こんにちは。

長崎県諫早市にある母乳育児産後ケア専門の

いさはやたんぽぽ助産院、助産師山口亜矢子です。

赤ちゃんが生まれたら多くのお母さんは母乳で育てたいと思いますよね。

前にもたくさん母乳育児のメリットを書きました。

この母乳育児のメリットの恩恵を、多くのお母さんや赤ちゃんが受けられるようにできることについて書きたいと思います。

まず、母乳が出るために重要になってくるのはホルモンです。

あのおいしいお肉のホルモンとは違いますよ～。

ホルモンとは、主に内分泌臓器や組織で作られます。

そして血流にのって運ばれていき、標的となる器官に到着したら、健康維持のためにいろいろな機能を調節するはたらきをするという物質です。

母乳を作るために必要なホルモンはいくつかありますが、大事なホルモンはプロラクチンとオキシトシンです。

今日はプロラクチンについてです。

プロラクチンは、乳汁分泌の始まりとその維持に必須です。

簡単に言うと母乳をつくるホルモンです。

血中濃度は妊娠前の10～20nｇ/ｍｌから妊娠末期には200～400ng/mlまで増えます。

単位が難しいですけど何十倍と増えるってことですね。

母乳を作ってくれるホルモンなのでとっても大事なんですが、分娩直後が血中濃度がもっとも高く、その後はゆっくりと低下していきます。

授乳しているお母さんで１週間後に分娩直後の50％まで低下するそうです。

けれども、赤ちゃんがおっぱいを吸うとその刺激で一過性に濃度が上がります。

もし、授乳しないとプロラクチン濃度は、分娩後7日までに妊娠していないレベルまで低下してしまいます。

え～ですね・・。

おっぱいを出すために頻回に飲んでもらうことが大事と言いますが、こういう根拠があります。

産後すぐは1日に8～10回、それ以上飲むことがあるかもしれませんが、分泌開始や維持のためにはとても大切なことです。

もし赤ちゃんに飲んでもらえない状況の時は、同じくらい搾乳をすることによって効果を得ることができます。

プロラクチンと言えば、大切なことはプロラクチン受容体の存在です。

プロラクチンは分泌と維持に必要と書きましたが、最近ではプロラクチン単体だけなく受容体と結合することで乳汁産生のシグナルが発現すると言われています。

なので血中のプロラクチン濃度がそこまで高くなくても、プロラクチン受容体がしっかりあれば乳汁産生できるそうです。

すごいミクロな世界の話ですね！

では、どうしたらこのプロラクチン受容体が増えるかというと、産後早期に頻回授乳をして乳房から乳汁を出すことで増えてくると言われています。

この産後早期というのがポイントです。

赤ちゃんが生まれてからの数日間、なので入院中が一番プロラクチン受容体が増える時期と言われています。

また母乳を出すためのゴールデンタイムは産後2週間と言われるので、できるだけ早期にということですね。

２週間を過ぎたらもう間に合わないのか？と疑問に思いますが、そんなことはありません。

ただ、早い時期にしっかり吸ってもらうと、おっぱいの反応がよくなるというのは私も体感としてあります。

またプロラクチン受容体は授乳間隔があくと急激に減少し、頻回授乳が再開されることにより数時間単位で急増すると言われています。

頻回授乳をすることは、プロラクチンとプロラクチン受容体を減らさないためにも大事ってことですね。

今回はプロラクチンのお話でした。

次回はオキシトシンについてです。

では、また！

母乳の分泌に重要なプロラクチン