1ヶ月前、この閉鎖的な学園に一人の編入生が来た。

もさもさの髪に野暮ったいメガネを身に着けたその編入生の容姿は、見た目にうるさい学園の生徒たちには不評だった。

しかし、何があったのか生徒会の仲間たちや人気のある生徒が一斉に編入生に惚れたのだ。

会長である俺様は生理的に無理だったが。まりもを思い出してしまった。

ため口だわKYだわ、挙句に『俺たち、友達だろ!?』の決まり文句。

本気で殺意が沸いた。


ここで問題だったのが、生徒会の奴らだった。

仕事をサボり始めたのだ。俺様を殺す気かあいつらは。

なんせ生徒会の役員一人一人の仕事量がはんぱないのだ。

そしてなんと、俺はその全員分の仕事を今までやり切った。




・・・・・・しかし、それも今日までだ。





生徒会室に襲撃してきたまりもと信者どもに俺様は今、切れていた。


「おいくそまりも。」

いつもより低い声がでた。

副会長はじめ、会計、書記、庶務に不良と爽やか。

そろいもそろって、こっちを睨みつけている。

「まりもじゃない!!!俺の名前は太陽だ!!!

友達のことは名前でよばなきゃダメだろ!?」

ふざけてんのか、こいつは。

「会長、あなたは人の名前さえ呼べないのですか?」

嘲るように副会長が言う。

「そうだぞ!!ちゃんと名前でよべよな!!」

今までは、ここまで言われても何も言い返さなかった。

余計にややこしくなるから。しかし、もう限界だった。


「ーーーーーあ"あ"ん!?黙れクソまりもが。阿寒湖に沈めてやろうか。この俺様とお前のような下劣な存在が友達?はっ、寝言は寝て言え。この世に俺様と同等の存在はただ一人しかいない。クソのようなお前とあいつが同列だと?思い上がりも甚だしい!!俺様にとってはお前などとるに足らん存在だということを忘れるな。それに、毎回お前うっとおしいんだよ。お前のせいで匠といる時間が減っただろうが!何度殴りたいと思ったか・・・!なんなら今ここで潰してやろうか・・・?」


後半はもう愚痴だ。。

口をはさめないような迫力に、信者どもとクソまりもは唖然とする。

「お・・・おまえ・・・?」

あまり話したことがない書記がおもわずそう呟く。

まあ驚くのも無理はない。

なんせ俺様はいままでずっと・・・




ーーーーー優等生キャラで通っていたのだから。





すっきりして機嫌が少し回復した俺様は、もとの優等生に戻ってやることにした。

ノンフレームの眼がねを指で押し上げる。

「・・・まあ、そういうことです。

今後私と匠くんの時間を邪魔したりしたら・・・・・・・・・・・去勢するぞこのオス犬ども。」

にこり、といい笑顔付きで言い放った。

青い顔をした信者どもを残して、俺様は足早に匠のいる風紀室へと向かった。













   今、思いっきり甘えたい気分なんだ。




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補足w


会長は猫かぶりな俺様キャラ。

ちなみに名前は二階堂 香(にかいどう かおる)です。

でてこなかった・・・w

攻め溺愛。


「匠」は風紀委員長です。

会長溺愛の不良攻め。





あの日以来、副会長はよく話しかけてくるようになった。

副会長が俺へ嫌味を言う姿は有名なことだったので、周りのみんなは驚いたようだ。

も、もしかして、これって友達ってやつなのか!?

初めてのともだち・・・・・!!

自室のベットの上で悶える俺。

ごろごろと転がって、勢いあまって落ちそうになる。

「・・・・・・って、落ち着け!!かわいいけど!!!!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」




------------どうやら、見られていたようだ。









あの後フリーズしてしまった俺をよそに、最初の台詞を叫んでいた人もとい同室者の芦屋 満(あしや みつる)は真っ赤な顔で部屋の中にはいってきた。

ちなみに本来会長になったら一人部屋なのだが、『そんなんだったら友達できない!』という理由で断った。

自分の趣味を隠すのは大変だったし、一匹狼として名をはせる不良の芦屋とはあまり話せていなかったが、それでも嬉しかった。


しかし、それも今日で終わりのようだ。


どうしよう、会長としてのイメージが!!

俺の部屋の中は隠しようもないほどピンクで、そして誤魔化しようもないほどにぬいぐるみだらけだった。

こんなんだったらもっと用心しておくんだった!

最悪なこの状況に、思わずぎゅっと目を瞑る。



・・・しかし、芦屋の口から発せられた言葉は俺を否定するようなものではなく、よく解らない言葉だった。

「周防、おまえケーキつくれるか?」

「へ?あ、うん。つ、作れるが・・・」

ていうか、むしろ得意だ。

そう答えると、目をきらきらと輝かせながら力強く手を握られた。

「うえ?!」

そして、一言。


「周防!俺の嫁に来い!!!!」








あれ?俺の耳はおかしくなったのかな?

なんかプロポーズのような言葉が聞こえたような・・・。

しかも、不良で、俺より身長が高い、男に。


「よし、結婚式の準備をしなきゃな。」

なんか話が勝手に進んでるしいいいいい!!

放っておくとまたどこに話が飛躍するのか分からないので、全力で断る。

「あ、芦田!にゃにをっ・・・」




あえなく失敗した。

やばい、死ぬほど恥ずかしい。








           穴があったら入りたい?


副会長side



周防 帝に初めてあったのは、会長発表の時。

発表といっても本人の部屋にそのことを告げに行くだけなのですが、私はとても緊張していました。

学園始まって以来の秀才にくわえ、頭脳明晰・文武両道・眉目秀麗の三拍子がそろろっている一見完璧にみえる人が私の上司となるのです。

緊張するなというほうが無理でしょう?


高鳴る胸を抑えつけながら、インターホンを押す。




・・・・しばらくしてでてきたのは私と同じぐらいの長身の美丈夫で、武士のような凛とした印象を持つ人でした。

この学園では何故か美形が多く、影では容姿審査があるのではと囁かれる程。

そんな学園で小さい時から育ってきた私でも、思わず見とれてしまったほどのその容姿とカリスマ性を感じ、同時に尊敬の念を抱きました。


「今日からあなたが、この学園の生徒会長となりました。

私は副会長の二条院 奏、今日からあなたの部下となります。」


驚くかと思いきや、会長は『当たり前だ。』といわんばかりの不遜な笑みをみせ、私の髪をさらりと撫でて静かにドアをしめた。

目撃者によると、私の顔はかつてないくらいに真っ赤に染まっていたそうです。






しかし、彼は次第に生徒会室へ来なくなっていた。

あの時感動した分、失望は大きいものでした。


------------ああ、この人も無能の中の一人だった。




              


              誤解を知るまで、あと2時間。





「そ、そうですか・・・。

仕事をしていたのですね。」

なにやら難しい顔で唸っている副会長は、まるで急に『あなたの娘さんを下さい!』

と目の前で男に宣言されたときの父親の様な顔をしていた。

ん?副会長ってお父さんなのか?


とりとめもないことを思案しているうちに、おとうs、げふんげふん副会長が復活したようだ。

今度は、なんだか気まずげな顔で、

「すみません、会長。

私は勝手にあなたのことを最低な人だと思っていたようです・・・。」

え?何で?

俺何かしたっけなあ?

ちょっと、しょぼーんとなってしまう。

「だけど、ちゃんと仕事をしていたのですね・・・

あ、あの!

これからは生徒会室に来てください!

最近あまり来られないので、てっきり私はサボっていたのかと・・・」


なるほど。

これは俺にも非があるなあ。

「いや、これは俺様にも非がある。

・・・・・・・・・・・悪かった。」

謝るまでの間は、俺様会長が謝っても良いのか?とか考えてしまったからだったり。


副会長は唖然としている。

美形はマヌケっぽい顔でもサマになるんだな。

いつまでもフリーズしているので、俺は開けっ放しの副会長の口の中に、いつも持ち歩いている苺ミルク味の飴玉を放り込んだ。

苺ミルク味っておいしいよな。

副会長との溝がちょっと浅くなったような気がいて、俺は至極ご機嫌だった。




あいさつという名のお披露目会から2週間。

あの後心の中でガッツポーズなんかをしてたんだけど、今はなんかもう後悔している。

何故かって?


友達が出来ないからだよ!!!

I want friend!!!

俺は友達がほしいんだよ!

わがままを言うなら俺に普通に接してくれる人がいいな・・・。

しかしそんな事は夢のまた夢。


なんか俺、生徒会のみんなから嫌われてるっぽいよ。

副会長からは毎日嫌味を言われるし、

書記の双子たちは怖がられてるし、

書記補佐は一言もしゃべってくれないし、

会計は生徒会室にすら来ないし、

そのことで風紀委員長には文句言われるし・・・


なんか泣きそうになってきた。



だからちょっと生徒会室に通うことが憂鬱になり、自室に閉じこもりながら仕事をしていた。

あれ?これって引きこもりなのかな?


そして今、やり終えた仕事をこっそり副会長の机の上に・・・「会長?何をしているのですか?」



み、見つかったーーーーーー!!!!!



「・・・・・別に。」

いや俺、別にってなんだよ。

だけど俺は今会長なのだ。

ボロをだすわけにはいかない。



副会長の二条院 奏(にじょういん そう)は冷たい美貌の持ち主で、姫ランキングで1位になったほどの美人さんだ。

姫ランキングとはその相手を自分が抱きたいと思う相手に投票するもので、ノーマルとしてはランクインしてもあまり嬉しくない。

ちなみに俺は12位だった。・・・うん、嬉しくねえな。



「もしかして、書類をもってきたのですか?

なにをいまさら。

いつも親衛隊の子と遊んでいるというのに・・・。」

なんか、嘲笑された。

綺麗な人に嫌われるのは傷つくなあ。

副会長って、うちの子のベティーちゃんが似合いそうだな・・・。

あ、ベティーちゃんはかわいい白猫のぬいぐるみのこと。


てか、副会長は俺のことをそうおもってたのか。

地味にショックだ・・・

でもそれは誤解だ!

なんたって俺は・・・・・・・・・「俺様は、親衛隊のやつと会ったことねえぞ。」


そう、何故か俺のところの子は一度も顔をみせたことがない。

友達になれると思っていたのに・・・



俺がそういうと副会長はぽかん、としていた。

「・・・え?嘘でしょう?じゃああなたは今までなにを・・・」

俺もぽかん、だ。

「は?何って仕事に決まって・・・「はあ!?仕事っっ!!??」

なんだか副会長のキャラが壊れてきた。

「え?ちょ、副会長?」

その様子が必死すぎて、ちょっと俺様を忘れて動揺してしまった。

始業式での生徒会長からのあいさつは、毎年かかさずされている。


だから当然会長に選ばれた俺もするわけで・・・・。

「き、緊張する・・・!」

あわわわ噛んだらどうしようなにそれすっごく格好悪いじゃん恥ずかしさで死ねるかも・・・

助けてケイティ・・・!!


俺は舞台裏でポケットの中にいる小さな熊の編みぐるみ(ケイティ)を握り締めながら必死に己と戦っていた。

がんばるんだ俺!

なんたって出来る子だから!

ごめん調子のった!!

あれ?おかしいな、目からよだれが・・・・


冗談を言っているうちに、とうとう出番だ。

さっきまでテンパっていた俺はもうそこにはおらず、一瞬で「生徒会長」の仮面をかぶった。




舞台に出た途端にあがる、歓声。

そう、俺は生徒会長なのだ。

傲岸不遜で俺様な、この学園の王様。













「周防 帝だ。

俺様に迷惑かけんじゃねえぞ。



・・・・・・おまえらなら、できるよな?」



最後の台詞とともに不遜な笑みを浮かべる。





答えは、先ほどの比ではないくらいの大きな歓声だった。




       おまえらの王は、この俺様だ。