※スンハはグミママをグミオンマと呼びます。
ご理解のうえ、お読み下さい。
〈スンハの好きな人〉
兵役を終え、スンハの小学校入学を機にソウルへ帰ってきてはや一年。
俺とハニはパラン大病院の小児科で働いている。
離島での仕事も忙しかったが、大学病院はそれ以上だ。論文だ当直だで、3日帰れないなんて当たり前で、ここのところスンハと遊んでやってない。
ハニも仕事に子育てに頑張ってくれているが、夜勤だ残業だと、スンハのことはついおふくろ任せになってしまっているところがあり、2人とも、スンハにあまり構ってやれないのが気がかりだった。
久しぶりの休日。
いつもスンハをみてもらっている礼に、親父とおふくろに旅行をプレゼントした。
ウンジョは今、一人暮らしをしていて、家の中には俺たち家族3人だけが残っていた。
朝、
1階に降りると、スンハからプレゼントをもらった。
スンハ:“パパおはよう♡
はい♡これパパにあげる♡”
スンジョ:“なんだ?”
スンハ:“もぉ!今日はバレンタインでしょ!”
ハニに似ているとばかり思っていたが、器用だし、意外としっかりしているところもあり、俺の血もちゃんと受け継いでいるスンハ。
スンジョ:“そうか、すっかり忘れてた。ありがとうスンハ。”
そう言うと、満足そうに笑うスンハ。
そのかわいらしい笑顔に癒され、幸せを感じる。
ハニ:“あー!!スンハずるい!ママが一番にパパに渡すつもりだったのに!”
俺たちに気づいたハニがキッチンから慌ててでてくる
スンハ:“スンハが一番に渡したかったんだもん♪”
ハニ:“もぉ!スンジョくんもなんでスンハの先に受け取っちゃうの?”
ふてくされているハニ
(かわいい娘のプレゼントを受け取らない父親がどこにいる?
だいたい、自分の娘と競ってどうするんだ。(呆))
呆れながらも愛しい妻と可愛い娘が自分を取り合う姿を見るのは悪い気はしない。
ハニの膨れた顔を見ていると、自然と俺のイタズラスイッチが作動する。
スンジョ:“お前にもらうより、スンハにもらう方が嬉しいからに決まってるだろ。”
ハニ:“ひどい!”
スンハ:“パパはママよりスンハが好きなんだもんね~♪”
すかさずスンハの援護射撃が加わる。
(こんなところも俺そっくりだ)
ハニ:“うぅ、スンハまで”
涙目になるハニ。
まったく、どっちが子供なんだかわからないな。笑
スンジョ:“お前にはチョコよりもっと別のものをもらった方が嬉しいんだけどな。
ハニの耳元で甘く囁く。
だが、鈍感なハニには伝わらなかったようで、頭を傾げている。
ククッやっぱりお前は期待を裏切らないな。
まぁいい。後でゆっくり教えてやるよ。
スンジョ:“それよりハニ、朝食は?俺のために旨いコーヒー淹れてくれるんじゃないのか?”
ハニ:“そうだった!うん♡いますぐ用意するね♡”
途端にパッと顔が明るくなって、キッチンに戻っていくハニ。
フッ(笑)ホント単純なヤツだ。
スンハ:“…ママ、パパにチョコ渡さずに行っちゃったね。”
相変わらずのそそっかしさに、スンハと顔を見合わせて笑った。
ふと、スンハが用意したであろう、俺と色違いの袋に目が止まった。
スンジョ:“そっちの袋はウンジョおじさんにか?”
ウンジョは大学生になり、親父の会社を継ぐために、経営学を学びながら、親父の会社でアルバイトをしてる。
俺と同じように社会勉強の為に、今は一人暮らしをしているが、暇をみてはスンハの相手をしてくれ、優しいおじさんがスンハは大好きだ。
スンハ:“ううん。ジュンス君にあげるの♡”
スンジョ:“ジュンス君?”
スンハ:“同じクラスの男の子。優しくてカッコいいんだよ♪”
ハニ:“この前家に遊びに来てくれた男の子?”
俺の朝食を運んできたハニが会話に混ざる。
スンハ:“うん、そう♡”
ハニ:“確かにイケメンで、その上礼儀正しくて、いい子だったね。”
スンジョ:“知ってるのか?”
ハニ:“たまたまあたしが休みの日だったから。”
“スンハはジュンス君が好きなの?”
スンハ:“うん、大好き♡”
ハニ:“じゃあママがとっておきの方法を教えてあげる♡”
スンジョ:“おい。スンハはまだ子どもだぞ。変なこと吹き込むな。”
ハニ:“変なこととは何よ!”
“!!
あ、わかった!スンジョくんスンハに好きな子が出来たからヤキモチ妬いてるんでしょ?”
“離れて行っちゃいそうで寂しいんだ?”
鬼の首をとったかのようにからかってくるハニ
スンジョ:“バカなこと言うな。
そんなわけないだろ。
ったく、お前の妄想に付き合ってられるか。”
食卓に付き、新聞を広げ、顔を隠すようにして朝食を食べるスンジョ
ハニ:“フフッわかりやすいんだから。”(小声)
普段は鈍感なくせにこういう時だけは妙に勘が働くハニ
ハニ:“スンハはなんでジュンス君が好きなの?カッコいいから?”
スンハ:“ん~、それもあるけど、クラスの他のお友達はね、スンハがパパとママとあんまり一緒にいられなくてかわいそうだって言うの。
スンハが嫌いだからだっていう子もいて、スンハとっても悲しくって、泣いちゃったの。
でもね、ジュンス君はね、スンハのパパとママは人を助ける凄いお仕事してるんだって褒めてくれたの♡”
“スンハとっても嬉しくって♪
大好きなパパとママを褒めてくれたから、スンハはお友達のジュンス君が大好きなの♡”
ハニ:“そっか。じゃあスンハにとって、ジュンス君は大切なお友達なんだね?”
スンハ:“うん!”
ハニ:“じゃあ…スンハが世界で一番好きなのは?”
スンハ:“パパとママ!
あ、でも2人いるから…どうしょう。”
困るスンハ
ハニ:“大丈夫、パパとママは仲良しさんだから、2人とも一番でいいんだよ♡”
スンハ:“そっか♡”
ハニ:“ありがとうスンハ♡
パパもママもお仕事であんまりスンハと一緒にいてあげられないけど、パパもママも、スンハが世界でいっっちばん大好きだよ♡”
スンハ:“うん♡”
とびきりの笑顔を見せるスンハ
スンハ:“あとね、グミオンマもスチャンじぃじもギドンじぃじもウンジョおじさんもみーんな大好き♡”
ハニ:“そうだね♡スンハは好きな人がいっぱいだね♡”
スンハ:“うん♡”
スンジョに寄っていき、小声で耳打ちするハニ
ハニ:“パパとママが一番だって♡”
スンジョ:“当然だろ。”
クスクス笑うハニ。
ソウルに帰ってきてからというもの、ほとんど構ってやれず、寂しい思いをさせてきた
なのにいまだ世界一好きなのはパパとママで、そのナントカが好きなのも、俺たちを誉めてくれたから。
スンハの優しさが心に染みた。
まだまだ小さな子どもだとばかり思っていたが、その小さな胸に、いろんな思いを抱え、知らない間に成長していたんだな。
守ってやると誓ったのに、俺の知らないところでお前は傷ついて、俺の知らない誰かの言葉で喜んで、こうやって、いつの間にか大人になっていくんだろうか?
そして、いつか俺たちのように恋をする日が来るのか…?。
いや、ダメだ。
そんなのまだまだ先の話だ!
もし、そんな日が来ても、俺よりいい男じゃなきゃ絶対許さないからな!
このジュンス君が実はスンハの運命の相手だなんて、この時はまだ誰も知らなかった。
2人が恋に落ちるのは、まだ少し、先のお話。
end.