モンテッソーリ教育には「困難の孤立化」という手法があります。
子どもにとって難しい部分だけを取り出して伝えていくこの手法について「おかあさんのモンテッソーリ」の著者である野村緑先生は「子どもの混乱を避け、集中しやすくするための援助」とも述べています。
例えばこの「着衣枠」のお仕事。
蝶結びが5回繰り返し練習できるようになっています。
蝶結びの着衣枠を子どもに提示する場合【ほどく】①左右のひもの両端を引っ張り蝶結びをほどく×5回→②結び目をほどく×5回→③両前立て(青い布)を左右に開く→【結ぶ】④両前立てを閉じる→⑤右手で左ひもを右に移し、左手で右ひもを右に移し交差させる×5回→⑦上部にきたひもを右手で上から手前にくぐらせて右手で抜き取り、ひもの両端を引く×5回→⑧左側のひもを輪にして、右ひもを上部から回し、左の輪と結び目の間にくぐらせる×5回→⑨両方の輪を引き整える×5回 というように子どもに伝えていきます。
蝶結びの最初から最後までの一連の動きを一度に伝えるのではなく、このようにひとつひとつの動きを分析して何度も同じ動きを繰り返すと、子どもの中に蝶結びのやり方が秩序だって記憶されていきます。
今回はこの手法を折紙に応用してみました。
①先生は折紙を1枚。子どもは3枚折紙を用意します。(今回はピアノを折ります)
②まず先生が折紙を半分に折ります。
③子どもは先生と同じように折紙を半分に折ります。これを3回繰り返します。
④先生が折紙をもう半分に折ります。子どもは同じように3回繰り返します。
このように先生が1つの工程ごとに折り方を見せ、子どもはそれを3回繰り返していきます。
⑤
⑥
⑦完成!
※基本的に子どもの折紙の枚数は3枚にしていますが、子どもの年齢や発達によって枚数を増減しています。
※子どもがひとりで最初から最後まで折れる場合「困難の孤立化」の手法は用いません。
「困難の孤立化」の手法を用いると、子どもは1回では理解できなかったことも、理解できるようになります。
わかることは子どもにとって「嬉しい!」「楽しい!」こと。
そして「もっとやってみたい!」ことに。
子どもは自ずと作業に集中し、何度も繰り返し、やがてひとりでできるようになると「できた!」という達成感を味わい、自信にあふれていきます。
「わかる」「できる」って素晴らしい。
教師として、母として、子どもが「ひとりでできるように」援助していきたいです