午後



















今日の私と瞳はというと、午前中は本社参りでランチを挟んで午後は新しいオフィスの内覧だ。
前は次長が直接内覧の案内をしてくれたのだが、当人は別の案件の対応で忙殺中のためそれどころではないので、代わりにアイ姉さんが私と瞳の内覧の案内を買って出ることになった。
本来なら社用車で行くのだが、内覧が終わったら直接帰ってもいいということなので、本社の近くの駅から電車に乗っての移動なのだ。

来月からいつものオフィスになる、新しいフロアを見た私たち。
「この一部が、俺らの新しい本拠地になるとは・・・。約4年ぶりですからね。フロアは違いますけど」
私が改めてフロアを見ながら言うと、アイ姉さんも、
「うんっ!さやちゃんとゆりちゃんの反発には、あたしたちもびっくりしたわ。あの子たち、自分たちが住んでるマンションでのリモートにどっぷりと浸かってしまったから・・・」
と、お姉さまたちのことについて、びっくりしたのはこっちだと話した。

瞳もまた、
「あたしやたー吉も、正直言ってお姉さまの反発にはびっくりしました」
と話し、アイ姉さんも、
「そうだね。さやちゃんやゆりちゃんにとって十分すぎるほど慣れてしまったから・・・」
と、リモートが十分すぎるほど溶け込み過ぎたことを話した。

「あの時が懐かしいですね。今から5年前、2020年に開催されるはずで実際は1年延びた東京五輪の予行演習があった2019年。私らにとって慣れ親しんだここも、交通規制の関係でそれができなくなって、やむなくいつものマンションで予行演習期間中のリモートが、そもそもの発端でした。その翌年にはあの忌まわしき流行病が、牙をむいてくるし・・・」
「あたしたちも、今の体制になったきっかけになったんですよね。アイ姉さんたちには迷惑をずいぶんおかけしましたけど・・・」
私と瞳がそもそもの発端を含めたことを言うと、アイ姉さんも、
「あなたたちのせいじゃないわ。結果的には社会の流れに乗せられたんだから。でも、あなたたちやあたしhたちが頑張って、来月からようやく今の体制に戻れるんだから。このフロアのあなたたちの部署は、5年前よりも素晴らしい空間になってるし、あなたや瞳、本社の次長たちが作ってくれた電車の模型のレイアウトも、みんなでおやつが食べれる駄菓子Barやあなたたちのマンションに預かっている、ダーツも健在よ。その代り、電車のレイアウトについては群馬の水上をイメージしたものになってるけどね」
と話し、私も、
「俺らもそれで、満足です!これでパフォーマンス力もアップすることになるでしょうし」
と、パフォーマンス力もアップすることを期待しながら言った。