6/6(木)

 

出勤前にK-plusで借りたVHSでラン・ナイチョイ『孔雀王』観る。普通にすごい面白いが、安田成美史観で観るでとりたてて言うべきことはなく…途中で話と関係なくなっちゃうし。三上博史と惹かれ合う展開も少年漫画的ご都合主義を出ない。まあでも、『ZIPPANG』鉄砲のお銀役と同じく、こういうシャキシャキした役を演じているときの成美さんのハリウッド女優的な所作も嫌いではない。

 

6/7(金)

 

ユーネクストで野沢尚「青い鳥」、FODで野沢尚「素晴らしきかな人生」を並行して観ながら、池端俊作「並木家の人々」シナリオを読む。全話観ることはほとんど叶わないが(放送ライブラリーで一話のみ視聴可能)、成美さん演じる花さんの言葉が、所作が、生き生きと文字を通して脳内に再生される悦び。

しかし、もう観ることの叶わない連ドラのシナリオを毎日読んで、キャスト表と照らし合わせて「見た気になる」という行為は本当に儚い。これが戦前の失われた小津安二郎作品のシナリオだったりするならともかく、30年前に普通に全国放映されていたフジテレビドラマだったりするのである。なんというつつましい芸術鑑賞の態度だろう。

 

6/8(土)

 

朝から「青い鳥」と「素晴らしきかな人生」を続けて観る。前者の田舎で囚われの身になっている夏川結衣の石井隆ヒロイン的な面影の絶妙な幸薄感にヤラレル。こんな大人のいい女が、テレビで観られなくなってどれくらい経つだろう。トヨエツの『愛していると言ってくれ』に続く、全身全霊の好演も素晴らしい。

野沢さん「夫婦」三部作二作目の「素晴らしきかな」は、演出が光野道夫のやりすぎノリノリ演出に代わって、ひたすら軽快。前作「親愛なる者へ』と180度違う、佐藤浩市の西田敏行的なC調的演技も今まで見たことなかったから新鮮だったし、これがデビューのともさかりえの初々しさも大変いいのだが、なんと言っても織田裕二。その顔や表情が醸し出す独特の異物感をここまで作品全体にいきわたらせた映像作品はないように思われる。このドラマ撮影直前に出演した映画『卒業旅行 ニホンから来ました』の撮影現場で見せた数々の奇行と態度の悪さは、当時「月刊シナリオ」で金子修介監督に暴露されていたが(最近読んで胸が痛かった)、その延長線上にこれがあるのかとある意味納得できるブチギレぶりである。

 

図書館で池端俊作「並木家の人々」読む。

 

帰って、ユーネクストで井筒和幸『犬死にせしもの』観る。井筒監督のファンなのに、長年、なんとなくスルーしてた作品だが、傑作と呼ぶには決定打に欠ける独特の決まり過ぎない、無様なアクションの連続に血が騒ぐものがあった。瀬々さんの『課外授業 暴行』の瑞々しさを連想。成美さん史観的にも、当時のまだ半分アイドル然とした佇まいから次第に積極的に戦うヒロインになっていく相貌が同時に収められていて、すごく嬉しかった。井筒さん、エライ、わかってる。

また映像に寄り添わず、拮抗していくような武川雅寛による音楽もなかなか素晴らしく、前に高田馬場のユニオンで5000円近くしたサントラLPもいつか手に入れたいものだと思う。