古典の日朗読コンテスト

 

第15回のテーマは

 

かなで綴られた日記文学

 

 

 

課題作品の一つ、「土佐日記」の指定図書

 

新編日本古典文学全集13 小学館刊

 

 

 

 

 

解説から、

 

覚え書きしたい箇所をピックアップした、第2弾

 

 

 

【土佐日記の世界】(68~74ページ)

 

 

はかどらぬ旅程

 

某年12月21日。

 

「ある人」一行は「住む館」を出て、

 

27日「大津」を出航して帰郷の途に就く。

 

京の自邸に辿り着いたのが2月26日。

 

まる2か月! 55日間にわたる長旅だった。

 

 

「延喜式」という平安時代の法典によれば

 

土佐⇔京の海上往復は25日。片道なら13日と定められているのに

 

55日という異常な長旅。

 

実際に移動できたのは17日のみで

 

あとは風と波と雨、海賊を恐れての避難。

 

 

なお、「ある人」を紀貫之にあてはめるのは

 

作者の意図を無視しているのでは、とのこと。

 

一般的な地方官が任を終えての帰京の旅立ちを

 

形象化したい意図があったのでは、とのこと。

 

 

 

 

対人関係

 

国司の旅であるから

 

出立時には、多くの見送りがあった。

 

冒頭部分はその記述で占められる。

 

「心ある」人々が多く見送るのは

 

一行の長(貫之)の善政ぶりを示している。

 

 

 

 

 

望郷の想いと亡児への追懐

 

苦しい旅の間、一行を駆り立てるのは

 

熾烈なまでの望郷の想いであった。

 

結局、それこそが作品の主題であるに違いない。

 

 

しかし、女児は任地で没したのだから、

 

後ろ髪を引かれる思いである。

 

京に戻っても、女児はいない。

 

望郷への想いと、亡児への追懐は表裏の関係である。

 

 


 

僻地における雅の欠如

 

旅の一行は生粋の京の人。

 

下手な自作に返歌を求める田舎歌仙は相手をする気にもなれない。

 

一行にとって歌とはみやこ人たる自分達の専有品である。

 

見送りに来た人々が苦労して詠歌をして惜別の心を表したのに対して

 

「いといたくめでて」

 

「行く人」は返歌するが

 

歌を褒めたのではなく、そうまでする好意を褒めたのである。

 

こうした「もののあはれ」を尽くす傍らで

 

みやびとは無縁の楫取(かじとり)が乗船を促すのだからたまらない。

 

 

 

 

望郷の想い

 

亡き女児を土佐の地に残して、後ろ髪引かれる思い

 

僻地の雅の欠如を嘆く、

 

上から目線の、生粋の京の雅な方・・・

 

・・・以上、「土佐日記」の世界でした

 

 

 

 

コンテストの課題箇所に絞った解説を探したら

 

「土佐日記の世界」に行きつきました。キョロキョロ

 

課題の抜粋部分に作品主題があるのですね。

 

 

 

 

新編日本古典文学全集13、表紙です。