6/29(土)

 

仕事後、帰宅して19:00からの安田成美さんナレーション「地球ドラマチック」をしっかり鑑賞して、DMMで借りていたDVDですずきじゅんいち『マリリンに逢いたい』観る。

基本的に犬がかわいい、で済む話なのだが、都会で夢破れ、田舎の沖縄で民宿を始める加藤雅也と、借金取りに追われて半ば強引に民宿を手伝う三浦友和の相克は生々しく、そこに泊まる最初で最後の客役が成美さん。で、注目すべきは彼女がカメラマンの夢をあきらめて結婚直前にひとり沖縄に旅行に来たという設定。彼女が同世代の「普通の」逡巡する女性を演じたのは、映画ではこれが最初だろうし、その芝居の質は翌年の「同・級・生」の繊細な仕事を予告するものだ(ちなみに、まだ本人が決心していない状態のまま相手が勝手に結婚を進めてしまっている、という設定は「同・級・生」の彼女と石田純一の関係にも影響を与えているのかも)。脚本の野沢尚のエッセイを読むと、まだ若手だったこの当時から脚本が物足らないところがあるとハッキリと言う女優だったということだが、成美さんのエッセイを読むとまだ当時実は女優という仕事に積極的に取り組んではいなかったとも語っているので、彼女にとってもこの役は特別期するものがあったのではないだろうか。ただ、実際に結婚直前だった彼女がマリッジブルーに苦しむ女性を演じた93年「ローマの休日」の田村正和を誘惑する場面に匹敵するリアリティは、まだこの作品にはなく、本土での結婚を捨てて加藤雅也の元に戻る展開も予定調和な印象にとどまる。