午後



















今日は午前中雨が降ったものの、小雨程度で済んだため外でのロケが行われることになった。リナと美紀はケータリング担当で、それ以外は外で撮影だ。ちなみに濡莉さんはレストランスタッフとともに、さやっちのホテルのレストランスタッフとミーティングをしているのは相変わらずなのだ。

まりなとまゆきは現場でアシスタントをしながら、私に、
「たー吉は無理をしないで!」
「そうだよ!海は風が強いんだから」
と話しかけてきたが、おふくろが間に入り、
「おめえらこそ、たー吉が撮影してるんだから邪魔すんじゃねえよ」
と文句をつけてきたので、まりなは、
「わかりましたよぉ。たくっ、余計なお世話ですぅ」
と、おふくろに言い放った。

おふくろもまた、
「フォトグラファーが撮影してるのに、それに注文を付ける奴って、フツーいねえじゃん」
と、まりなとまゆきに注意し、琴代さんもまた、
「あなたたち、たー吉に撮られてる経験があるんだから、たー吉が撮影に集中しながら会話してるの、わかるでしょ」
と、私が会話しながら撮影してるのがわかるだろ、と言い放った。

「気持ちはわかりますよ。でも、あたしたちはたー吉の秘書なんですから」
「それはお姉さまが、あたしたちに与えてくれた役職なんですから」
まりなとまゆきがこう説明したが、おふくろは、
「たー吉の上司ってよ、こっちには全く関係ねえんだからさ。ましてやそいつは今ここにいねえじゃん。指揮権はあたしたちなんだよ」
と、お姉さまは関係ないだろ、と注意し、琴代さんも、
「まりなとまゆき、さやちゃんは今ここにいないんだから。あたしたちが仕事をしてるのは、グラビアの撮影でしょ。それに、たー吉の秘書なんてここでは通用しないんだから。さやちゃんだって、実家は食い物屋さんやってるんだし、あの子の肩書なんて実家では通用しないんだから」
と、普段の肩書は、場所によって通用しないケースがあることを説いた。