんでいる/夢中になっている。

そんな姿に、子どもたちは目を輝かせていました。※5


また、行事に向けた活動がなくなって気持ちにゆとりが出た分、保育の中で新しいことを考えるゆとりも生まれました。
くじら&ぞう組による“いもかりんとう屋さん”です。


↓後半でいもかりんとう屋さんについて書いています。ぜひ読んでくださーい!

もし、今までのかたちにこだわった“劇発表会”だったとしたら、こんなにのびのび&イキイキした子どもたちの姿を感じられる行事にはならなかったと思います。
例えこの日にむけてつくった劇が立派なものになっていたとしても‥‥
‥少なくともこの1ヶ月のくらしは、わたし自身が心から“今この子(たち)とこうしたい”と思う関わりやくらしづくりとはほど遠いものになっていたと思います。

いくら普段どおりな風に装っても、そんな担任の気鬱な思い ゆとりのなさは絶対子どもたちに伝わってしまいます。
そんな日々は子どもたちにとって絶対苦しいものになったはずです。
もしかしたらそこを受け止める保護者の皆さんにもすごく大変な思いをさせてしまっていたかもしれません。

今年度こういうかたちで“くらしのつどい”ができて本当によかったと改めて思います。
皆さんありがとうございました。

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※1~5について
ひとつひとつ詳しくお伝えしたいところもあったのですが、長くなりすぎたのでそこはまた別の機会に‥‥。

長文読んでいただきありがとうございました!