「蜻蛉日記をご一緒に」
田辺聖子・著(1991年)
目次です
蜻蛉日記はなぜ書かれたか
蜻蛉日記の王朝
結婚といさかい
兼家・病む
西山ごもり
心の鬼
愛をもとめ続けた女
1988年刊行の
「田辺聖子と読む蜻蛉日記」
を改題し1991年に発行した本です。
大阪府豊中市の読売文化センターでの講義を書籍化したものだとか。
講義の語り口のままなので
田辺聖子さんの講演会を聴いているよう。
「蜻蛉日記の王朝」の章では
当時の政治や社会の動向、
作者夫の藤原兼家と兄弟姉妹の人間関係など。
作者を取り巻く環境が解説されています。
この本を読んで初めて知った事と言えば
平安時代の定番、「牛車」。
経費が非常にかかるもので
馬一頭が現代の車二台分の出費なんだそうです
本題からは脱線しましたが、へぇ~ と思いました。
道綱母のプライドの高さの原因は
教養もあるし、評判の美貌の持ち主ではあるが
宮仕えの経験がない、社会経験がない「箱入り娘」であったこと。
才能のある自分が、
家の中で埋もれてしまうのが惜しい気持ちがあったのでは、と推察しています。
瀬戸内寂聴さんの切り口より
道綱母に対して、共感が若干多い印象でした。
何年たっても魅力褪せない「女の本音の物語」だそうです。